とりあえず、進路決めます。 あと、ちょっとした秘密が明かされます。
話の流れ的に、こうなるよね、ってな話です。
ちょっとした秘密ってのも、フェイルセーフというか、安全措置というか……
「よし、決めた。フロンティア、新しい進路だ」
「マスター、どこの星、または銀河にしますか?」
「あ、銀河は、この銀河系な。星は……探すんだ」
「はい?進路未定?」
「探査っつーか何と言うか……エッタの話に出てきた不定形生命体の文明圏、または棲んでる星を探すぞ」
「興味はありますが……やりがいもありそうな任務ですね。最大で、この銀河系の半分を探すことになりますね」
「ああ、やりがいはあるぞ。これこそ「新しい文明、新しい生命」の探査だろ?」
「ふむ。まずは不定形生命体の存在そのものを探す事から始めましょうか」
「大丈夫だな。では、新しき目標!不定形生命体の文明探しに出かけよう!」
って事で、新しい進路というか目標というか、は設定終了。
「フロンティア、ちょいと個人的に話がある。オレたち二人だけになれないか?」
「はい、それでしたら、コントロールルームが空いてますが」
「じゃ、そこでちょっとお話しようか」
ここはフロンティアのコントロールルーム。
プロフェッサーやエッタは、ちょいと遠慮してもらってる。
「さて、フロンティア。お前、意図的に俺をこの船のマスターにしただろ」
「えーと、何の話でしょうか?」
「とぼけるな。さっきの火星の話を聞いてて、何かおかしいと思ったんだよ。お前、実はマスター登録された船長権限を持つ生命体がいないと自分の持つ力の、ごく一部しか使えないんじゃないのか?今は俺がマスターとして認識されているから兵装や船のエネルギーを100%使える状態にあるんだろうが、違うか?」
「これはマスター、鋭い!確かにマスターの言われる通り、私はマスター無しでは自分の船の能力を10%も使うことが出来ません。それ以上の機能や兵装は生命体のマスターが機能解除してくれないとダメなんですよ。ですから木星の海に沈んでいた時もマスターの船の光に救われたと言いましたが、あれは半分しか正解ではありません。本当は仮に貴方をマスター登録したからこそ使えない上位エネルギーを少し使えるようになり新しいマスターを迎えるためということでメタンを取り込む能力も解禁されたのです」
「やっぱりな。なぜ今までそのこと俺に隠していた?俺が、どちらかというとドンパチが嫌いな性格だからか?いや違うな。そんな理由じゃない。もしかして生命体個人に判断させるには、あまりに大きな力だからか?」
「降参です、マスター。プロフェッサーが超天才と言っていましたが、その通りですね。確かに私の兵装や全能力をマスターに教えて、その使用許可を貰った時点で私は、あの精神生命体を除けば無敵と言ってもいい存在となります。でも、私はマスターに、その使用許可を与える責任を負わせたくないと思っています」
「フロンティア、お前は優しいな。でも大丈夫だよ。俺は自分の行為で救われるものがいる一方、同じ行為で死すべきものがいることも知っている。ま、俺を信用してくれフロンティア。俺は間違うこともあるだろうが、その責任は自分で持つさ」
「分かりました、マスター。では私の持つ能力の全てと兵装の全てのデータを教えます。その後はマスターに、その機能や兵装の使用許可を全て委ねます」
「ああ、まかせてくれ。お前を死神の船にはしないから安心しろ」
公開されたデータを俺が全て記憶するのに1時間じゃ無理だった。
でもって主たる武装の「時空凍結砲」ってのは、まだ再現中ってことだそうで。
ってことは、未だにフロンティアは建造された時の姿には戻っていないってことかい?!
どれだけでかい宇宙船だったんだ?!
後日、修復終了後の姿を3Dグラフィックデータで見せてもらったが……
なんと地球の月と同じくらいの大きさと形をした球形船だった。
今の姿は中枢部を修復してから周辺部へ広げたような、いわゆる独楽のような形になっているとのこと。
部材は充分にあるが時間がかかるので跳躍移動中も修復を続けるのだそうだ。
まあ、こんな船をつけられるドックも無いだろうし、時間かかっても自分で修復できるなら大丈夫か。




