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球状生命体の星へ向かいます。 全面対決はしませんよ。

トラブルの素、球状生命体(吸血生命体)への抗議行動へ向かいます。

主人公は何やら秘策があるようですが……


球状生命体の本拠地である星系は不定形生命体の星系とはずいぶんと離れている。

まあ、お互いに寿命が長い種族のため、通常は交渉や交易を行うのが普通だが、残念なことに球状生命体にとってタンパク質生命体は「エサ」に過ぎない。


でもって不定形生命体は彼らのお好みの体液では無かったようだが、不定形生命体の交渉力と顔の広さが災いしてしまった。

こともあろうに不定形生命体を自分たちの「エサ探索」に使おうと考えてしまった。


宇宙の生命体が平和に相互扶助するように「宇宙法」を布教していた不定形生命体に、こんな役目や命令が「はい」と二つ返事で聞けるわけがない。

そのために球状生命体が中心になって作られていた星間連合(体の良い、家畜の集まりと、それを食べる主人の会だ)に入れと言われた途端、返す返事で「嫌だ」と言ってしまった不定形生命体に、なんら非はない。


しかし、それを苦々しく思ってしまった球状生命体の星間連合は一部の反対はあっただろうが(何のことはない、球状生命体中心の星間帝国だから)不定形生命体に対して制裁を加えることとなる。


球状生命体に一方的に宣戦布告された不定形生命体は、それでも正式な戦闘行為は行わなかったと、ライムは言っていた。

戦いは不毛なことだと身にしみて知っていたし、宇宙法を布教している種族が率先して戦いをするわけにはいかなかったという事情もあるだろう。

あれよあれよという(数百年程度)間に植民星や交易している友邦惑星から追い払われ、又は欺瞞情報により、宇宙に広く布教に出ていた各宇宙船も全て故郷の惑星へ帰還させられた不定形生命体は故郷の惑星に閉じ込められることとなった。


それだけではなく二度と宇宙へ出られないように太陽制御装置を主星に打ち込まれ、短期間で主星が膨れ上がった上で、ようやく惑星包囲網を解く命令を発する球状生命体の星間連合。

それから10万年近く地下深く潜った不定形生命体達は、あまりの太陽熱に地表へ出ることもかなわずに、一惑星に閉じ込められていたわけだ。


まあ、俺が救助に行かなかったら、あと数万年は同じ状態だったと思います、とライムに言われた。

あまりの環境に、さすがの生命力を誇る不定形生命体も将来に希望が持てずに自殺する(エネルギーの摂取を自分で断つらしい。即身仏のようなものか)個体も出てきて、お先真っ暗の状態だったらしいところへ俺が現れて。


太陽を一気に元に戻すとは行かないけれど、将来、再び宇宙へ出ることが可能になるという希望が出てきたので、それはもう大喜びだそうだ。

補給物資も充分に貰った俺達は新しい仲間、ライムと共に球状生命体の星間連合(星間帝国だろ?)の主星たる星をめざして恒星間駆動を巡航速度にして跳躍中だ。


速い速い、とても巨大な小惑星サイズの宇宙船とは思えない。

(いつの間にか、直径5kmを超して、もうすぐ6kmに達するとのこと。しかし、フロンティアに言わせると「まだ、これでも主砲は載せられません。主砲は船がフルサイズにならないと狙いをつけることが出来ないのです」とのこと。どんな最終兵器だよ、それ)

そんな俺達の思いとは裏腹に、フロンティアは宇宙空間を、まさに「すっ飛んでいく」のであった。


「マスター、そろそろ球状生命体の支配する惑星に接近します。残り1時間ほどですので、計画を説明してもらえますか?」


お、そろそろ到着か。

計画って言ってもな。


「球状生命体の本来の種族を思い出して欲しいだけなんだよな、俺は。あいつらが、あんなふうに進化する前の状態を思い返して欲しいんだよ。同じタンパク質生命体として、な」


「しかし、我が主。今はタンパク質生命体とは全く違う外見と、さらに吸血というおぞましい栄養摂取方法をとる生命体になってるんですよ。話を聞いてくれますかね?」


「ご主人様。お話を聽く限り、ご主人様と私、精一杯譲ってライムのような生命体とは全く違った思考形態と種族目的により行動していると推察されますが。話が通じますかね?」


「キャプテン、私も同意見です。星間連合に入ることを断っただけで、我が種族は絶滅一歩手前まで追い込まれました。とても、話し合いに応じるような雰囲気ではないと思います」


うん、君たちが、そう言ってくるのは予想済みです。


「俺に、ある仮説がある。それについてライムの意見が聞きたい。球状生命体って、その星で発生・進化した生命体か?」


「いいえ、キャプテン。どこかの星から移住してきたらしいですね。運良く、敵となる生命体もいない草食動物主体の惑星発展段階でしたから彼らは衣食住に苦労せずに、そのまま故郷の星の技術段階から、あまり低下すること無く発展してきたと、過去に交渉していた不定形生命体の記憶があります」


やっぱりな。

あとは、たった一つの問題だけなんだが……

これは球状生命体に聞かないと分からんか……


「まあ、やってみるさ。少なくとも、自分たちの過去の祖先に近い姿をしている俺だ。最初のテレパシー交渉くらいは受けてくれるだろ」


この時にも俺には成功するビジョンしか頭になかった……

ある一つの仮説が事実だとしたら、これは一挙に解決する問題だ。

一応、防御バリアだけ展開しながら、球状生命体の星へ接近していく。

お隣の惑星との中間地点で停止して、俺はお決まりのテレパシー放射を行う。


〈球状生命体の諸君に告ぐ!こちらは地球人の宇宙船、フロンティアだ。他の生命を攻撃対象にしたことについての抗議と、その攻撃や吸血をしなくて良い方法を討議しに来た!交渉を求める!〉


さあて、鬼が出るか蛇が出るか……


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