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ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く  作者: 稲葉小僧
超銀河団を征くトラブルバスター
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星間戦争 1

ようやくストーリーが始まります。


その時は、迫りつつあった……


その星から、ちょうど一光年も離れているだろうか。

その宇宙艇……いや、救命用の小型艇だ……は、すぐ近くに宇宙へ出るほどには発展していない、知られざる星系があるのを探知した。


「艇長、未発展星系を確認しました。星図には載っておりません、どの勢力にも未加入の文明が育っている可能性が高い……いえ、発言を訂正!その星からと思われる強力な電磁波を確認!どうやら、電波や音波を使えるくらいには文明が発展しているようです」


艇長と呼ばれた者が、返事をする。


「了解。とりあえず、その星系の文明圏へ向かえ。宇宙へ出るだけの文明ではなくとも、少なくとも我々の味方になりそうな位置にある文明星系だ。やりようによっては一足飛びに宇宙へ出てもらうことになるかも知れん」


艇長の言葉に頷くパイロット。

宇宙艇は、近距離の跳躍航法で、目的星系のすぐそばに出る。


「全ての星系内惑星に植民やコロニーを置いているようなこともなし……これは、まだ宇宙へ出るだけのレベルに達していない文明か?古臭いロケット技術も無いようだと、我々でも手が出せなくなるぞ……せめて、自分の星の衛星に行くまでのレベルには、なっていてくれよ、頼むから」


パイロットが祈るような口ぶりで呟く。

この銀河では、宇宙文明と、それ以前の文明との交渉や接触を、固く禁じている。

これは銀河内での共通憲章のようなものであり、これを破った宇宙船や個人は、厳しく罰せられる(また、その上司である政府関係者も含まれるほどの厳しい罰則がある)

少なくとも、自分の星から脱出できるだけの速度を得る方法を確立していない文明は、宇宙文明との接触を得られない。

惑星に付属する衛星でも良いので、そこに到達するだけのテクノロジーがあれば最低条件には達するので、その限りではない。


宇宙艇は、滑るように星系内を飛んでいく(あまりに危険なため、跳躍航行は星系内では原則禁止。よほどの緊急時でもなければ許可されることはない)……数時間も飛べば、強力な電波が発信されている星が見つかる。


「よし、この衛星にまで飛べるだけの文明か、調査に入る。衛星に気体は付属していないようだが、調査には都合が良い。時間かけても良いので、調査開始だ」


艇長が指示して、部下のパイロット2名に衛星地表を詳しく調査させる。

数日後、ようやく部下から、


「艇長、衛星にロケット噴射痕とおぼしきもの発見。その傍には、明らかに衛星を調査しただろう機器も残されておりました」


部下からの報告に、


「よくやった、見事だ。これで、最低限のテクノロジー段階にある宇宙文明だと確定しても良いだろう。では、宇宙艇に引き上げてくれ。あの星に降りて、政府関係者と星間戦争への参戦について協議しなければならない」


数十分後、宇宙艇は衛星から、目の前に見える惑星へと飛行目的ポイントを変更する。


しかし、彼らは知らなかった……その星には統一政府など未だに無いことを。


彼らが連絡をとるために大都市を選んで、その宇宙船を着陸させるポイントを明示してくれと通信を送ったが、送られた相手側は、パニックに近いものとなった。

全く訳のわからない言葉で強引に救難信号専用のチャンネルで入ってきた通信波。

おまけに、それを送っている相手は、どう見ても宇宙船……まあ、どう見ても小型船なので、侵略用ではなかろうと判断した大統領だが、そこからが長かった。


どの国の言葉とも違う発音と語彙なので、共通辞書を作るどころの話ではない。

相手も、こちらの言葉が全然、理解できないようで、これでは挨拶も無理な状況……


ところが!

ここに一人の天才が登場する。


名前は、アダム・スパルタック。

職業、経済アナリストにして現役の大学生。

経済学の天才とも言われる人物ながら、未だメディアに登場すること皆無。

幻の天才と言われる人物だと、大統領は側近から情報を伝えられる。


「で?その経済学の若き天才殿が、どんな用なのかね?あいにくと我々は、君の得意分野の経済ではなく、異星からのゲストとの交渉で忙しいのだが」


大統領の、遠回しの面会中止宣言にも、スパルタックは動じること無く、


「大統領、僕がここに来たのは、その異星人との交渉を始める手助けをするためです。未だに異星人と会話を出来るレベルにも達してないとお聞きしましたが?」


あらゆる分野からエキスパートをかき集めて、異星人とのコンタクトを実現させようとしている時に、お門違いの経済学者が何言ってる?と、言いたい大統領だったが、


「そうだ、その通り、コミュニケーションも出来ない。こちらの言葉と相手の言葉に何も共通性がないから、今は完全に手探りなんだよ」


思わず知らず、愚痴をこぼす大統領。

しかし、スパルタックは何も表情を変えること無く、こう発言する。


「僕も参加させて下さい。まあ、すぐにとは言いませんが、数日で相手とのコミュニケーションを可能にしてみせますよ」


何を言い出すんだ、こいつ詐欺師か?

とでも言いたそうな大統領の表情……


しかし、発言を現実にしたのはスパルタックのほうだった。

彼は、どんなマジックを使ったのか、主語、述語、固有名詞から形容詞、関係代名詞に至るまでの共通辞書を作り上げてしまう。


「ああ、彼の言葉と思考を、こちらの言葉に直しただけです。少しは違っているかも知れませんが、通常の会話なら支障ありませんのレベルですね。後、数週間いただけば完璧な共通辞書を作ってみせますよ」


とは、若き天才の言葉。

とりあえず、政府関係者一同から感謝の言葉と、


「これからの交渉、君も参加してくれないか?」


と、大統領から懇願され、交渉代表の一員になってしまうスパルタック。

ここからが大事だった……


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