とある銀河の小さな物語 1
新しい話の始まりです。
ガルガンチュアが登場するかどうか?
は秘密で(笑)
宇宙は無限である。
無限なる宇宙、それは無限の可能性を持つということ。
そこは、あり得ないほどに小さな可能性すら実現させる場でもある……
それは、割と小さめな銀河。
活発とも言えないが、暗い銀河とも言えない、発展途上の銀河だ。
そこには様々な生命体が生まれ、あるいは星ごと滅び、あるいは次代に覇権を譲り、またごく少ない数ではあるが、自力で宇宙開拓に乗り出す種族もあった。
その銀河宇宙に、ごくごく少数、ほんの数100の星に生きる生命体種族だけが恒星と恒星の遥かな距離を縮める手段を手に入れた。
しかし、その大半が光速度までの移動手段でしかなく、主星を中心として100光年以下の星間文明しか構築できなかった。
巨大な銀河宇宙ですら、光を超える速度の移動手段を手に入れたのは、ほんの数種族に過ぎなかった。
その数種族が、その銀河の覇権種族となり、互いに切磋琢磨し、あるいは小競り合いを続けつつ、それでも互いを滅ぼすこともなく、巨大な銀河に緩やかな星間連合共同体を造り上げていった。
いつしか、その星間連合共同体は銀河を丸ごと抱え込む組織となり、緩やかではあるが厳しい規律のもと、その力を全ての支配下宙域に伸ばしていく。
今では、その星系の光速以下の移動手段は、どのようなものでも許可されるが、光速を超えるもの(跳躍航法)は星間連合共同体の許可を得ないと航行はおろか宇宙船の製造すら許されない。
無許可の超光速エンジンを積む宇宙船は問答無用で星間連合共同体の宇宙軍の攻撃対象となる。
要は、己の星系の隣近所は勝手に出かけても良いが、遠い星系への旅行を含む移動(貨物輸送も)は星間連合共同体に全権委任させろという話であるが……
「艦長、宇宙海賊の撃滅、確認しました。報告書にありました宇宙艦全てで間違いないと思われます」
副長が、すました顔で報告してくる。
「ありがとう、これで任務完了だな。今回は、一ヶ月近くもかかってしまい、宇宙軍本部へ戻るのは久々になる。報告書を書き上げた後は、全速力で本部へ戻る!君も愛妻と子供に会いたいだろう」
「艦長、任務ですので個人的な不満はありません。しかし……宇宙海賊って連中は、あんな武器や装備で本当に宇宙軍の艦艇に太刀打ちできると思ってたんでしょうかね?確かに逃げ足だけは速かったと思いますが、紙装甲じゃないですか」
「いやいや副長。我々宇宙軍の艦艇装備や装甲、武器の情報は軍事機密として秘匿されているからな。彼らが独自開発していた武器や装備、装甲性能など、我が宇宙軍に太刀打ちできるレベルじゃないのだ」
納得しかねるという顔の副長を後に残して、私は艦長室へ。
今回の宇宙海賊掃討戦の詳細を報告書にして、帰投後に提出しなければならないので、今から書類作業に没頭しなければならないからだ。
まあ、とは言いながらも航行記録や戦闘記録は残されているため、あとは自分の感想を付け加えるだけなんだが。
はぁ……この書類作業だけは、どうしても慣れないなぁ……
私は、ぶつぶつ言いながらも上司へ提出する書類を作成していくのだった。
「トラース艦長、いや、トラース大佐。宇宙海賊撃滅任務、ご苦労だった。しばらくは、この銀河も平和になるだろうから、しばらくは休暇でも取り給え。この数年、君は有給休暇すら一日も取得していないようじゃないか。総務部のほうから、否が応でも今度という今度は強制的にでも休暇を取らせろと厳しいお達しが来ているのだ。明日から3ヶ月、強制的に有給休暇だ!さあ、本部から出ていけよ、休暇を消化するまで帰ってくるな!まあ、何か緊急事態が起これば別だがな」
我が上司である少将は、艦隊司令部より私を追い出す。
聞くところでは、私の部下全員が、有給休暇の強制消化ということで宇宙艦を追い出され(当直組も含めた全員だ)当分は帰投厳禁と言われたらしい。
はぁ……急に休暇3ヶ月などと言われてもなぁ……
こういう時、軍務のみで生きてきた人生に悔いが出る。
趣味や娯楽の一つでも持っていれば、精神的なストレス解消もできるんだろうがなぁ……
私は、小さなスーツケース一つを持ち、司令部を出る。
金は……あるな。
軍の認識票がクレジットカードにもなるので、金銭を持ち歩かなくても良くなったのは昔より進歩した点だろう。
さて、3ヶ月の強制休暇。
何処へ行き、何をやろうか……