表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く  作者: 稲葉小僧
超銀河団を征くトラブルバスター
457/813

修羅の星 12

まだ続きます。

神皇陛下が、ため息をついていた時、アーメリゴ合州国と陽昇国の初めてとなる海戦は……

終了していた。


ヘリ部隊の強襲による超低空(波がヘリの機体を打つほど)からの魚雷攻撃!

総本数64本にもなったというヘリ16機からの一斉魚雷攻撃は、さすがの耐久力を持つ戦艦も、その横腹を破られることとなる。


右側中の水面より少し上、そこに多数の魚雷が集中して当たれば、いくら装甲板が分厚かろうが関係ない。

船腹に大穴が空き、ダメージコントロールを行うどころではない。

なおかつ、後から後から魚雷がやってくるのが見えているため艦長以外は早々に退去命令が出された。


「あー、俺も運がないなぁ。陽昇国海軍との緒戦で虎の子の戦艦と共に沈む運命とはなぁ……そもそも、主砲の一発も撃てないのに沈んでしまうとは情けないよなぁ。ま、いいか。沈むまで時間あるんで秘蔵の酒でも飲み干してやるか!艦長だからな、これでも。避難などした日には本国へ戻ったら即、軍事法定が待ってるのは確実だしなぁ……ブルドッグは、ここに海の藻屑となる……」


後に引き上げられたブラックボックスにあった、ラスト15分の録音テープに残っていた音声は准将殿の愚痴と上層部への批判のオンパレードだったと言う……かくて故サミュエル准将は政府判断により奮戦した後、戦艦と共に海に沈んだと言われ名誉と共に軍神扱いとされたとのこと……録音テープは闇から闇に消えたとか消えなかったとか……

ちなみに軍での葬儀時、中将閣下となったのは2階級特進制度だから。


この海戦、陽昇国海軍側の被害は、ほとんどなし。

ヘリ部隊に小破が数機出たくらいで(ほとんどが駆逐艦からの小型砲。しかし、それが幸いして海面スレスレを飛ぶヘリにも照準が可能となった。装甲ヘリのため、ほとんどが被害なしだったが、まぐれ当りでローターが一本折れたものも出た。残り3本のローターで帰投は可能だったが)艦隊には被害皆無。


それに比べてアーメリゴ合衆国側は酷いもの。

戦艦は大破後、沈没。指揮官兼艦長も戦艦と運命を共にする。

その他の重巡以下の随伴艦たちはヘリ部隊の重機関銃掃射により副砲と主砲以外を沈黙させられた。

駆逐艦部隊は、もっと悲惨。

主力武器の魚雷は空に浮かぶヘリ部隊に通じず。

その他、機関砲も持っていたが早々にヘリ部隊の重機関銃により全て沈黙……

ヤケになった重巡部隊は残った主砲と副砲で。

駆逐艦部隊も各艦に一門だけある主砲で立ち向かおうとするが……


ヘリ部隊に気を取られていたアーメリゴ艦隊は、こっそりと忍び寄っていた陽昇国海軍、潜深艦部隊に気づかず、いいように魚雷攻撃を受けてしまい駆逐艦は全滅、軽巡は大半が中破以上で母港まで帰れそうなのは2割もない状況。

重巡艦隊は言うまでもなく戦艦に次ぐ獲物だったため戦闘が終了した時、海面に残っている艦自体が、ほとんど見えなかった。

半舷沈没、沈没中、大破状態で沈没を待つだけ状態も入れれば、ほとんど全滅。


陽昇国海軍側が、ほとんど信じられないという気分になりそうなくらい一方的にアーメリゴ合州国海軍、それも戦艦を含んだ一個艦隊を全滅に近い形で葬った事は参謀本部と内閣、そして情報省へ第一報が入る。

湧き上がる迎合者たちを横目で見ながらも内閣を束ねる形になった内藤総理は難しい顔をしていた。


(勝ったのはよろしいが新兵器のヘリコプター部隊を使わねばならなかったのが苦しいな……これを戦訓としてアーメリゴ合州国側も空軍を重視するだろう。さて、相手はどんな航空隊を作り上げてくるのやら……超大国だから我が国のようなヘリ部隊じゃなくて、もっと速度のあるデバイスで魔導力を有効利用する物を作り上げてくるのだろうが、それに対する我が国の対抗策が……無いんだよなぁ、これが。アイデアは軍や民間から出てくるが、どれもこれも開発期間と資材をバカ食いする案ばかり。即時に使えるものがないのは資源のない我が国には難しい……)


心の声を聞き取ったのか、そうではないのか。

この時より数週間後、民間から素晴らしい名案が出る。


それは今までとは理論から違う、全く新しいと言える魔導力エンジン。

民間の匿名技術者だそうだが今までの通常エンジンや旧魔導力エンジンと比較すると、3倍以上の出力差。それと一緒に過給装置というものが案として出されたが試験的に作成してみると5割以上の出力増加は簡単にできるが、高熱と、その出力増加に耐えうる材質が問題となる。


とりあえず強化外骨格と航空部隊の魔導兵に使える台数の新魔導力エンジンは調達できそうなので、さっそく導入することにする。


軍工廠だけでなく民間工場までが細かいパーツ作成に協力してくれたおかげで、計画台数100は、すぐに揃った。

後は首都防衛隊用の強化外骨格に10基ほど割いて(小隊5名だが、ずいぶんと使用が荒っぽいらしく予備用も請求された)あとは緊急の遊撃隊用として空軍の魔導力航空隊に回す。


「うー、新しい強化魔導力エンジンに換装されて今までとは段違いに出力が上がったのは嬉しいんだけど……加速も最高速度も今までとは違う世界に入っちゃったから制御が難しいよねー」


「ああ、我々のような生身に近い形で空を飛ぶのは風の抵抗も含めると激しい肉体的消耗が起きるからな。それもこれも自分の肉体を鍛えることから始めるしか無いわけだ……ちえすとぉ!」


などと今までとは全く違った兵装に違和感を抱く者たちばかり……

それまでは魔導力と機械力の使用程度が半々だったものが、いきなり魔導力2割機械力8割となったに等しいので混乱も理解できる。


しかし、これでアーメリゴ合州国と対等に戦える基礎は出来た。

後は相手の準備が整うまでの時間。

その時間が長ければ長いほど、こちらにも新型魔導力エンジンを量産する時間ができる。

血を流してまで競う果てしないマラソンが始まった……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 実は私、荒巻氏の潜水艦奇談に通信参謀で登場します。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ