偽ガルガンチュア現る その13
宇宙戦、終了!
お?4時間ほどで敵勢力攻撃の手数が減ってきたぞ?
全戦力とは言え、階級制度で押さえつけていたからか、それほど強大な戦力は持っていなかったようだ。
戦艦、重巡、軽巡、駆逐艦、輸送船まで繰り出して、なけなしの燃料を使い果たしてまで戦力をかき集めたようだが、この光景は雲霞のごとく、などという程度にもならんな。
せいぜい、15万隻というところか……大帝国ではないので、これでも本星を守る主戦力なんだろう。
もしかして、他の星から戦力を引き抜けなかったのか?反乱を恐れて?
それだったら、自業自得というもの。
強大な敵が現れても自分の領地内すら統制できていないという愚か者の見本だ。
「フロンティア以下、ガルガンチュア構成の4隻へ。搭載艇群を放出し、駆逐艦、輸送艦を殲滅しろ……分かっているとは思うが、生命体は除いての殲滅だ。まだ最後の望みくらいは残してやるのが情けってもんだ」
音もなく、頭脳体が船に指令を下す。
残弾全て撃ち尽くし、レーザー砲の残存エネルギーすら残っていない状況の中、巨大な宇宙船の全てから何やら煙のように見えるものが出てくる……星間帝国軍は、次の瞬間、悟った。
「あれ、全部が搭載艇か?直径5000m超えてるものもあるんだが……」
「バカ、5000mあったって、あの中に搭載されている時点で搭載艇だ。しかし、なんて数だ……ん?戦艦を素通りしていくぞ?」
「敵の行動が判明!駆逐艦と輸送艦のみを狙って破壊しています!もう2割を超える損耗率となります!」
それを聞いて、司令官たる皇帝は、その理由が分からず、困惑する。
「はて?装甲と武器性能の高い戦艦や空母から破壊するものだろうが?あの巨大宇宙要塞は、どういった理由で、駆逐艦や輸送艦など殲滅しようとする?」
参謀も、これには答えようがない。
「軍事の通常戦法とは、あまりにかけ離れているので、理解不能です……もしかして、駆逐艦と輸送艦は、あまりに数が多いので初めに減らしているとか?」
「そんな馬鹿な話は……いや、あるかも知れない……こちらの攻撃は全く受け付けず、向こうはこっちの弾切れを待ってやりたい放題だからか」
皇帝の想像は当たっていた。
敵と認識するのも面倒だと楠見は思っていた。
幼児の「イヤイヤ期」が大人になっても治らないダメな種族を叩き直すために、イヤと言うほどの敗北感を感じさせてやっているだけ。
駆逐艦と輸送艦の山を始末するのに、1時間近くもかかってしまう。
「マスター、10万隻近くあっては搭載艇群と言えども時間がかかります。しかし、もう大丈夫ですね。あとは軽巡以上の宇宙艦しか残っていません」
「そうか……それじゃ、まずは軽巡のみ殲滅。次に巡洋艦、そして重巡、で、空母群を潰して、最後の最後に戦艦ね」
防御スクリーンを解除したガルガンチュア。
その副砲が全て軽巡に対して……
軽巡が壊滅、重巡も壊滅、空母は穴だらけにされ、残るは旗艦と副旗艦……戦艦のみ数えるほどしか残っていない。
「我々、相手をとことんまで怒らせたようだな。こんなことになると分かっているなら、あの師団長の話を真面目に聞いておけば良かったと思う……まあ、これが我が種族の悪い点なのだろうな。唯我独尊で、相手のことを考えずに自分だけが突っ走る。相手を見下し、下級種族に貶め、最後には自分たちが殲滅対象となる、か」
その言葉が終わるかどうかのタイミングで、ガルガンチュアの副砲一斉射が行われ、帝国自慢の宇宙戦艦(装甲、武装、どれも最新の無敵戦艦と呼ばれていた)は全て宇宙の藻屑となる。
帝国軍がガルガンチュアに攻撃をかけて、6時間後のこと……その後、ガルガンチュアと搭載艇群の他には、デブリの塊と、よくよく見れば宇宙艦の残骸と見えなくもないという鉄くずだけが、その宙域にあった……




