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ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く  作者: 稲葉小僧
超銀河団を征くトラブルバスター
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宇宙台風 その2

突然ですが、しばらくはガルガンチュア登場しません。

銀河内部の事情と、この銀河での宇宙台風への対抗手段のお話を中心に。


その、宇宙台風が迫っている銀河の中……

とある星系、銀河の中心ではなく、とちらかというと端っこの方、辺境と言っても良い位の位置にある星系に、その人物はいる。


「それ、貧しいものよ、心寂しき者よ、我と共に来るが良い。不安も苦しみも、全て我が教祖が癒やしてくれるであろう」


顔立ちは整っている、どちらかというと二枚目とかハンサムとか言うレベルにある4名の男、そして同様に、いや、それよりもレベルが高いだろうと思われる美女や美少女4名が、その後に続く群衆を率いて行進している。


群衆に続くのは、その新興宗教団体を取材しているメディア集団。

これも独占取材ではない、密着取材を要望するメディア全てに許可を出しているから。

その後に続くのは、やじ馬集団。

こういうのに付きものと言うか何と言うか、それでもバカにならない数の群衆となっている。


デモ集団ではないので警察も群衆の監視と誘導するだけで、それ以上に手を出すことはしない。

美男美女に率いられた群衆は長い行列となって、少し離れた巨大ビルへ吸い込まれるように入っていく。


「はい、入信希望者の皆様。ここで、本心から入信を希望される方は、あちらの受付へどうぞ。あなた達の困りごと、気がかりなことを解消するためのお手伝いをさせていただくメンバーが控えております」


美男の一人が口を開く。

それに連れて群衆の一団が、受付へ向かう。

彼らの表情は一様に暗い。

それぞれが何らかのトラブルを抱えているのだろう、それを解決するため、話題となっている新興宗教教祖にすがりたいと思って、ここまで来たのだ。


「本心からの入信ではなく、体験入信されたいという方たちは、あちらの体験者用受付へ、どうぞ。完全な入信者ほどではありませんが、困り事やトラブルの解決に教団がどこまでお力添えできるか、少しでもお力にならせていただきます」


美女の一人が次に誘導するのは、体験入信のグループらしい。

また群衆の一団が動いていく。


「メディア関係者の方々は、こちらへ。教団取材の腕章とパスを発行しますので、これを常に身に付けていて下さい。それと、インタビューできるレベルが違ってくる方々がありますので、その詳細が書かれた説明書も、よくお読み下さい。では、メディア関係者は、こちらへ」


結構な数の集団が、また一人、案内役についていく。

残りは、やじ馬集団。

迷惑極まりない集団だが、それも対応しようとする宗教団体の者たち。


「入信も希望されない、体験もされない、メディアの関係者でもない方々は見学者とさせていただきます。今から見学通路へご案内しますので、ウロウロしないようにお願いしますね。勝手に歩き回られると各部署の警備員につまみ出されてしまいますので、案内人に付き従って下さい。では、こちらへお願いしまーす!」


案内人が美男と美女とくれば、やじ馬たちに否やもなし。

おとなしく集団は移動する……


数人、見学でもないグループがいるようだ。

入口から入ってきて、施設の説明用ブースにいる案内役に食ってかかる。


「うちの娘を返して下さい!親が認めていないのに、勝手に入信してしまったんです!」


息子だったり親戚だったり様々だが、要件は上記。

この件は……

と、上司を呼ぶ案内役。


「親御さんやご親戚の方々ですね。教団幹部のカワギシと申します。ご説明をいたしまして、それでも入信を諦めさせてくれと言われるようでしたら、教団としては引き止めません。こちらへどうぞ……教団の活動の子細をお話しましょう。時間かかりますので、別室で」


「暴力や洗脳を行うと聞いていますが?!」


「とんでもない誤解です。教団として、個人の考えや意識を曲げることは決してやりません。力で個人の尊厳を踏みにじって何が利益になると?そんなものはバカなものの象徴ですよ」


とりあえず、暴力や洗脳などの手段を使っているわけではないと納得すると、教団活動を知るために別室へ行く抗議集団と、教団幹部カワギシ。

別室で、様々な活動を行っている教団の実態と、今までの宗教団体とは違う包括的宗教活動とも言える教団の活動と、その目的を伝えるカワギシ。


小一時間ほど経ち、抗議集団とカワギシが別室から出てくる。

抗議集団は、とりあえず納得したようだ。


「お話は聞かせていただき、とりあえずは娘たちに危害はないということで様子を見ることにします。教団内での教育が終わったら、娘たちは家に戻してくれるんですよね」


「ええ、それはお約束します。ご家庭がある人たちや、未成年の方たちは、原則的に教団内部での生活は推奨しませんので」


カワギシの言葉を聞いていると、宗教団体とは言うものの、ずいぶんと緩い規則のようだ。

すぐにではないが、息子や娘、親戚が教団内部で閉じ込められるような生活をするのではなく家に戻ってくるということで、抗議団体は、この場から引き上げる。


「やれやれ。ああいった誤解を解くために、メディアの取材も解禁しているんだがな。未だ、ああいった抗議集団が来るのは偏向報道しているメディアがあるせいか……困ったもんだ」


仕事が終わったので気が緩み、愚痴をこぼすカワギシ。

部屋を出て抗議集団を見送ったその足で、また別の方向へ歩いていく。


しばらく歩いて今までいた部屋とは逆方向にある部屋の前に立つ。


「カワギシです。入室許可を」


シュッ!という音と共に、壁に見えた、ドアとは思えなかった箇所が開く。

通常のドアから入っていたら絶対に入室できない隠し部屋だろうか……


カワギシは、薄明かりしか灯っていない通路を歩いていく。

巨大ビルとはいえ、奥が見えないほどに長い通路……

こんなもの、どうやって作り上げたのだろうか?


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