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ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く  作者: 稲葉小僧
超銀河団を征くトラブルバスター
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修羅の星 17

どこまで行くか、この戦争……


陽昇国海軍の試験部隊から実証部隊、現在は秘匿艦隊扱いの、かんむ……

うぉっほん!

個別艦装部隊は、その艦のサイズの小ささを利用し、いつの間にかアーメリゴ合州国戦艦部隊の直近まで近づいていた。

レーダーも初期のものでしか無い時代なので、もっぱら敵艦は目で確認する(双方とも)

よって人体にアタッチメントで武器を装着したような個別艦装部隊は、集団で動くならともかく個別にこそこそ動いていると海面を滑るように動くせいで大きな艦からの視認性が低くて認識されにくいという利点がある。

さすがに同形式の駆逐艦や軽巡、重巡と比べると武器性能は落ちるが個人武装と考えれば圧倒的な破壊力のある砲や魚雷を装着しているので、ここまで接近すれば……


「個別艦装艦隊、攻撃準備!今だ、ぅてーっ!」


驚いたのはアーメリゴ合州国艦隊。

敵艦隊も視認される距離に入り、さて艦隊攻撃の開始を指示しようとした途端、駆逐艦や軽巡が被害を受けだした。

重巡以上、空母用途の重巡改も含めて大きな艦は被害が小さいが、駆逐艦や軽巡のような装甲が薄い速度重視の艦は手酷い被害を受けている。


何事か?!

と再度、海面を覗けば何か小さな、それこそ救助艇よりも小さなヨットに近いような物が海面を動き回り、そのサイズでは考えられない武器を使って駆逐艦が爆発、大破するのが確認できた。


「各艦に通達!俺達の回りに何か分からないが最小サイズの攻撃艦のようなものが走り回っていると思われる。大砲や魚雷では相手の速度について行けないと思われるので機関砲と手持ちのライフルで対処せよ!可能ならば救助艇以下の小さな小回りの効く小型艇で迎え撃て!」


ここでアーメリゴ合州国艦隊は自分たちが致命的な勘違いをしたことに気づいていない。

しかし、これは勘違いを責める事も無理だろう。

どこの誰が人体にアタッチメント化した艦船装備を着けるようなアイデアを実用化しようとするだろうか?

世界広しと言えど陽昇国くらいのものだろう。


遅まきながら救助用や揚陸ボートを降ろして謎の襲撃艦を撃退しようとするが……

ことごとく攻撃を躱され、向こうの砲撃や小型魚雷により手酷い被害を受けて退散するか、ゴムボートや小型ボートだと穴を開けられて沈むものが続出!

1時間後には軽巡以下の駆逐艦は影も形も見えず、軽巡も半数以上が沈められ残りの4割強にも小破以上の被害。

さすがに戦艦や重巡は小破までの被害は受けなかったが、それでも当たりどころが悪かった重巡の副砲が2門、制御不能となる。


「個別艦装部隊、撤退!雑魚は蹴散らしたんでボスと取り巻きの退治は、お願いするわ!」


との通信を残し、かんむ……

いや、個別艦装部隊の出番は終了。

ここに、ついに艦隊決戦の時を迎える!

まず火を吹く互いの戦艦主砲。

お互いの重巡が一隻づつ初撃で大破に追い込まれ、2撃目で沈没。

主砲は連続で撃てない(砲の冷却タイム)ので副砲が活躍するが、それでも重巡の主砲より少し小さいサイズとなるので流れ弾でも当たった日には軽巡以下は木の葉のごとくバラバラになり、空中を舞う。


さすがに戦艦同士、相手の砲弾が命中しても甲板や船腹なら、ほとんどはねかえす。

これを覆すのは駆逐艦や軽巡に装備される大形魚雷。


「照準、よし!ぅてーっ!」


陽昇国艦隊、駆逐艦の魚雷発射管より、予備も使ってしまえとばかり全力の魚雷攻撃がアーメリゴ合州国艦隊、戦艦へ集中して放たれる。

その数、なんと24本!

虎の子である戦艦をなんとかして守ろうと軽巡で動けるものが魚雷コースを遮ろうと動くが……


「何ということだ!戦艦を守る盾となる駆逐艦や軽巡が、ほとんど沈められている!これが陽昇国の超小型攻撃艦隊の目的だったか……」


ど、ぅーん!

腹に響く轟音を響かせながら多数の魚雷が敵戦艦に当たり、戦艦の横腹に風穴を空ける。

それは2年前の悪夢の再現。

大穴を空けられた戦艦は修復もままならず総員退艦命令が出される。

ここにアーメリゴ合州国は2隻もの戦艦を東洋の小国と見下していた陽昇国に沈められたこととなる。

海戦開始後2時間……

互いの艦船総数は、


アーメリゴ合州国:戦艦0(大破沈没)、重巡2(のうち中破、小破それぞれ1)、重巡改1(中破状態だが航行に支障なし、残りは戦艦主砲の弾が当たり、あっけなく沈没、搭載していた航空隊も20機(?)が運命を共にした)、軽巡0(魚雷を自ら受けて残っていた軽巡は全て沈没)、駆逐艦0(個別艦装部隊の攻撃により全滅)


陽昇国:戦艦1(小破。副砲と機関砲2に被害、艦体後部に敵戦艦主砲の直撃を受け大穴空くが航行に支障なし)、重巡2重巡改2(小破3、中破1)、軽巡6(小破4、被害なし2、)、駆逐艦15(小破10)


結果だけ見ればアーメリゴ合州国側の惨敗。

2年前の悪夢の再来だ。

それもこれも陽昇国側の秘匿兵器や秘匿艦隊の実力を甘く見ていたこと。

特に個別艦装部隊の攻撃力を見誤っていたこと、自国の魔導力飛行隊に魚雷装備可能な機体が皆無だったことが致命的なミスとなり、この結果になったと言える。


大統領の敗戦報告を聞いた時の顔色は一見の価値があったとアーメリゴ合州国でも毒舌と皮肉で有名な新聞、ヌヨーク・スン紙は報じ、政府によって当日発行の新聞は全回収となったと噂が……


「我が思い、やはり届かなかったか……この再度の敗北で、かの国は余計に憎しみを募らせるのだろうな……我は、この戦いで亡くなった将兵達の魂が安らかなることを祈るだけ……」


神皇陛下は、この勝利報告を聞いても笑みを浮かべること無く、ただ亡くなった将兵達の冥福を祈ることが重要だと述べるだけだったという……


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