気分も新たに、トラブルバスター始動!
今回の話、長くなるのか短いものになるか、まだ読めません。
フロンティアに詳細説明を求めると渋々ながら、
「言いにくいのですが、この銀河の支配体系は特殊だと思われます。ただ、超銀河団の渡航許可を出した管理者の言によると、我々のお隣である、この超銀河団では我々の常識が通用しないとのことでしたから、これが普通かも知れません。それを前提として聞いて下さい」
と話し始める。長かったので要領をかいつまむと……
1、この銀河では、いわゆる「タンパク質生命体」人類と、その類似種族は補助種族……それどころか一部のタンパク質生命は食料扱いされているらしい(情報を集めてきた小型艇集団は実際に食べられているわけではなく、どうやら精神エネルギーを吸い取られているらしいと報告してきているようだ。生存環境は、ずいぶんと快適なように調整された惑星にあるらしい)
2、この銀河の支配種族とは俺達が引っ張ってきた植物生命体(ダイソン球殻に暮らす特殊な植物生命体)とは違って俺達の銀河団でも存在した植物生命体(通常の植物として集団で一個の巨大知性を構成するタイプ)なのだそうで。ただし、彼らの食料として、通常の肥料だけじゃなく生命体の精神エネルギーをも必要としているために、このような支配形態になっている。
3、支配体系は複雑で、頂上は植物生命体集合意識、その部下に昆虫種族があり、そのまた下に獣(獣人じゃない、人類との混血もない変身もしない、獣そのもの)、それが猿人を含む人類と亜人(獣人も不定形種族も含む)を支配しているという構図。
まあ詳細を聞かされて直接食われているわけじゃないのが理解できたが、問題と言うか疑問が……
植物が、なんで精神エネルギーを欲しがるんだ?植物って、成長にも発芽にも、でもって子孫を残す(生殖)にも精神エネルギーなんて不要。
太陽光、適度な肥料と水、それから成長に必要な一定の面積さえあるなら植物は満足する。
少なくとも俺達の銀河団(超銀河団にしても)では、そんな支配欲も精神エネルギーを貪欲に欲しがることも無い植物生命体ばかりだった……
俺達の宇宙と、この宇宙は隣同士。相違点は多々あるだろうが、そこまで大幅に違う原因が分からない。
確かに管理者は、俺達の常識が通用しない文明や生命体があるだろう、いるだろうと言ったが……植物生命体というのは、惑星規模でもベースだろう?そこまで強欲な植物生命体が生まれる必然性?うーむ……分からない……
「ガルガンチュア構成の各船に。超小型・小型搭載艇を、できるだけ放出して、この銀河の食物連鎖を調査しろ。そして、できれば植物生命体がタンパク質生命体、主に人類と亜人種族の精神エネルギーを摂取する理由が知りたい。おそらく、この銀河が異質な原因は、そこにあるだろうと思われる」
さて……雲霞のごとくガルガンチュアを取り巻く搭載艇群(こんなにあったんだ。それでも超小型と小型だけなんだが)がいなくなるのに数時間かかるだろうが、後は待つだけ。
「マスター、本当に、この銀河のトラブルシューティング、やるつもりですか?根が深いんじゃないかと思うんですが……」
「フロンティア、トラブルはトラブルだよ。根が深かろうが時間が千年かかろうが、俺達が解決できる問題なら、ぜひとも解決してやろうじゃないか。まあ俺達しか解決できないレベルなんだから、それは俺達に任されたものだと思うんだ」
そう俺達にしか解決できないのなら、それは俺達が解決してやらなくちゃ。




