その星には今日も強い風が吹く 7
お久しぶり!ガルガンチュア登場!
一方、こちら久方ぶりのガルガンチュア一行。
「ん?何だか、すっごく久しぶりに出番が来たような気がするが……気のせいか?」
楠見が何か察しているようだが、そんなことは無視してストーリーは進む。
「主、何か気になることでも?落ち着かないようだが」
こちらも久々のガレリア。
「ん?いや、ちょっと気になる思考波が届いてね。どうやら、宇宙時代には到達してない文明が下手すると絶滅戦争を起こしそうな雰囲気なんだが……どうしようかと思ってね」
普段の楠見なら後先なしでトラブル解決!
とばかりに駆けつけるのだろうが今回は少し違うようだ。
「あのー、師匠?トラブルと判定したら何でも解決するのがガルガンチュア一行でしょ?何を悩んでるんです?」
と、郷。
確かにトラブルになる可能性の高い事件に対し、これほど消極的な楠見は珍しい。
「いや、トラブル解決に動きたくないわけじゃない。ただ、この頃、思うんだよ。果たして俺達ガルガンチュア一行が宇宙時代にも到達してない文明に対し介入してしまっても良いものかと……確かに今までも宇宙時代前の文明や個人に介入してたんだが、あれは多少なりともテレパシー能力を持つ個人が相手だったし……例外もあるのは分かってる。今回、俺のテレパシー能力に引っかかった思考波は個人のものじゃない。テレパシー送信能力を持たない種族の、多分だが種族全体の思いみたいな物が強いテレパシー波となって届いたようだ」
「ふむ……私のテレパシー受信設備にも他の三隻のテレパシー受信設備にも届かないほどの、か細いテレパシー波ですね。しかし、マスターには受信されたと……マスター、これはもうマスターのテレパシー能力が宇宙の管理者レベルに届き始めたという事ではないでしょうか?肉体を持つ生命体が管理者達と同じレベルでのテレパシー能力を持つという事は、恐らくですが始祖種族すら超えていると思われます。推測ですがサイコキネシスの方も、とてつもないレベルになっているのではないかと」
フロンティアの意見、楠見は多分、正解なのだろうと思う。
このところ大小様々な星雲、銀河の近くを通る度に種族全体の思いを乗せた潜在的なテレパシーを受けることが多くなってきたのを自分でも感じているから。
「フロンティアの意見、多分だが正解だろうと思う。で、その上で聞きたい。この一惑星上の戦争、トラブル認定して俺達が介入すべきだろうか?」
「ちょっと意見を。我が主の心は、もう決まっているのでは?我々は我が主の心のままに従うだけです」
プロフェッサーが楠見の痛いところを突いてくる。
本来、楠見は、この超高性能な宇宙船の指針を示すのが役目。
よって参考意見ならともかく他のメンバーの意見で指針が左右されることは、あってはならない。
「プロフェッサー、この重大な場面で真っ当過ぎる意見を……はぁ、分かったよ、分かった。俺の意見を言うぞ。これは宇宙時代に到達できる可能性を持った文明だと思う、だから絶滅戦争を回避するため、俺達は介入すべきだろうと思う。これに反対のものは?」
誰もいない。
「よし!それじゃ決定!進路およびポジションを言うので、そこへ向かってくれ。ガルガンチュア、出動だ!」
この瞬間、もう強風の吹き荒れる星には平和が来ることが確約された……




