銀河団探査船、5隻目登場! 三話目
一応、班分けしないと・・・
ってことで、トラブル解消班と探査船捜索班に分けます。
この銀河のトラブルと、その原因は判明した。
判明したんだが……
これ、どうしたら良いんだ?
「郷、冗談抜きで、このトラブル解決に俺達が動けないよな。どうすれば良いと思う?」
郷は、頭を抱えた格好を、ようやく崩して、
「師匠ぉー……こんなことになるなんて思わなかったんですよぉー。どうすれば良いんですかぁー……」
情けない声が出たな。
エッタは、まだ頭を抱えている。
最初は聖女役でノリノリだったため、このトラブル内容は堪えるわなぁ、さすがに。
かく言う俺自身も、あの時に、お隣の銀河のトラブル(銀河大戦争)を早く解決するんだとライムとともにノリノリで隣接銀河で大活躍してたんだよ。
どうも、考えるに、当のガルガンチュア教の開設された銀河と、俺とライムが頑張ってた隣接銀河が比較的銀河間距離が近かったのが原因だろうなぁ……
「郷、エッタ。このトラブル原因に関しては、俺とライムも関係していると考えたほうが良さそうだ。隣接銀河に近い距離に、郷がいた教会の辺境支部があったのも、こうなった原因の一つなんだろうが……俺達は、銀河を渡ろうとする生命体は非常に少ないと考えていた。それが、そもそもの原因だろうな」
「えーと……そうすると、キャプテンが考えてるほど、銀河間は広くなかったと言うことですかね?それとも、銀河を渡ってまで、ガルガンチュア教団の教えを布教しようって情熱があったとか」
「正解だ、ライム。あの銀河は、隣接銀河と比較的近い距離に存在していた。そこに、隣接銀河のトラブルを解決したよという報告と共に、当のガルガンチュア教団の教えそのものを体現した存在、俺と郷、そしてエッタ、が揃ってしまった……神話が実現したようなもんで、舞い上がった宗教的情熱が遠くに見える隣接銀河すら渡る目標に変えたということだと、俺は思う。俺としては、表立って俺達が動いてしまうと、この変質した教えとなったガルガンチュア教団が何をやりだすか想像がつかないので、トラブル解決に乗り出すとしても、あくまで裏の顔に徹しなければいけないだろうなと考える」
「と、すると……あたしたちは、教団に潜り込むにせよ、外部で教団の行動を抑えるにせよ、本当の力を見せられないわけですよね。ご主人様も含めて下手に実力を見せてしまうと、教団の行動にお墨付き与える事になっちゃいますから」
「まあ、そうなるかな。エッタやライムの強化されたテレパシーや、俺も含めて師匠もサイコキネシスやテレパシーを極端に制限しないと、下手に教団に嗅ぎつけられると、文字通り現人神に祭り上げられる恐れがありますよねぇ……」
ようやくエッタと郷も落ち込みから立ち直ったようだ。
「今回ばかりは、絶対にガルガンチュア本体は発見されないポイントに隠しておかないといけないだろうな。俺達だけなら何とかなるだろうから、プロフェッサーまでは連れていけるだろうが、宇宙船本体と繋がりのある4人は、動けない。まあ、良い機会だから、この4人で5隻目の銀河団探査船を捜索してくれないか。合体解除までやらなくても、小型と超小型搭載艇までを使えば、何とかなるだろ?例によって、深いスリープ状態にあるとしても、目覚めは、この銀河のトラブルを解消してから行えば良いんだから」
フロンティアが、仕方ないなぁとばかりの表情を作り、
「しょうがないですね。ガルガンチュアを構成する巨大宇宙船が絶対に動けない現状なら、我々は巨大恒星のすぐ近くに陣取るとしましょう。幸いにして、マスターのテレパシーは通信妨害を受けませんから、そこをベースにして、銀河団探査船を探すこととします。こちらからの発信は出来ませんので、お気をつけください」
下手にテレパシーや通信波を送信すると、送信元を辿られるかもしれないからな。
この銀河も相当に発展した科学技術があり、普通に跳躍航法を用いた長距離の星系間交通網が発達しているから、超大型の銀河団探査船が幾つも集まった異形の宇宙船など一気にニュースになりかねんよ。
後は、元のガルガンチュア教団もそうだったが、あそこには独自の情報部がある。
絶対に尻尾を掴まれるわけには行かないぞ、こりゃ。
「そういうことで、トラブル解消班と探査船捜索班に分かれようと思う。まあ、同じ銀河内だ、俺がガルガンチュアから離れても問題はあるまい」
「それはそうですが……マスター、たまにはテレパシー連絡、くださいよ」
フロンティア、そんな主人と離別する犬のような顔をするんじゃないよ。
「銀河団を幾つも離れていた時にも、俺が生きてるって確信してただろうに。大丈夫だ、今回も時間はかかるだろうが、バッチリ解決して見せるさ。そっちも銀河団探査船の捜索、成功させろよ」
はい!
と、4人の声が揃ったのは言うまでもない。