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ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く  作者: 稲葉小僧
超銀河団を征くトラブルバスター
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ゆいこのトライアングル・レッスン(仮) その7

そろそろ、終盤突入(元から、そんなに長くする予定じゃない)


ゆいこの小隊は、敵勢力との戦闘配置を一時的に解かれて今現在、敵の勢力とも味方の勢力とも関係のない、岩と砂しか無いように見える荒野に来ている。


「荒野って言うが、この星には植物すら観測されていないんだ。どこもかしこも、こんな風景なんだよな。普通、岩の惑星でも水分は湧いてるものなんだが……衛星軌道上からの観測でも、地上にも地下500mまでの岩盤地帯にも水分は観測されていないと……」


たくみの発言に、ひろしが付け加える。


「……それに加えて、この穴ボコだらけの星には、なぜか大気がある。水がないのに大気があるって、おかしいよな。かてて加えて、この星自身がおかしい……ゆいこ、この星が、この位置で発見されたのは、いつ頃だと思う?」


突然に指名された、ゆいこ。


「えと、えと。確か500年前には発見されてたはずよね」


「……そう、公式発表には、そう書かれている。しかし、俺が軍のデータから吸い出したデータでは、少し違う記述がされている。500年前に突然発見された惑星、だ」


たくみが、疑問を呈する。


「ひろし、そりゃおかしい。惑星なんてものが突然に発見されるなんてことは考えづらいぞ」


「ああ、普通は、観測機器の発達で小惑星などが発見されることは、稀にあるよな。しかし、こいつの大きさは惑星クラス。直径で1万km軽く越す大きさの惑星なんて、いくらなんでも突然に発見されるわけがない。ちなみにだが、衛星クラスの物が、3つ固まって発見されてもいる……ただし、こいつらの軌道は、ここの太陽に近すぎて宇宙船の接近は不可能。不思議だと思わないか?惑星と、衛星3つが、突然発見されてるんだ。まるで、何もなかったポイントに、突然、するっと入ってきた形で。この惑星も、その衛星3つも軌道的に、そこにあって当然というものなんだが……」


「じゃ、じゃあ何よ。宇宙のどっかにいる神様みたいな存在があると仮定して、そいつが何らかの理由で、この星と、衛星3つを、この安定軌道へ持ってきたって言うわけ?そんなの、もう宇宙神話だとかのレベルじゃないの!無茶苦茶よ、荒唐無稽だわ!そんなこと、信じるほうがおかしいって言われるわよ?!」


ゆいこが全力で否定すればするほど、たくみとひろしの話が信憑性を帯びてくる。


「なあ、ゆいこ。こう考えたら、どうだ?神様じゃなくて、神に近い超のつくテクノロジーを持った文明から、探査隊が、この星に派遣されたとする……見るべきものとてない星系だが、両隣の星系同士は争い合ってるなと、そいつは考えた。じゃあ、この星系を、両星系同士の戦争の緩衝地帯としようじゃないかと考えて、この星と衛星を、ちょうど空いてた軌道へ滑り込ませた、と。それから数百年後、俺達と敵勢力は、その超越生命体の思惑通りに、この星に基地を作り、戦争をおっぱじめた。小規模の戦いぐらいなら見てるだけにしようって思ってた超越存在は、いつまで経っても戦いを終わらせない、それどころか、だんだんと戦いをエスカレートさせていく俺達と敵勢力を見かねて、あのノイズ発生源を置いた……あの施設のあった位置は、両勢力の基地から同距離だったと報告が入ってるから、これで間違いなかろうな」


「ちょ、ちょーっと待ちなさい、たくみ。あの大規模要塞モドキが、ただ妨害専用の駒だったって話?」


「……いや、それどころか、この星や、太陽付近にある衛星3つも、俺達と敵さんとの戦争を止めさせる道具かも知れないんだ。星を一個、道具として使うなんて発想、何処の誰が思いつくんだ?それを考えても、俺達や、敵さんのようなレベルに収まらない超越存在としか思えない。ちなみに、この星系すら……いや、そりゃ考えすぎか。いくらなんでも太陽すら生みだす存在はいないな。まあしかし、ここまで考えると、この超越存在が俺達や敵勢力に対して害意を持っているのかどうかも怪しくなってくる。動物やペットの躾くらいに考えてるんじゃないかとも思えてくるね」


「ひろし……あんた、まともにしてると、今すぐにでも参謀本部へ引き抜きたくなるような有能さね。これで、ある程度の情報すり合わせは終わったんだけど……あんたらの言う「超越存在」と、どうやって連絡を取るかということよね。もし、そんな存在が、この星にいると仮定して、どうやって私達の存在を知らせるのか?だって、その存在から見たら、私達って野蛮な動物か、躾のできてないペットのようなものでしょ?こっちが呼びかけても無視されるのがオチよね。じゃあ、無視されないようにするには、どうするか?」


ゆいこの疑問に、たくみは沈黙したが、重い口を開くように、ひろしが答える。


「……無視できない呼びかけは簡単だ……しかし、それをやって俺達が無事に生きていられるかどうか?それが問題だ」


「ひろし、それって、もしかして、あのノイズ発生施設破壊の犯人は、俺達ですと名乗り出る?」


「……ああ、たくみ、大正解だ。あの施設破壊の現場にいたのは、より端的に言うと、俺とたくみ、二人だけ。ゆいこは直前に脱出しているんで、あの破壊作業には関わっていないと言い張れる。俺達二人で済むなら、それに越したこと」


ばちッ!

ゆいこの平手打ちが、ひろしの左頬に炸裂する。


「情けないこと言わないでよ!隊長のあたしが責任取らないで、どうするの!?死ぬんなら、あたしだけ。または3人一緒!」


ボロボロ涙を流す、ゆいこ。

3人共、いつしか涙を流して抱き合う形となる。

しばらくして、ゆいこ、たくみ、ひろしは立ち上がり、互いに手をつなぐ。


「超越存在なら、電波や音波よりも、テレパシーや想いをぶつけるしか無いわね。一心に祈るのよ、どこかにいる、あたしたちを越えた存在に。あたしたち、施設破壊犯は、ここにいますって!」



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