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恋模様なんて書かないのです。 次の目的地、進路を決めます。

別に主人公に嫉妬してるわけじゃないよ。

爆発しろ!とは思ってるけど。

キャッキャウフフ場面なんか書いてやるもんか!

ってな理由で、新しい進路、目的地を決めます。

かと思えば、古代宇宙船が木星のメタンの海に沈んでいた理由が明かされます。


エッタが俺に張り付いてる。

四六時中だ。


トイレや入浴時にも一緒に入ってこようとするので、さすがに禁止した。

添い寝も禁止した、もちろん。

数日間、ブチブチ文句言ってたが、そういう気分になれんのだよ。

地球人ってのは、獣じゃないんだからさ。


「さて、一段落ついたんで新しい進路を決めるぞ」


「ようやくですか、マスター」


「わが主、次はどちらへ?」


「ご主人様、気分が変われば分離体を作る気になりますね」


「エッタは、そっち方面の話、当分禁止な。今は新しい生命や文明に興味が向いてるの」


「はい、わかりました。その気になったら、いつでもどうぞ」


だからさ、悩ましい格好をするなって。


「よし!気分切り替えて、だ。フロンティア、神の使徒の話にあった不定形生命体の文明って、今もあるのか?」


「いいえ、マスター。私の探査した限りでは、不定形生命体の文明どころか不定形生命体そのものが見つかった痕跡もありませんね。とはいえ、この銀河系の半分くらいしか探査しておりませんので、私の判断では不定形生命体が絶滅したという事は言えませんが」


「ほお……まあ300万年かかっても銀河系を全て探査するには時間が足りなかったという話か。いくら速い船でも一つ一つの星系を全て探査してたら、そりゃ時間かかるわな」


「マスター、誤解を解くようですが。私の主たる使命は銀河団空間の探査です。この銀河系に来たのも、ちょっとした事故のようなものでして……」


「あ、そうだったな。っていうかフロンティア。お前、なんで太陽系の木星のメタンの海なんてところに数万年も沈んでたんだ?この船、こんな超高性能船だったら、あんなとこにいるはずないじゃないか?」


「あ、マスター、それを聞きますか……私の、ちょっとした判断の迷いというか、やっちゃいけない事をやっちゃったというか……」


「フロンティアほどの船にして航行不能になるほどの損害を受ける存在なんてあるのか?あ、まあ、この前の神の使徒なら、あり得そうだがな」


「う、そうなんですが……やはり、お話したほうが良いですかね」


「お前ほどの船を傷つけられる存在は、そんなにいないだろう。俺達も教えてもらえば気をつける参考材料になると思うんだけどね」


「そうですか。では、ちょっとした私の恥をさらすような事件だと思って聞いて下さい」


それは恥などという言葉では言い表せない大事件だった……

後で分かったことだが、これも事実100%ではない。

この前日譚のような大事件があり、それでフロンティアは太陽系に流されて来たのだから。


《フロンティアの独白》


それは今から6万年ほど過去のこと。

銀河団空間の第2次調査を終えた私は、久しぶりに星の海の中へ帰って来るところでした。


銀河団駆動から銀河間駆動、恒星間駆動へと駆動系を切り替えつつ、速度を落とした私は、とある星系の近くを通りかかるところでした。

その時、滅多に受信しないはずの緊急救助テレパシーを受信した私は、あわてて緊急回頭して、その星系へ向かったのです。


はい、予想通り、その星系とは「太陽系」でした。

緊急救助テレパシーが発信されていたのは、太陽系第4惑星。いわゆる「火星」からでした。


私が火星に到着した時、避難民が多数の移民船や貨客船に乗り、発進しようとしているところでした。

私は自分のテレパシーで火星政府首脳と話しました。


緊急救助要請の内容とは私の想像を超えるものでした。

火星の科学者の一団が、冷えゆく火星に熱を取り戻そうとして、無茶な実験を強行したとのことでした。


私は自分にできることはないかと、私の力を提供することを示唆しました。

火星首脳は、できることなら強行された実験を止めて欲しい、我々の力では止めようがないのだ、と懇願されました。


私は、その実験地へと飛びました。

酷いものでした。

徐々に冷えつつあった火星ですが、そこは灼熱地獄のように高温であり、とてもタンパク質生命体には入り込めない地帯になっていました。


私は、その高熱を取り去るため、とりあえず冷凍弾を周辺から播いていきました。

その地域は、あるポイントを除けば気温が安定したのですが……


そのポイントが問題でした。

火星の異端科学者達がやらかしたのは火星のマントル層のエネルギーを取り出し、それを制御することにより火星を温暖な星にしようという、無茶なものでした。


私が出来たことは、その時点で使用できる自分のエネルギーを使い、そのマントルからの熱エネルギーを相殺することだけでした。

私自身は跳ぶためのエネルギーやエンジンはありますが、それを他の目的に使用することは不可能になっています。


なぜなら、そんなことをすれば制御不能になった場合、次元空間そのものに酷い傷をつけてしまう恐れがあるからです。

よって、自分が使用できるエネルギーの限界まで使いきった私はマントル熱エネルギーの思わぬ噴流により火星から飛ばされてしまい、制御も出来ぬまま木星の海へと沈んでしまったのです。


その後の火星からのテレパシーを受信したところ、私の力は及びませんでしたが火星人は全て避難できたとのこと。

どの星へ行ったのかは分かりませんでしたが恐らく一部は地球へも向かったのではないでしょうか。


ただし、重力の問題で火星と比べて1.5倍になった重力環境。

火星人にはツライ環境だったでしょうね。


地球移住組は絶滅したかも知れません。



ふーむ。火星に残る巨大火山の跡って、もしかしたらフロンティアの関係した事故現場か?

と、ふと思った俺であった……


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