手がかりが少ないです。 ちょっと絶滅の可能性も出てきました。
あけまして、おめでとうございます。
今年も頑張って、この「終わりのない宇宙探検物語」を書いていけたらなと思います。
読者様方には、五体投地をもって感謝を示したい作者であります。
方針を変えてから、ここで幾つ目の惑星訪問になるのだろうか。
フロンティアの復旧プロジェクトは順調に進んでおり、現在は製作直後の0.1%に届くまで復旧していた。
ということは、だ。
月と同じくらいの大きさの0.1%なんで、少なくとも全長4km以上はある宇宙船。
こんなものが衛星軌道上にいるだけでも、その星にとっちゃ脅威になっちゃうわけで。
完全に惑星と惑星の軌道の間にいることを義務付けられるわけですな。
まあ、こちらも、そのことは織り込み済みですからして、文明を持っている星系に接近すると、まずは電波や光信号等で相手の気を引く。
そしてコミュニケーションに持ち込み、搭載艇にて軌道上あるいは大気圏突入後に宇宙港に着陸。
相手との情報交換、となるわけだ。
一応、不定形生命体が存在していることはおぼろげに分かってきたが、さて、どこにいるのやら、さっぱり見当もつかない。
いくつもの恒星系に立ち寄ってみたし、いくつもの惑星にも降りた。そこで得られた情報は?
宇宙法の設立者としての不定形生命体が古代から続く「人知を超えるもの」としての伝説に彩られた存在だということだ。
まあ、少しは手がかりが増えたってところかな?
「フロンティア。現在の状況は?不定形生命体について何か新しいことが分かったか?」
「はい、マスター。残念ながら、この星にも不定形生命体の残した宇宙法の石碑は残っていますが最初期のものではないようですね。一番古いものでも数千年単位でしかありません」
「ここも外れか。どうなってるんだ?これだけ宇宙法という概念を広めながらも不定形生命体そのものについての情報が全くないってのは変だろう?」
「はい、マスター、肯定します。これでは、まるで一時期だけ宇宙へ放散した種族が、ある時点で急に集合命令をかけられて、その後、全く自分たちの星から出なくなった、引きこもったとしか考えられません」
「そうだよな。では、それが事実と考えて、なぜか?ということになる。なぜ不定形生命体は、それまでの「宇宙法の概念を全宇宙に伝える」って使命を途中で放り出して自分たちの星に引きこもったのか?だな」
「それについて、一案があります、我が主。不定形生命体の、それまでの宇宙法の布教(?)状況から考えて自らが自発的に星に引きこもるとは考えにくいと思われますね。何かの外圧、あるいは本星がなんらかの危険にさらされたため、全ての種族を引き上げさせて全員で故郷の星を守ろうとした。こういうシナリオが考えられますが」
「ご主人様、よろしいでしょうか。生体端末たる私が考えますに、あの不定形生命体が、あわてて故郷の星系や惑星に還るなどというのは、よほどの事態だと推察されます。私が分離する前の記憶では、不定形生命体とは生命を維持させる領域が幅広く、宇宙空間であろうとも数日は生存できる、または、強烈な太陽光や宇宙線、ガンマ線はさすがに除きますが……を浴びても短時間なら平気な生命なのです。温度も宇宙空間から数100度までなら生存に支障はありません」
ふむ。
この話、総合すると何か突発的な事故か、あるいは攻撃(?)により主星か惑星に酷いダメージが与えられたため、宇宙に出ていた全ての者たちを故郷の星に呼び戻して、今も星から出られない状況になってもギリギリで破滅から救おうと悪戦苦闘している、のかも知れないな。
この予想が当たっていないことを祈ろう。
「では、それを前提とした探索方針に変える。フロンティア、センサーを、大規模な災害に遭った可能性のある、数億年前は通常の星だったであろう惑星に合せてピックアップしてくれ。現在、生命体が住めないと思われる状況でも構わないからな」
「はい、マスター。やってみましょう。最悪は、もう星ごと蒸発しているか爆発している可能性もありますので、その点はご容赦下さい」
「ん、分かってるよ。最悪の事態でも不定形生命体がエッタの言うとおりなら生き残っている生命体がある可能性は高い。それなら救わなくてはいけない」
ということで、またもや方針転換。
今度こそは、不定形生命体に会いたいね。