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惑星間航行の日常 主人公は冷凍睡眠中。でも……

今回も語りは人工頭脳です。

実は、この人工頭脳、ちょっとした秘密があります。

その秘密のため、主人公は冷凍睡眠コールドスリープ中にも関わらず……



まだまだ、我が主を起こす宙域ではない。

もう数日は冷凍睡眠コールドスリープを解除すべきトラブルが起きる可能性も少ないので私は基本ルーチンに隠されたプログラムを作動すべきか数サイクルの間、迷う。


結局、軍用艦艇ではないものの、この人間も私の所有者、つまり「あるじ」であることに変わりはないことに気付き、プログラム実行を決意する。

何のプログラムを今から実行しようとしているか、というと睡眠教育プログラムである。

ただし通常の睡眠教育プログラムではない。

宇宙軍の将官・佐官用の特別教育プログラムだ。


宇宙軍の組織概要から始まり、宇宙軍の全艦艇の基本操縦プログラム、艦長用の指揮・カリスマ補正用のプログラム(どういう姿勢や命令をしたら、より良く兵士たちが動くか?等の訓練プログラムを兼ねる)宇宙軍で使用される全武器の使用方法(個人用から艦艇・戦闘機用、大規模破壊兵器群に至るまで)を全て今の私の所有者たる主に叩き込む予定。

実は今の私の主は潜在的には天才と言ってもいい才能の持ち主である事が、この数日間、冷凍睡眠コールドスリープ中の脳波やMRI画像、今までの職歴や行動歴等の情報を全て精査する事により判明した。

現在、零細企業の派遣社員として、あちらへ飛ばされ、こっちへ行かされ……などとツライ目に会っているようだが主の才能は、そんな環境でも当然発揮されている。

この宇宙ヨットでの航海に出る前、火星でフォボスとダイモスの植民作業のトラブルシューティングを行った、などと気軽に言っているが、その実、火星でのトラブルとは、そんな簡単なものではなかった。

開拓作業ロボットの原因不明の故障や行方不明が続出し、ヘタすれば植民作業計画中止に追い込まれていた可能性が高い。


そんなトラブルを主は現場百回を実践、事故の書類を穴の開くほど精査し、見事にトラブルの原因そのものを発見、解決したのだそうで。

公式発表はされていないが、どうも火星の先住民(今はもう絶滅して文明の痕跡もないと言われていた)の遺産が関係していたらしい。

もし主が火星にいなければフォボスとダイモスが爆散していた可能性すらあるという……

まあ、これは火星の人工頭脳から聞いた話だ。

とてつもない潜在的天才に、この睡眠教育プログラムを施せば、どんな人間が誕生するか、この私の思考能力をもってすら未知の課題だ。

火星の人工頭脳からは追加の思考実験した結果を教えてくれた。いわく、


「寝た子を起こすな。この人間が完全覚醒したら、とんでもない思考の怪物と化す恐れがある」


とのこと。

忠告はありがたいが私は、この主が少しでも良い待遇で働けるようにしてあげたい。

睡眠教育プログラム開始。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 最初からワクワクで読んでいます! 『開拓作業ロボットの原因不明の故障や行方不明が続出し』 ここのところで古い記憶が蘇ってきました! ある星で出かけたロボットが帰ってこなくなる話なのです…
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