とある銀河の小さな物語 3
さて、序盤の盛り上げです(笑)
緊急事態の内容が判明した。
どうも、得体の知れない惑星が、この銀河を突き進んでいるらしい。
らしい、と言うのは、その惑星を見て生き残ったものがいないということで。
情報はデータチップで届いているので宇宙軍総司令部で見せてもらった……
観測者と撮影者は某大型輸送艦のクルーだったらしい(全滅して艦体の破片からデータチップが見つかったとのこと)
それには、ものすごい速度で一直線に何処かを目指して突き進む惑星規模の大きさの天体が写っていた。
直径は、およそ2万kmというから彷徨える惑星だとしたら絶対にあり得ないような事態だ。
我らが宇宙軍総司令部は、この暴走天体が目指すポイントを特定するのと、あわよくば暴走天体の軌道を反らせないかという任務を我が艦に与えることとなった。
ゴマ粒が象より巨大なものに影響なんか与えられるかい!
と本音を言いそうになったのはグッと堪えて、任務を受領する。
我々がバカンスに浮かれている間、艦は改修を受け、少しだけ全長と全幅が長く大きくなっていた。
この新型艦には一発だけ超性能のミサイルが備え付けてあるとの情報を司令長官から聞く。
軌道を変えることが不可能なら、これで破壊せよとのことらしい……
こいつで破壊できるかどうかって本音は、またも飲み込んだのは言うまでもない。
この銀河の全て、生命もかけた任務が始まる。
失敗すれば、この惑星規模の暴走天体が引き起こすだろう銀河の混乱は莫大なものとなるだろう。
それこそ銀河が数割ほど削られる可能性すらあり得る(光速度近くの惑星規模物体は疑似ブラックホールとみなされる。近づいたものは全て破壊されるだろう)
我々は最後の一手ではないにせよ打つべき手の最善手の一つとして発進していった。
数日後、ついに我々は彷徨える惑星?の姿を、この目で捉える。
それは、この世のものと思えぬ光景だった。
本当に我らが故郷の星の倍近い直径の惑星大にして球形の巨大物体が銀河宇宙を突進している。
それに、どういう理論なのか不明だが、その速度は超光速。
こんな、どう考えてもありえない惑星大の物体が、ありえない速度で銀河内を進むと……
考えてみても分かるだろう、この銀河には大小合わせて100近い文明圏が存在する。
一直線に進むとするなら、何処かの文明圏と出会い、衝突することとなる。
そう、実際に、そういう事例がいくつもあった。
ある時は軌道を反らそうと邪魔ものや武器を用い、ある時は破壊しようと、その文明の宇宙艦総出で攻撃。
全て無駄だったのは言うまでもない。
それが有効なら今の事態は無い。
面白い現象?を見てしまうこととなった。
副長が沈思黙考している。
それも、よほどに深い思考のようで、このブリッジ内での行動とは信じられない。
副長は長い間、思考の海に沈んでいたかと思うと、おもむろに個人用ポーチから何か腕輪のようなものを取り出す。
副長が、それを右腕に通すとパチンと軽い音を立てて、その腕輪が副長の腕の一部と化す。
「副長、それは?君が、そんなものを身に着けているところ、今まで見たことがないが」
私が、そう問うと、
「艦長、これは万が一の安全策です。私の先祖は宇宙嵐によって、この銀河団の隣りの銀河団より流されてきました。私の先祖は、その難破中に、ある生命体より、このRENZという名称の物体を授かったそうです。これは私の微弱なテレパシーを増幅してくれると聞いていますので、この事態に必要となるのではと思い、持ってきました」
「この非常事態に、そこまで頭が回るのは凄いな。もう私よりも君のほうが艦長に適しているような気もするが」
「いえ、私には艦長のような直感と決断力がありません。輸送艦くらいであれば艦長に適すると思いますが戦闘を選ぶ可能性のある宇宙艦でしたら艦長任務は無理でしょうね」
果たして私は副長のように自分を評価できるだろうか?
まあ、無理だな。
私のプライドと負けん気が、その絶対評価を認めることができない。
さて、まずは、この物体とコミュニケーションが取れるのかどうか?
まずは、そこからだ。
「通信士、あの星?に向けて光、電波、重力波、ありとあらゆる手段で通信を送れ。コミュニケーションがとれるようなら、目的と目標を問いたい」
さあ、銀河の生命体の命をかけた駆け引きの始まりだ。




