修羅の星 15
サブタイトルを「修羅地獄の星から」より「修羅の星」と変えました。
新しい書き込みと勘違いしないようにご注意下さい(笑)
久々の海戦シーン!の開幕まで(笑)
アーメリゴ合州国が勝負を賭ける場所として計画したのは太変洋、ほぼ両国の中間地点。
そこへ物量の豊富さを誇示するかのように莫大な物資と燃料、そして土木機械を大量に投入し、通常は水深の浅いサンゴ礁の多島海域を強引にだだっ広い砂浜地帯とし、回りを掘り下げて戦艦でも入港可能な一大基地を作り上げてしまった、それも2ヶ月という期間で。
陽昇国海軍、潜深艦隊も地点と敵行動は把握していたが、あっちこっちに駆逐艦隊の群れが巡回していたため近寄ることが不可能となり、みすみす敵の行動を許してしまっていた。
「諸君!ようやく反撃の一手を打つことが可能となった。今、この時より奇跡の陽昇国は野蛮なる東洋の弱小国に成り下がるだろう!行け!そして敵を打ち破って2年前に沈められた戦艦部隊の仇を討つのだ!敵の新兵器だったヘリコプターは、もう我々には通用しない事を身をもって教えてやれ!」
ようやく新造戦艦が完成し、空母改装された重巡4隻を含めた大艦隊が母港を出港する。
祝の言葉となった大統領の言は、どうしても士気を鼓舞するものとなるが新型魔導力飛行デバイスを満載した重巡改が4隻、さらに戦艦1、通常重巡4、後は軽巡10、駆逐艦30の巨大艦隊で、どうやったって負けるイメージなど湧くはずもなし。
意気揚々と母港を出向した大艦隊は、それでも戦艦が足を引っ張るため駆逐艦巡航速度の半分以下となる艦隊速度で、それでも着々と決戦の部隊となるだろう地点の基地目指して進んでいく。
陽昇国は、と言うと、こちらも用意周到。
かんむ……
いやいや、正式には「個別艦装部隊」の実戦お披露目となる戦いとなるので各自、否が応でも力が入る。
緊張してないのは良いが無駄に戦闘前に力を入れすぎても無駄になるだけなので、上長判断で各部隊にお茶とお菓子(鬼まんじゅう。敵鬼を食ってしまえという縁起担ぎか?)が支給され、たまの甘味に皆の余分な力が抜ける。
「よーし、お前ら。あれほどやりたがってた実戦だ。この戦いで海のエースとなり個別艦装部隊が正規部隊となるように尽力しろ!正規部隊となれば欲しい装備やアタッチメントは、すぐに支給されるぞ!」
きゃーっ!
やるわよー!
など、軍とは思えぬ黄色い声が上がり、それでなくとも高い士気が、また上がる。
陽昇海軍の迎撃艦隊も今回ばかりは奇襲は無理と判断し本当に虎の子(戦艦保有は3隻のみ)の戦艦1、重巡改(ヘリ母艦扱い)2、新重巡改(個別艦装部隊母艦)2、軽巡8、駆逐艦10の、これも大部隊で敵基地攻略の重要任務、そして接敵するだろうことは予測済みの敵艦隊殲滅の命令を受けて、これも太変洋を進む。
これより240時間後、互いを認識した両艦隊は、いよいよ敵艦隊との戦いに臨む。
アーメリゴ軍は新型魔導力飛行デバイスを装着した飛行隊の発艦を始める。
ヘリコプターと違い、こちらには離発着に滑走路が必須となるため、通常の重巡に改造工事で長い甲板部を突き出すように改装された。
その滑走路に初の実戦となる新型魔導力飛行デバイスを装着した魔導力飛行兵たちが順番に並び、飛び立っていく。
まずは艦隊の上空援護とばかり、飛び立った飛行隊100名は、そのまま戦艦を中心とした艦隊の上空を飛び回る(空中停止機能は無いので飛ぶしかない)
陽昇国艦隊は、もう秘密でも無くなったがヘリコプター部隊を(前海戦より大幅な増機)50機、艦隊守備隊として空に上げる。
そして今回ついにお目見えの秘策にして奇策!
個別艦装部隊が、それぞれ武器や装備を身に着けて新型の改装巡洋艦から発艦(?)していく。
ヘリ部隊は空へ上がるため遠方から視認可能だったが、この個別艦装部隊については巡洋艦の背後にある隠しハッチから発艦するため相手から視認されにくいという利点がある。
個別艦装部隊、総数28名。
戦艦や重巡に隠れたようになっているが、その威力は装備した重巡、軽巡、駆逐艦と同じ。
ただし今回は戦艦の個別装備や武器が間に合わなかった(実弾訓練後に整備を要するが、戦艦装備の整備は時間がかかる)ため戦艦女子部隊員は見当たらなかった。
さあ、双方とも戦の準備は整った。
緊張が高まる中、一番槍はアーメリゴ合州国の戦艦。
命中率は低くても戦艦主砲の威力は絶大だと照準ギリギリの距離で発砲!
ろくに弾道計算もしてないので弾は明後日の方向へ着水したが、その水柱は……
「あれが当たっていたら重巡でもひとたまりもないぞ……」
そう呟く間にも双方の距離は詰まっていく。
30kmを切った時、双方の空中部隊が動く!
アーメリゴの飛行デバイスは、その速度に物を言わせ、逆に陽昇国ヘリ部隊は自由自在の機動性に望みをかけ……




