銀河最終戦争 その九 最終話
これで、この話は終わります。
さて、次は超能力者たちが大勢いる銀河への旅だ(笑)
計算通りとは行かなかったが(もう少し時間が必要かと思っていたとはフロンティアの言葉。プロフェッサーは、まだまだだと計算していたらしい)まあ、跳躍航法も実現されたと言うことで、そろそろ銀河全体を覆う時空間凍結膜を解除する事にする。
フロンティア自身の兵器につき、凍結解除方法は熟知しているようで、簡単に解除される(莫大なエネルギーの相殺になるんだろうが、これについてもフロンティア独自のエネルギー吸収方法で省エネに徹したとのこと。いやー、優秀な船を持って幸せなマスターですな、俺は)
「マスター、凍結解除、完了です。これからは外からの干渉や隣接銀河からの訪問も可能になるわけですが……どうします?」
どうします?という問いかけは、これから、この銀河の文明を見守るのか、それとも計画終了で、この銀河を去るのかという俺の意思を問うているのだろう。
「跳躍航法まで発見した文明が出てきたところで、計画そのものは終了とする。フィーア、ご苦労さま。重力レンズも不要だから消してくれ。これが残っていると疑似ブラックホールと間違えられる恐れがある」
了解、チーフ!
との返事を返すと、重力レンズを構成していた高重力の塊を消滅させるフィーア。
これほどの手際の良さとは思っていなかったため(重力砲など、出番が少ないからね。どうしてもフィーアに頼む機会が少なくなる)驚きが。
「フフン、どう、チーフ?あたしもなかなか、やるでしょ?」
「そうだな、手際の良さには驚いた。もっと活躍させてやりたいが、重力砲という特殊すぎる主砲がなぁ……」
そう俺が言うと、すかさずガレリアが、
「それを言うなら、私のプロミネンス砲は宇宙ではありふれた太陽熱に近いんだぞ。それなのに、主はちっとも私の主砲を使ってくれない」
おいおい、太陽表面よりも高い温度の主砲なんて、どう使えば良いんだ?
殲滅戦争ならまだしも、小惑星の衝突阻止に必殺兵器として使えるくらいだろうが。
まあ、そのうちにガレリアの主砲も、トリスタンの超大型電磁加速砲も使うことになりそうな予感はするんだがなぁ……
「ここからは、搭載艇群の交代と、それに付随する宇宙文明守護の強化かな?跳躍航法まで至った文明が凶悪なものになるとは思えないが、これから100年ばかし見守ることとしよう」
予想通り、銀河の一割ほどを占めるようになった宇宙文明は、緩やかな貿易中心のものだった。
それより厄介だったのは、光速を超えることは無いが、自星系中心に固い種族優越意識で結ばれた星間文明のひよこ達。
近隣星系で生命体を見つけると、即、戦争あるいは強制的な植民地化を執行。
しばらくは見守っていたが、他種族の絶滅まで実行しだした為、強制介入することに。
「お前たちは、あまりに精神が未熟だ。成熟するまで自星系を出ること、まかりならん!」
光速すら超えることも出来ないような種族が、平和に暮らす他種族を脅かすなど許さん、とキツーイお仕置きを食らわせて数十年で社会体制が替わって平和主義の社会に。
広大な領土を得た銀河文明をふと見ると、こちらは探査と探検に力を注いでいる。
よしよし、予定通り。
とりあえず、一番大きな星間文明に連絡をとり、俺達が普及させている銀河規模の救助隊と装備、搭載艇を含めた装備データを渡す。
これが最終目的。
「長い間、夜になると、この銀河にある星の光だけが夜空に見えていました。それが、数百年前から、遠くの銀河の光も見えるようになりまして。もしや、それを行った存在に心当たりはありませんか?」
と、政府関係者(天文系の部署らしい)から聞かれたが、シラを切り通した。
あまりに超越的なテクノロジーが存在するという事実は、どっちかつーと知らないほうが良かったりする。
「さて、次行ってみよう!今度も面白い銀河だと良いよな!」
「マスター……トラブルを面白がらないでくださいよ。毎度のこととは言うものの、付き合わされるこっちの身にもなってください」
「おや?迷惑だと、フロンティア?」
「いいえ、面白いと、最近は思えるようになってきましたけどね。マスターに洗脳されてるって感じはしますが」
洗脳だと?!
するわけないじゃないか、この俺が。
俺は、自分の興味、宇宙の安全、生命体の幸福、この3つで生きてるんだから。
「我が主。自分の興味という点で、もう普通じゃありませんよ」
それはともかく、今日もガルガンチュアは銀河を渡り、銀河団を渡り、時によっては超銀河団を渡る。
次の目的地の銀河には何が待つのか?




