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ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く  作者: 稲葉小僧
超銀河団を征くトラブルバスター
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銀河のプロムナード クスミという名の男 4 最終話

ここで終わりです、閑話。

さて、次は、どんなネタで行きましょうかね?


ドタバタの違法カジノ手入れの件から数日後。


「クスミ、一つ聞きたい。何処で、こんな代物を手に入れた?転身?だったか、あんなことが可能になるようなガジェットなんて、この世のものとは思えんのだが」


中年刑事、捜査課長が新人として配置されてきたクスミに聞いている。

ちなみに、今、クスミはヘルメットを持っていない。

クスミが被る時には問題ないが、それ以外には専用の収納庫に入れておかないと、部屋の床や、更には建物の基礎部分に損害が出る可能性が非常に高くなるから。


「課長、分かりますか……って、まあ、あんなものが世の中に出回るはずないですよね。実は……ちょっと、こんな対盗聴策も取られていない部屋で話せることじゃないんですが」


ということで取調室の一つ、盗聴器やミラーガラス等の一切無い、完全な秘密会議を開催できるような部屋に二人はいる。


「この部屋なら、どんな衝撃的な秘密でも、俺とお前以外に聞くものはない。さあ、話してくれ。直属の上司としては、部下にトップシークレットなんてものを抱え込もせたままで任務など与えられんからな」


「よろしいでしょう……課長。ずいぶん前のことになります、俺が宇宙パイロット訓練所から、初めての任務で超空間跳躍航法のテスト機を、この星最初の人間として跳ばすことになる時点からお話しましょう……」


長い話だったが、聞いている課長の顔色は赤くなったり青くなったり。

如何に衝撃的な話だったか、想像できるというものだ。


「……そうか……その、惑星規模宇宙船に、衛星規模宇宙船が3隻合体している、想像すら追いつかない超大型宇宙船のマスター……船長と言うより、マスターだな、これは……から、お前とマスタークスミとが同一人物だと告げられて、様々な情報を教育機械とやらで詰め込まれ、お前だけが専用の名前を与えられて自我が芽生えたと……でもって、その超大型宇宙船ガルガンチュアが、この銀河を去る前に、お前に、この、銀河すら違う星の超古代遺物であるヘルメットと、それに付随するガジェットを貰ったと……って!何なんだよ、それ。実物の転身を見てなかったら、とてもじゃないが誇大妄想狂のタワゴトだと一喝するところだんだがなぁ……お前の言ってることには真実味があるし、完全な嘘をついているような身体的反応もない。じゃあ、これは真実かと言うと、聞かされた俺自身ですら未だに信じられないんだよなぁ、これが」


課長の独白に、


「課長、到底、信じられないかも知れませんが、全て本当のことですよ。だいたい、超重合物質ウルトラハイポリマーなんて代物、発見されたってニュースすら無いじゃないですか。ヘルメット大で1t超える重さの物質なんてものが他にあるとでも?」


「そうなんだよなぁ……あり得ないものを、ありえない状況で、あり得ない存在から貰ったという人物が、俺の目の前にいるわけだ。で?お前にそれを譲ったマスタークスミとやら、どんな条件を付けたんだ?無償・無条件で、そんなものをポイとくれる存在なんて、それこそあり得ないだろう」


その質問に、少し恥ずかしそうに答えるクスミ。


「まあ、無料・無条件に近かったんですが……マスタークスミの性格として、生命体を殺傷しないように使うくらいですかね?あ、これは犯罪者を除いてということでしょうが。マスタークスミは。こんなガジェット使わなくても、自身の超能力、サイコキネシスがもう、宇宙規模の天災レベルでしてね。念ずるだけで星が一個、砕けると言ってたなぁ……」


それを聞いた課長は、はぁと溜息を吐く。


「オリジナルのマスタークスミは、このガジェットの上を行く力を持つのか……それって、もう神のレベルじゃないか?なんで、そんな存在が、いちいち銀河単位とはいえ、ちまちまと宇宙を渡り歩いて平和と安全なんて与えまくってるんだろうな?もう、神になったほうが手っ取り早いだろうに」


「さぁ?マスタークスミから聞いた限りでは、生身の体だからこそ成し得ることもあるだろうという話でしたが。まあ、宇宙船自体も超銀河団すら渡れる能力を持つらしいので、もう生命体として最高ランクくらいの能力と科学力を得てることになりますよね。それでも神になりたくない、生身の体に拘りながら宇宙を平和に、安全にしていくというのは、それも神のなせる業の一つじゃないかと、俺は思うんですけどね」


「まあ、そうかも知れなんなぁ……神ならぬ身には、神の行動も思惑も想像すら無理だということか」


話は、そこまでとなった。

課長は、署長や、それ以上の人間に知らせようかと思ったが、到底信じてもらえないということに気づき、自分の胸に収めることにした(実物を現場で見ない限り、その後の話も信じられるはずがない)


その後も、課長のチームは、暴力団体同士の抗争事件やら、違法な貸金業(実は巨大暴力団体がバックにいた)の摘発、変わったところでは他の国の要人警護(本来は他部署の仕事だが、人手が足りないと駆り出された)やらに抜群の成果を挙げることとなる。


クスミが新人として配置されてから数年で、この都市(地方都市としては大きい方)の闇は、ずいぶんと規模を縮小せざるを得なくなった。

クスミが参加する事案・事件は、すぐさま解決し、迷宮入りと思われるような事件すら、あっと驚く短期間で犯人が捕まる。


「よぉ、クスミ。あっちこっちで大活躍じゃないか。お前を捜査チームに入れたいと、他の部署や警察署、はては国家警察までが派遣希望を出してきた。お前、故郷に戻ることも出来るんだぞ、今なら」


「あ、課長……じゃなかった、今は部長ですよね。前任者は小狡い小悪党でしたが、今の部長は公明正大、正義のシンボルとして堂々と捜査に出てるじゃないですか」


「まぁな。前任者が酷すぎたんで、今じゃ俺がメディアへの説明責任を一人で被ってる。大変なんだぞ、お前のことを秘密にするのも。突如現れる無敵の仮面ヒーローの正体は?って、どんな現場や番組でも聞かれるんだ。知らぬ存ぜぬで通しているが、そのうちバレるのは覚悟しとけよ。ああ見えてメディアの中にも腕と度胸と頭の切れるやつはいるんだから」


「あはは、いつかはバレるでしょうね。まあ、それより、この星から悪の組織を叩き潰すのが先ですが。本当にもう、1人いたら30人はいると思えってのは暴力団体ですよねぇ……しつこいまでの組織力です」


と言いながら今日も2件ばかり巨大暴力団体を叩き潰しているクスミだった……

まだまだ、この星は宇宙文明に届く一歩手前で足踏みしている。

まあ、あと数十年ほどはかかるだろうが宇宙に出られる要件は揃い始めている。

跳躍航法は発見されてエネルギー問題も解決された。

あとは人々の精神の成熟度だけだ。


平和な世の中が一刻も早く訪れるように、クスミは今日も闘っている。

それが、ひいては星に棲む生命体の進化を促すこととなるなどとは、露ほどにも思わず。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 『突如現れる無敵の仮面ヒーロー』 素敵! 仮面クスミー! やったれやったれー!
[一言] お久し振りです、一寸話のネタを思い付いたので。 エスパーが普通に認知されている銀河、犯罪や地域紛争はあるが全体的には平穏である、 其処に一人の優秀なエスパー(銀河最強クラスで銀河の統治機構…
[一言] イデオンのEDみたいな 最終戦争後の宇宙の再生ってのはどうでしょうか?
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