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ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く  作者: 稲葉小僧
超銀河団を征くトラブルバスター
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ゆいこのトライアングル・レッスン(仮) その9

前の投稿を書き直し(行数増し)して、再度アップです。


いい加減、花粉症が治ってくれないかなぁ……というか、お隣から煤煙で汚れた花粉が来なきゃ、ここまで酷い症状にはならないはずなんですけどね。


絶対のはずのトライアングルが、バリバリと音を立てて崩れていく。


「で?ひろしのことは、ひとまず置いとくとして。クスミさん、俺達を原子分解しない理由は?まさか、少人数でノイズ発生施設を破壊したのが気に入ったからなんて理由じゃないよね?」


たくみが、無理やり気持ちを切り替えて、楠見に尋ねる。


「え?将来性豊かな青少年たちを原子分解なんて、しないぞ。君たちには君たちに相応しい仕事をしてもらう予定でね。もちろん軍人なんて非効率の塊みたいな職業じゃなくて、もっとやり甲斐と満足感の高い仕事だ」


「ちょっと!クスミさん、だっけ?少尉なんですが、少なくとも、あたしは。そりゃ、戦いだけの軍人なんて職業は非効率の塊かも知れないけどさ。でもでも、このあたしには向いてると思うのよね」


ゆいこが精一杯頑張って反論する。

まあ、反論しながらも、それが事実だということは変えられないが。


「単一性の女性である君が小隊長とは。まあ軍隊ってのも時に面白い配置を成すもんだな。君、ゆいこさんが中心となり、そこをたくみくん、ひろしちゃん(?)という二人が固めている。このチームが効率的であることは認める。軍に所属しなくても、このチームなら、もっと効率的に、より高い成果を出せるだろう。どうだ?俺の勧める方向への進化と言うかチームごとの引き抜きと言うか……ちなみに君らの上司は早々に君らを見限ってる。成果は上げているが軍隊は規律が第一だから、君らのような問題児の集まりだけど優秀なチームなんてのは扱いづらすぎて、そのうち最前線で使い潰されるのが落ちだぞ」


はぁ……と溜め息をつく、ひろし。


「やはり、そうでしたか。いくら問題児ばかり集めた3人小隊とはいえ、最少人数で増員の予定すらないってのは変だと思ってましたよ。あの基地司令、俺達を厄介払いするために、わざと違うポイントを指定して全滅する覚悟で施設破壊命令を出したな……」


「そこで、だね。君らが了承するなら、ちょいとした教育を君らに施すことになる。ああ、安心してくれ、思想教育とか、洗脳とかの教育ではない、もっと高度な知識と能力の使い方をレクチャーするものだということは保証する。思想制御とかを行っていると考えるなら、教育は毎回、一人づつってことにしても良い。そうすりゃ、終了後に3人で話し合って、思想的に偏向されたら気づくはずだろ?」


超越者と思える楠見から、ここまで言われれば断ることは難しい。

おまけに、宇宙の彼方の超越者の知識や知恵の一端を授けてくれるとまで言っているのだ、乗らない方がおかしい。


「分かりました……小隊を代表して、隊長の私が了承します。私たちに別の可能性があるのなら、それを教えてください」


それを聞いて、楠見の顔がほころぶ。

満面の笑顔になりつつ、


「分かった。それじゃ、無骨な軍服なんぞ着替えて、まずはこの宇宙船、ガルガンチュア……まあ、今現在は4隻合体ではなく、フロンティア一隻だけの分割型だが。この宇宙船を案内するとしようか」


数時間後……

呆れ返った顔の3人がいた。


「はぁー……未だに信じられないわ、自分の目が。頭が、ここが宇宙船の中だということを拒否するのよ……クスミさん、の代役だっけ?ゴウさん。ここが、あたしたちや敵勢力の基地がある惑星の中だってホントなんですか?いやいや、証拠は山と見せてもらいました。証拠としては充分なんですよ……だけどねぇ……直径が1万km超してる宇宙船なんて馬鹿げた代物、頭が認めるのを拒否するのよ」


ゆいこが正直なところを吐露する。

たくみも、


「あっけにとられるとは、このことかな。あっちこっち転送されながら、フロンティアって名前の宇宙船を見て回ってる形なんだけど、どう考えても、これ、惑星上の巨大宇宙軍本部か巨大宇宙船工厰を見学してるとしか思えない……宇宙船の中?何処の誰が、こんな宇宙船を造ろうと思ったんだか?」


「たくみとゆいこの言うとおりだね。今でも信じられないことばかりだけど、本来のガルガンチュアは、このフロンティアに直径5000kmを超す大きさの衛星クラス宇宙船3隻が超大型のパイプのようなものを使って合体してる状態だって?俺、もう想像力が枯渇してるのかな、とてもじゃないけど、通常状態のガルガンチュアがイメージできないよ」


郷は、それを聞きながら、


「君らの言いたいことは理解できる。この俺も、実際にガルガンチュアを見た時には衝撃を受けたから……しかしなぁ、ガルガンチュアで長いことクルーやってるが、本当の意味で脅威なのは、実はガルガンチュアという宇宙船じゃなくて、全ての宇宙船のマスターという地位にある師匠、楠見さんだぜ。あの人、能力的には人類という範疇を逸脱してるのに、未だに人類であることに拘ってるんだ。信じられるか?考えただけで星を砕ける人物が太陽のノヴァ化や寒冷化すら食い止められる宇宙船に乗ってるんだぞ……俺も含めて、この宇宙船のクルーは、大半が生命体というものを逸脱してると言いたいね」


あまり聞けない、郷の心情を吐露した言葉だろう。

3人は、あんたも化物の仲間だろうという言葉を飲み込みながら、言いたいことは理解できるのだった……


「ってことで、さっきも言ったが。あんたら3人は、もう少し経ったら、この宇宙船ガルガンチュアで特別な教育を受けてもらうこととなる。教育内容を詳しく言うと、まあ、救助機器の使い方と、その救助機器を搭載する搭載艇と、その母艦の操縦方法を学ぶってのが中心となるわけ。あ、様々な救助機器があるんで、その理論も憶えてもらうのは当然だが。でもって、教育終了後は、3人でチームを組んでもらい、この銀河の災害救助と災害対策・予防と、各星系への災害対策機器運搬設置まで任せようと思ってる」


ゆいこが質問。


「戦い以外の何でも屋ってことよね、それ。まあでも、生命体を殺すなんて気の滅入る仕事より、よほどやりがいあるわ。で?その仕事に使う機器や宇宙船……搭載艇?は、どうなるのかしら?私達専用の宇宙船をもらえるって形になるのか、それとも貸与と言う形を取るのかしらね?」


「ああ、搭載艇の500mクラスの船を一隻、あげるよ。小型と超小型は、それぞれ100隻以上、その母艦に搭載されているし、超小型以外にはコンパクト化された救助機器が収納されている。たった3人で操縦できるのかという疑問もあるだろうが、こいつはガルガンチュアのテクノロジーでほとんど自動化されてるから、艦長・パイロット・その他の機器操作と最低限3人いれば動くからね」


「嘘だろう……直径500mクラスの宇宙船が、最低3名の乗員で運用できるなんて……ほとんど魔法じゃないか」


技術関係に詳しい、ひろしが唖然として呟くのも当然。

故郷の星の宇宙軍では、一番小さな駆逐艦であっても最低乗務員数は50名を超す。

特に、防衛と攻撃関係には最低でも20名を要すと言うのに。


彼ら3名、これより軍人ではなくなり、ガルガンチュアで教育の日々を費やすこととなる。


「師匠。教育を始めましたが、ガルガンチュアのテクノロジーレベルに追いつくには、ずいぶんと時間がかかりそうですよ。彼らの星系と、敵の星系とは隣接してるそうで、光速以下の宇宙船でも数年かけて飛べば大丈夫ってことなんですって。跳躍航法を教えても大丈夫なんですかね?」


「まあ、種族としては宇宙文明ではないかも知れないが、あの3人だけなら例外としても良いだろう。精神的にも攻撃衝動は少ないし、軍人としても学徒動員でかり出されたと言ってたし。まあしかし、この星系が、両方からアクセスしやすい中間距離にあったってのは何かの偶然か?それとも神の采配?互いに互いの故郷を攻撃しあうような馬鹿な真似をしないだけ良かったね」


「良かったね……って他人事のように!両星系の諍いを予測して1000年前からフロンティアだけ、さも昔からの惑星だよって風に、ちょこんと、今の位置に滑り込ませたのは師匠じゃないですか!ガルガンチュアを分離しようって意見が出た時には、俺は師匠が何を考えてるのか分からなくなりましたよ……まあ、師匠の超天才の分析能力にも改めて敬意を評してるとこですが」


「しかしなぁ、郷。さすがの俺も、あんな3人が出てくるとは思わなかった……というか、あの3名は突然変異に近い精神的なミュータントだろうが。教育機械に対して、宇宙文明段階ではない人間が、あんなに素直に受け入れるのを見るのは久々だ」


他愛もない、それでも3人に対する衝撃的な秘密が明かされつつ、その準備は整っていく……


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