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ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く  作者: 稲葉小僧
超銀河団を征くトラブルバスター
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若き戦士の日記 2

日記部分は、まだ登場しません。

もう少しお待ちください。

メックアーマーバトルに際して、厳格なルールが存在する(ルールを取り払った裏試合もあると聞いているが、それはただの殺し合いと変わらない)

それは、引き算と足し算。


何も装備しない素の状態でのメックアーマーが標準となり、そこから試合レベルにより、何を、どこまで、いくつ追加できるのか、が決まる。

地方大会や、様々な地域予選などでは素のメックアーマーのみの試合とあり、文字通り「殴り合い」あるいは「打って離れて」という戦い方が主となる。


地域大会決勝以上のバトルになると、追加装甲や武器の所持が許可される。

とは言え、どんな改造や追加をしても良いわけではなく、ルールがある。


標準機体の装甲を、より軽いものとする代わりに銃器(光線兵器ではない、実弾を使うもののみ)を持てるが、それも減らした装甲の重さまでが最大。

大きな口径(88mm)などというメックアーマー専用銃の最大のものになると、装甲は薄いアルミ箔レベルのものにしないといけない。


追加装甲も同様。

片手のパイルバンカー装置を外し、その代わりに分厚い盾や追加装甲を持てる。


しかし、ここに、とんでもないアイデアを実行しようとしている青年がいた。


「おい……本当に、こんな改造やって良いのか?機体には影響は少ないだろうが、ドライバーのお前の負担は酷いものになるぞ」


メックアーマーエンジニア(とはいうものの、実際にはパーツを外したり追加したりの作業が多い。まあ、その追加したパーツを操作するための制御プログラムは必要になる)の若い男(少年の匂いを軽く残している、青少年とも言う)が再確認する。


「良いんだ。これで地方大会決勝で勝てる可能性が高くなる。何しろ、決勝の相手は新品機体と最新の制御プログラムを自由に使える大金持ちのボンボンだからな。そんな奴に勝とうと思えば、こっちは何かで無理するしか無いだろう」


大きな声ではないが、低くてもよく通る声。

答えた男は、日焼けした肌に適度な筋肉。柔軟性を保つための薄い脂肪……

顔は二枚目とは言えないが、強い意志と決意に満ち溢れている。


「いや、それは分かるんだが……肝心かなめのフィールドエンジンを取り外すなんて無茶だぜ。急激な動作をした場合、Gや衝撃が全てお前にかかってくるんだぞ、分かってるのか?なあ、悪い事は言わないから、こいつだけは元に戻そうぜ。こいつを外すと自動的にフィールドバリアまで無くなっちまって、パンチやらキック、パイルバンカーの衝撃まで全て受け止めるんだぞ。フィールドバリアがあっても失神するやつがいるってのに、これ外しちまったら、下手すりゃ死ぬぞ……」


「そうだな……死ぬ可能性は高いだろうな。だけど、それでも尖ったカスタムにしなきゃ、勝てない。俺は……勝ちたい。勝って、勝って、勝ち残って、銀河チャンピオンシップに出る。そして、銀河チャンピオンになるんだ!親父、爺、ご先祖全ての思いを実現するんだ!」


「あー、はいはい、分かったよ。毎度毎度、銀河一撃流だっけ?その悲願が、銀河一になるってことだもんな」


「ああ、異端とか邪道とか言われながら、血反吐をはく毎日の修行、文字通り命がけの組手試合、何度走馬灯を見たことやら……しかし、ついにメックアーマーの地方大会とは言え決勝へと勝ち上がった!やるぞ、俺、クスノキ・イッキがメックアーマーで銀河の頂点を目指してやる!」


「いや、お前んとこの道場って格闘技だろ?それも生身の。どうしてメックアーマー格闘なんてものに手を出したの?」


「メックアーマーは別物だ。こいつは、大昔の鎧と何も変わらん。ドライバーの動きをトレースしているから、こいつなら我が流派の理想、たった一人で戦艦の腹をぶち抜くなんて事もできるんだよ」


「はぁ……滅茶苦茶だとは思うけど、お前が言うと本気で実現しそうで恐ろしい……」


「さて、と。無駄口叩いてないで、さっさとやる!こいつを外せば、人間一人分以上の軽量化になるんだから!これなら最小のトレース遅延ですむと思う。Gや衝撃は、俺の鍛え上げた肉体で吸収するさ」


とんでもないことを、さらっと言い流して、彼らはオンボロの鉄鋼所の片隅で作業を進めていくのだった。


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