表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く  作者: 稲葉小僧
超銀河団を征くトラブルバスター
622/813

漢は黙って…… 漆

次々と科学の常識を塗り替えていく太二くん。

本人は、いたって普通だと思ってるようですが……


大学院の研究員となり、好きなだけ研究して良いと政府よりお墨付きを貰った太二くん。

今日も今日とて……


「ふーん……ここがロボット研究室か……」


太二くんが今いるのは、産学軍共同で研究してる、今流行りの最先端産業ロボット研究室。

そこでは、ようやく二足歩行の研究が完成し、次は人工知能を搭載して自分の意思で行動するロボットを作り出す事に没頭していた。


「こーんちわー。楠見太二と言いまーす、ここの研究室の見学に来ましたぁ」


なんだ?

新入生が入ってくるような研究室じゃないぞ?

おい、あいつ、理論物理学と工学部に所属した例の天才児じゃないか?


様々な声が飛び交い、研究室の主任が出迎える。


「やぁ、今や我が大学と大学院では君のことで噂にならない日はないんだよ。ようこそ、最先端のロボット研究室へ」


「はい、今日は見学に来ました。何かアドバイスでもできることがないかと思いまして」


「え?失礼だが、君の本職の研究は理論物理学と工学じゃなかったか?ロボットは、そんな簡単なものじゃないぞ」


「はい、承知してます。最先端の研究成果の見学と、その改良点をお教えできれば良いなと思ってます」


「そうか。まあ、いくらでも見ていってくれ。天才児のアドバイスなら喜んで受けようじゃないか」


と、案内に助手の一人を付けてもらい、太二くんはロボット研究室の成果と現在を見て回る。

と、興味が湧いたのはロボットのOS部分。


「OS、何を使ってます?人工知能系のOSですか?重すぎません?」


助手は最新のロボットに使われているOSのタイプとバージョンを検索し、太二くんに向けて表示する。


「ふーん……人工知能系ですね、やっぱり。メモリも充分だしCPUも充分な速さを持ってるし……ちなみに自己意識の発現は?あ、やっぱダメですか」


太二くん、そこら辺にあるメモ紙を取り、サラサラサラと何か書いていく。

書くところが無くなったのか次、又次とメモ用紙が消費されていく……


「ふぅ……やっぱ、こんなもんか。助手の方、これを主任あるいはここの責任者である教授に渡してください。ロボットに自己意識もたせるのって意外に簡単なんですよ」


最終計算用紙を貰った助手君、慌てて主任研究員の元へと走る。

それを受け取った主任、さぁっと顔色が変わる。


「おい、助手君!楠見君は、あの天才児は今どこにいる?喫茶室でコーヒー飲んでるって?分かった!俺が行く!」


一瞬で太二くんの書いた計算式の意味が分かる主任も凄いと思うが、ともかく数分後には主任が太二くんとテーブルを挟んで対峙している。


「楠見くん、この計算式の意味するのは……ロボットが自分の意志で動き出すってことだよな?これ、可能だと思うか?可能だとするなら、その手段も……」


主任の言葉を遮るように太二くんは、おもむろに口を開く。


「主任さん。僕は、その方法を知っています。OSは何でも良いのですが、できれば人工知能系の最新型が良いかと。で、そのOSが走る前、ブートローダーの次に、とある条件を三つほど付けてやるだけなんですよ」


主任、唖然として口からダバダバとコーヒーが漏れている。


「あ、すまん。しかし、本当に、そんな前提条件三つだけでロボットに意識が芽生えるものなのか?」


「はい。これは様々な銀河で……いや違った、父さんが試行錯誤の末に見出した秘訣らしいです。父さんの会社では、もうすでに数体、自己意識を持つロボットがいるようですね」


「なんだとぉ?!この研究室より、楠見コーポレーションのほうが……いや、予算としたら、こっちの数百倍以上あるのか、あっちは。そう考えると当然かも知れないな」


この会話より数カ月後。

この大学院の研究成果として全世界初のリアル思考型ロボットが生まれることとなる。

しかし共同研究員の名前の中に楠見太二の名はなかった。


「何故だ?!君のアイデアとアドバイスで生まれたんだぞ、こいつ。アムート01号、こいつのネーミングすら君のアイデアじゃないか。なぜ、そんなに固辞するんだ?楠見くん」


「固辞してるんじゃなくてですね……メインのアイデアは父さんが実現させてるし、僕は、それを簡素化しただけ。それに未成年を共同研究者として出したら信頼性がなくなりますよ?」


「う、いやまあ、それを言われると弱いんだが……しかし、本当に良いのか楠見くん。この方式、理論特許すら取れると思うぞ」


「その栄誉は父さんに与えられるべきでしょう。でも父さんは、そんなこと微塵も考えてないと思います」


一年後、細々としたバージョンアップをして細部の動作を完璧としたアムート10号は大々的に世界中に発表、公開される。

チューリングテストを行っても、あまりに細分化した疑問すら瞬時に回答するアムート10号に全世界の科学者やロボット工学者は、ついにロボットに自己意識が芽生えたと認めるしかなかったとワールドニュースが発表した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 『とある条件を三つ』 まさかロボット三原則だったり!?
[一言] ロボットが自意識・・・ いづれはブレインが大破壊をたくらみ、17番目のロボが反旗をw なんてことにはならないね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ