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ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く  作者: 稲葉小僧
超銀河団を征くトラブルバスター
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ゆいこのトライアングル・レッスン(仮) その6

だんだんと、見えないものの正体が浮かび上がってくる……

それから、3人して部隊内の各部署へ。

情報局はもちろん、技術部、工作部隊、砲兵部隊に機械化部隊、挙げ句のはてには海兵隊まで訪問。

まだ見ぬ敵の正体に迫る情報があるか?

正体のわからぬ敵の情報はなくとも、先の戦いで、元々の敵勢力以外の情報は?

などなど、あらゆる(敵情報以外)情報を収集する。


もちろん、基地統括の責任者である中佐には、予め一言、こちらは正体不明の敵らしきものが浮かんできたんで情報収集します、と言ってある。

この一言で、3人の行動を邪魔するやつはいなくなった。


「かーっ、やっぱり親玉さんには話を通しておくもんだね。データや情報がポンポン入ってくるわ。中佐、さまさまだ」


「たくみ、そんな軽口言ってると、また上層部に目をつけられるわよ。その軽口が降格された元凶だって自分で分かってるんでしょ?」


「あ、はははは。そーんなこと言われてもなぁ……この性格は軍人になろうが何だろうが、治らんよ。上層部にゃ早々に諦めてもらうのが一番だと推察します、ゆいこ隊長!」


「あー、もう。中佐から嫌味言われるのは、このあたしなんだから。ちょっと、そこのムッツリスケベさん……ひろし!あんたも、技術部や工作部隊から苦情が来てるわ。欲しいデータは渡すから、堂々たるハッキングは止めてくれって……あんた、何をやってるの?!」


「……欲しいデータを言葉にしても、相手が適切に対応してくれないから、その目の前で欲しいデータを吸い出しただけだ。ちなみに、必要部分をコピーしただけなんで元データには一切、変更はないと断言しておく」


「ああ、もう!天才のやることは凡人には理解できないって言葉の意味を、あんたは本気で理解して無いようね。自分のやる行動を、逐一とは言わないけど、怪しまれないほどには説明しないと駄目じゃないの!あんたら2人は、揃いも揃って、全く……軍人として破綻してるわよ!」


「……ゆいこ隊長。軍人の基本を云々するより、各自の持ってきたデータを突き合わせるほうが大事だと思うんだが?今は、味方の悪意よりも、見えぬ敵の正体を突き止めることが一番だろう」


「そーそー、小さかった頃のゆいこは、目の前に目標があったら脇目も振らずに突き進んでたんだけど。今は、脇目をふる余裕でもできたのかな?」


「あのねぇ、たくみ。そりゃ、士官学校入る前の、あたしだよ。今は少尉、あたしは軍の階級を、登れるだけ登ってやるんだ!そのためにゃ、今は我慢の二文字!って、何を言わせるんだ、あんたら。はいはい、データ突き合わせ、やるよ!」


そうして、各自のとってきた情報やらデータやらを突き合わせ、それぞれ単独では分からないものを繋ぎ合わせるように、姿なき敵対者のイメージを浮かび上がらせていく。

数時間後……


「はぁ、はぁ……これで終わりね。私にも、ようやく見えない敵の姿が見えてきた気がするわ」


「でもな、ゆいこ。これで浮かび上がってきた敵の姿って……」


「そうだ、たくみも同じイメージを持ったと思うが……これは圧倒的な強者、というか超越者のようなイメージだな。俺達が敵対したとて、いや、俺達と今の敵とが共闘して当たったとしても、多分、蚊に刺されたくらいにも感じないんじゃないか?この仮想敵……敵対することそのものが物騒極まるエンドにしかならないと思うんだが……敵と思うか、それとも「神の手」だと思うのか、どう考えるかが余計に分からなくなってきたぞ……」


「そ、そうね、ひろしの言うとおりじゃないかな?完全に敵対すると、この星そのものが私達に向かって牙を剥くような気さえするのよ。恐ろしい存在だけど、やってることは躾のなってない他人のペットの躾教育よね。厄介なのは、このペットたちが知性を持っていることじゃないかな?向こうの立場になってみると、せっかく争いを収めようとノイズ発生源を置いたのに、わざわざその施設を破壊してまで戦争を続けたい大バカ生命体が、私達ってことになる……」


「ゆいこも、ひろしも同意見か。まあ、唯一つ言えるのは、あの要塞と間違えたほどの妨害電波発射施設を破壊したって、未だ見えない神には痛くも痒くも無いだろうってことだね。多分、この瞬間にも、俺達の無益な戦いを眺めて、ため息ついてるんだろうなぁ、きっと」


「……いつまで経っても戦いを止めない俺達に対し、見えない神は、どう出るだろうな?ゆいこ、どう思う?」


「ひろしの質問には、答えかねるわ。あたしは神じゃないんだもの、卑小な人類の身では、神がどう思うかなんて理解できるはずもないじゃない」


数多いデータの中に、この星の地中を高空から探査したデータがあった。

そのデータでは、この星は穴だらけ。

最大の口径で直径10km近いものから、一番多いのは直径800m前後のもの。

直径10kmは一つしか観測されていないが、直径800m前後の穴は無数にある。

しかし、目を凝らしても、どこにも無数の穴なんか見えない。


「しっかしなぁ。何処の誰が、こんな穴ボコだらけの星に無数の蓋をしたんだろ?ちょうど、穴ボコを塞ぐ形で、ほとんど全ての穴に深さ100mもの岩と土の蓋がされている。高空写真がなきゃ、誰も気づかなかったぞ、多分……」


たくみの呟きに、ゆいこもひろしも、何か想像もできないような存在がいるということを想像し、背筋に小さな恐怖が走る。


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