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ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く  作者: 稲葉小僧
超銀河団を征くトラブルバスター
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もう一人の楠見 その七

対話回。

さて、それからはヤマノくんのやることが増えた。

ヘルメットギアの装着と使用法に慣れることと、ESP教育の2本柱だ。

ちなみに、ヘルメットギアのサブパーツとして作られた物は全てカロン号へ運ばせておいた。


「あのー……この装着パーツって、ヘルメットギア専用ですか?」


と、ヤマノくんが恐る恐る聞いてきたので、にっこり笑って返事の代わりとする。

何故かヤマノくんの笑顔は引きつっていたが。


「当たり前です、師匠。ヘルメットギア装着用サブパーツ、どれだけ作ったと思ってるんですか。俺が数えただけでも100や200じゃきかない数でしたよ。ビーム系からミサイル、大砲みたいなものもあったし何か衝角ラムみたいな奇妙な形したものもあったし……あれ、全部ヤマノくんに押し付けたんでしょ。師匠も人が悪いなぁ」


「でも、サブパーツだけあってもヘルメットギアがないと使用不可能なんだ。どうしたって、使える使えないに関わらず、ヘルメットギアの持ち主に一緒に持っていってもらうしかないだろ?」


「まあ、そりゃそうですが……使い方によっちゃ、あれだけで一つの星を制圧できるってのに、いとも簡単に他人にあげちゃうんだから、この人は」


「郷?俺の今の力、分かって言ってる?ヘルメットギアがない方が俺のサイコキネシスは自由に使えるんだ。言ってみれば、あれは肉体の力を拡大するけれど、逆に精神の力は弱めるみたいだな」


「いやいやいや、ヘルメットギアが作られた時に、師匠みたいな力を持った人間が誕生するなんて考えてもいなかったからじゃないですか!あれ、小規模ながらテレパシーやサイコキネシスの増幅機能もあるようですよ。まあ、師匠が使う時はヘルメットギアの機能より師匠自体の力のほうが強かったので増幅機能は働かなかったようですが」


「そうなのか?しかし、これで倉庫内も幾分、すっきりしたろ?ヘルメットギアのパーツ関係で結構なスペースとってたから」


「それもこれも、プロフェッサーやフロンティアに全てパーツ開発を任せてしまった師匠のせいです。ノリノリで開発してたそうじゃないですか」


「ま、まあ、俺には不相応なものだったがヤマノくんなら使いこなしてくれるだろう。うん、そう期待しよう」


「あ、また逃げようとする!師匠、待ってください、師匠ってば!サイコキネシスで飛んでっちゃったか……ヤマノくん、そんなわけで、ヘルメットギアはサブパーツと共に全てが君に譲渡される事となった。師匠の言葉じゃないが使いこなしてくれたら嬉しい」


「いや、こんな秘宝に近い物をポンと譲る心情が理解できないんですが……まあ、力及ばずとも使いこなしてみせますよ、絶対に」


「金銭とか名誉とか女性とか。師匠には、こだわりが無いように見えるんだよな、ホント。あの人が本当に目指しているのは実は宇宙を平和で安全な空間とするって事それ自体じゃないかと思う時がある。自分ではモテた事など無いと言ってるが、その実、どんな過去を持っているのやら……」


「でも少なくともクスミさんって悪い方ではないですよね?基本的に悪を嫌うような気がするんですが」


「いやいや、そうでもないみたいだぞ。宇宙平和や生命体の安全のためだったら状況によっちゃ悪も正義も叩き潰すと言う方が正しいんじゃないか?現に、過去いくつかの銀河規模の帝国があったけど、そこは平和に統治されてたんで介入しなかった。逆に自由に銀河内を宇宙船が飛び交ってる無政府状態の銀河じゃRENZを利用して銀河規模の平和維持部隊を作り上げて、秩序回復のために銀河中に宣戦布告したときもある。師匠の中にある基準みたいなものに反しなきゃ帝国主義も良いんじゃないかな?」


「幾つもの銀河……それって今までに幾つぐらいです?」


「正直、途中まで数えたが、やめた。銀河団や超銀河団を超える旅もしてるんだぞ。訪れた銀河の数なんて物の数にも入らないことに気づいてしまって、な」


「ぎ、銀河団、超銀河団……あなたがた、現実に存在する神様?それとも神の使徒?」


「これを言うと必ず返ってくる疑問だね。俺達は神様でもなきゃ、その使い走りをする使徒でもない。ただの人類と、バカでかいけれど宇宙船だよ。ただ一つ違うとするなら師匠の存在だな。あの人が、このガルガンチュアの中心。師匠が消えたら俺達は存在する意味が無くなるんじゃないか?そう思う時は、たまにある」


「じゃ、じゃあ、クスミさんは神の使い?」


「いや、違うと思う。あれだけ人間臭い神様や御使いがいるものか。ただ、師匠、クスミさんの場合、自分の理想を目指すという意識が、とても強いんだろうな。それこそ無限の宇宙にいる、無限とも思える生命体全てを救い、安全で平和な宇宙にしたいという理想とも欲望ともいえないものを追求し続けるって人間、いや生命体は他にいないだろうな」


ヤマノは想像するだけで目が眩みそうな高みにある人物が、果たして自分と同じ生命体なのか?そっくりで双子とも言えるだろうが中身は全く違うのではないかと、混乱しながらも思うのだった……


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