ゆいこのトライアングル・レッスン(仮) その2
書いてるうちに、キャラクターたちが立ってきちゃった(笑)
トライアングルレッスンの内容じゃない、はっきり言って「コンバット」に近いかも知れない(笑)
休養時間をたっぷりと取り、3人は出発する。
「ところで、ゆいこ隊長?目標とするポイントって、どこなんです?あてもなく歩いてるわけじゃないですよね?」
たくみ一等兵が質問する。
「はぁ……もう話しても大丈夫でしょうね、我が軍のベースからは遠く離れちゃったし。いいわ、目標ポイントは、この大陸の突端よ。どうやら、そこに我らが故郷の星を脅かす敵軍の基地があるようなの。軍の資材や武器、食料の集積所になってるようなんで、この集積地を叩くことに成功すれば、故郷の星が荒らされることを少しでも遅らせることになる!やりがいは、ある作戦よ」
「……現在地は、ちょうど俺達のベースと敵基地の中間地点だ。問題は敵のセンサーが大きなエネルギーを的確に拾い上げて集中爆撃してくるってことだ。だから俺達は移動速度は遅くとも、徒歩にて敵に補足されないようにしてるわけだ。そうですね?ゆいこ隊長」
「そうよ、ひろし兵長の言う通り。こういう環境に便利な車やバイクでもあれば良いんだけど、そのエネルギーと熱源を探知されて集中攻撃を受ける可能性が大きいってことで、徒歩にて敵基地まで移動して最小限度の小隊で攻撃をかけろって命令なのよ……確かに、あいつらのセンサーでも人間三人くらいの熱量じゃ、この星の自然が出す熱量と変わらないんで探知は不可能なんだろうけど。だけどねぇ……考えてみりゃ無茶な命令よ。いくら異空間収納庫が便利すぎて数トン単位のものでも気軽に持ち運べるって言ってもねぇ……敵基地の規模は、ちなみに師団クラスだそうよ。急襲した後は一目散に逃走ね。戦闘状態になったら一瞬で皆殺しよ、多勢に無勢だわ」
「要するに相手が油断してるとこに忍び寄って、一撃で食料や資材を焼き払ってこいってことだよね?本格的な戦闘なんてのは放っておいて。司令部も無茶苦茶な命令をするよね、いくら俺達の小隊が、そんな無茶な命令をいくつも成功させてるとは言うものの、さ」
たくみ一等兵が呆れ果てたように感想を言う。
「そうね、無理と無茶の合わさった無茶苦茶な命令よ。でも、こうやって私達が敵基地目指して歩いてる時にも我が故郷の星は侵略されているわけ。大々的に反攻作戦も計画されてはいるけれど、まだまだ敵の攻撃力のほうが大きいの。ここで私達が集積基地を焼き払うってのは反攻作戦に結びつく大切な枝作戦の一つなのよ」
ゆいこ隊長の発言を聞いていたひろし兵長が、
「この、惑星中に充満してる電波ノイズの嵐も敵のせいかも知れないな。俺達よりもテクノロジー的には上の種族らしいんで、奴らには、このノイズだらけの環境でもコミュニケーションを取る方法があるんだろう。こうなると、どうやっても敵基地の機能を麻痺させる必要が出てくる……ちなみに、ゆいこ隊長。俺達が帰還するための信号も、このノイズが充満してる環境じゃ発信できないと思うんだ」
はぁ、とため息一つの、ゆいこ。
「そうよ、ひろしの言う通り。ここから、敵基地が見えるまではお互いに身分敬称略で行きましょ!たくみも同じくよ。さっきも、ひろしが言ったけど私達が急襲成功したって信号すら、この酷いノイズ環境じゃ拾ってもらえる可能性が低いわけ。だからこそ敵基地の資材や食料を焼き払うだけじゃなくて、なんとかして基地機能の一部、通信妨害を与えてる機器にダメージ与えないと帰る手段すら無くなるってことなのよ。あたしだけでも、あなたたちだけでも駄目なの!この三人で急襲攻撃を成功させ、ベースからの集中攻撃へ繋げないといけないのよ」
「お?俺達の奇襲が成功した後にベースから集中攻撃隊が来るって?初耳だよ、ゆいこ。おいおい、それじゃ俺達の作戦は枝でも最初の大事な失敗できない作戦ってことじゃないか!たった3人の小隊に、どんだけ無茶な命令を与えれば気が済むんだ、司令部の***(汚すぎる罵倒なので伏せ字)野郎どもが!」
「……無茶だと俺も思うけど、その無茶が成功する確率が一番高いのが俺達だからだよ。俺達以外、こんな出たとこまかせに近い作戦、成功するわけがない」
「あいも変わらぬ無節操な会話よね。軍規違反で軍法会議にかけられない理由が思いつかないわ。一等兵と兵長……今更ながら、あんたたちの階級が低い理由が分かるわね。こんなの少尉や中尉にしちゃったら軍の規律が弾け飛んじゃうかもね」
「それを言うなら、ゆいこだって。あれだけ感状と勲章の山を獲得してるのに、未だに少尉なんておかしいだろ。それもこれも、上司の命令に細かく茶々入れたり、これは無理ですって当たり前のように命令書を破り捨てたりしてるって話だそうだけど……よくもまあ、君こそ軍法会議ものだよね」
あ、あははは……
虚しい笑いの、ゆいこ。
「上の部署が無理と無茶の塊だって知ってるけど、それにしても、この頃の参謀本部や将校本部はおかしいわ。誰が見ても無茶と無理の塊、それこそ命がいくつあっても足りない無駄な突撃命令が、いくつ出されたことやら……あたしたち以外なら、この作戦だって一撃入れてハイ全滅!って代物よ。最初は、もっと無茶な小隊単位の突撃命令に等しかったんだから。両本部に乗り込んで、こっちから命令変更の案を出して、ようやく納得いく代物にした任務なんだからね。ちなみに、あたしの中尉への昇進は、これでパァになりましたとさ」
三人の深ぁいため息が聞こえたとか聞こえなかったとか……
そんな愚痴をこぼしながらも、小隊は進んでいく。
敵の最前線支援基地へ向かって……