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ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く  作者: 稲葉小僧
超銀河団を征くトラブルバスター
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星間戦争 序

今回のお話は、とある平和な星が、突如星間戦争に巻き込まれるってお話。

どういう展開になるのかは、乞うご期待!


この話は、とある銀河の平凡な、とある星系の、とある星の光景から始まる。

そこは何の変哲もない、ともすれば退屈とも言える日常の光景……


「そこ、何やってんの!左翼が甘い!敵に集中的に攻められるって……」


「そ、そんな事言ったってぇー。俺達じゃ、何とも防ぎきれないんだってばよー!助けてくれー」


「ああ、もう!また負けちゃったじゃないの!あんたらが防御に集中してたら負けるはずのない作戦だったのに!」


ここは戦略(今のように戦いの戦略もあれば、経済戦争の戦略もある。単に敵を屠るだけでは戦いに勝てない)研究室。

今のは、昔に行われた戦いのシミュレーション。

負けるはずのない戦略で臨んだはずが、あっさり序盤で勝負がついてしまったのが不満なグループと、してやったりと笑うグループに分けられる。


「はいはい、遺恨は残しちゃいかんよ、これは、あくまでシミュレーションとしてのゲームなんだから。実際に戦ったのは遥かな昔。それも、大砲も銃も無い時代だったんだ。君らの戦略感覚では、とてもじゃないが信じられないというところだろうな」


はい!と、今の敗北が不満タラタラの顔で、女生徒が。


「先生、今の敗因、戦略上では考えられないのですが。何か相手がズルをしたとしか思えませんが?」


勝ったグループ全員の顔色が変わる。怒り、とまどい、不信……

先生と呼ばれたが、実際には教授であり、このサークルの顧問でもあるアモン教授が不満に回答する。


「君、ジョシュアーとか言ったね。敗北には必ず原因がある。今の戦いで君らのグループが負けたのは、事前準備の段階で完全に遅れをとったからだ」


ジョシュアーと言う名の勝ち気な女生徒は、それでも納得がいかないようで。


「事前準備?物資も兵隊も、そして後方援護まで漏れなくやりました。それが、何で緒戦で全滅なほどに負けたんでしょうか?!」


完全に納得がいってない。これで負けるはずがないとでも言いたいほどだ。

確かに、彼女が率いる軍勢の初期配置と数は、相手の倍以上で、地形も山上の砦を利用して圧倒的に有利だ。

しかし、教授は首を振る……


「君らの軍は戦いにだけ集中した。確かに戦場には先に到着し、その準備も怠りなかった。だが、結果はどうだ?圧倒的な敗北!これが現実だよ」


「だ、か、ら!何かズルをしたと言ってるんです!そうでなきゃ、こんな結果はありえません!」


ちっちっち。教授は指を振り、間違いを正す。


「君らと、勝ったグループとは、事前準備のやり方と方向が全く違っている。勝った側の戦略は……情報戦だ。まあ、詳しくはリーダーから説明してもらうか。さて、出番だぞ、天才」


教授に天才と呼ばれるほどの生徒とは?

グループの中から、もっさりした(と表現するのが似合うほど普通に、どこにでもいそうな)男が出てくる。


「教授、渾名で呼ばないでくださいと言ってるでしょうが。まあ、彼女も納得しないで負けたのが不満そうなんで解説します」


そう言いながら、ポータブル黒板を引き寄せる。

ちなみに、男子生徒の名前は、スパルタック。

この戦略研究サークルの部長であり、実質的なスポンサーでもある(それは、おいおい説明する)


「まず、君らの敗因の一つは戦闘にこだわりすぎたこと。まあ、これはこれで悪くはない。しかし、相手の情報も何も知らないまま戦いに臨むのは感心しないね」


「う、うるさいわね。圧倒的に有利な地形で圧倒的な戦力差があるなら、そんな事問題じゃないでしょ?!」


「あー、ダメダメ。ジョシュアー君だったか?それだから、負けるべくして負けたんだ。ちなみに僕らのグループは、君らの情報を全て手に入れることから始めたよ」


教授が口を挟む。


「うーん……まだ納得してないようだね。仕方ない、情報戦の凄さを知ってもらうか……ほれ、天才、解説だ」


「教授、だから僕は天才って名前じゃないと……しかたがない。ジョシュアー君たちが戦いの準備をしている頃、僕らは君らの戦力を解体してたんだ、裏でね」


「何ですって?!主従の誓いすら立ててる者が多い我が陣営で、裏切り者なんて出ないわよ!」


「甘い、甘いなぁ、君らは。こっちの戦略は、双方の死者や負傷者の数を最低限にし、なおかつ効果的に相手を叩くこと。この時代の常識である、下剋上を知らなかったのが君らの致命的な失敗だったよね。実際に戦いが始まったら、君らの味方は半分以上、僕らに寝返る手はずになってた。まあ、あれで初戦を戦えたのが奇跡みたいなもんだったよね」


「う、嘘……こっちの手駒は半数以上、そっちに寝返ってたの?!」


「はいはい、納得したようで。ちなみに、この天才スパルタック、このサークルの予算を自分のポケットマネーで出してるんだ。教授である私すらも、この天才には頭が上がらんのよ」


「スパルタック……どこかで聞いたような名前だと思うんだけど……」


「おや?君は雑誌も新聞も読まないのか?メディアニュースでも、しょっちゅう流れる名前だろうが」


教授に言われて、ジョシュアーは思い出す。


「あ、天才という名を恣にする経済アナリストにして戦略家!そうか、あなたがメディアにも顔を出さないので有名な、スパルタックね。まあ、あんたに負けたんなら納得よ。経済も国際情勢も、おまけに天気予報まで当てるって噂のスパルタックさん」


嫌味で言ったつもりが、当の本人には、


「いやいや、長期の天気までは当てるけど、短期は無理だ。本当に、天気だけは簡単に外れてくれるんだからねー」


当人は真剣に悩んでいるようだ。

こんなやり取りが、普通に続くものだと思っていた……その時までは……


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