隠された未来文明 4
今回は、座学とリハビリと……
それから、僕の毎日は……半分、眠っているようなものだった。
妙な装置に入り、そのまま横たわるように倒され、そして、眠りながら太古の、そして未来の隠された知識を頭に叩きこまれていくのだった。
何日、何週間、何ヶ月、何年?その毎日が続いただろうか。
ようやく、装置の中から出された僕は、それからリハビリだろうか?肉体を動かす事を中心にと、教育が変わっていた。
「ミネルバ、この数カ月で、何とか自分の体を自由に動かすことに慣れて来たよ。最初は殺されるかと思ったけどね」
「いえいえ、何をおっしゃいますやら、シュン様。こんな短期間に体術含めて、ここまでレベルの高い動きを会得されるとは」
ちなみに僕、今現在、重量挙げで500kg超え、ジャンプは5m以上を可能とする。
自分の体が、ここまで動けるとは想像もしなかった(僕は学校以外はアルバイトしてたんで)
いつの間に忍者修行なんてしてたんだろうか?
まあしかし、スポーツやってなくて良かったような気がする。
こんな奴がアスリートとして出現したら、スポーツ界は大混乱するぞ。
「でもさ、ミネルバ?ここまでの力って必要なのか?普通に暮らしていくだけなら、これは不必要な体力のレベルだろ?」
当然の疑問を提示する。
「あら、シュン様。敵対する組織や国家が攻めてきた時、私達ではお守りしきれない場合がありますからね。そのための用心です」
おいおい、今何と?
「今の世の中、そんな秘密組織や敵対国家などあるはずがないじゃないか」
そんな僕の言葉を遮るかのように……
「それはシュン様が、世界の裏事情をご存じないからです。この地下都市が、もしも世の中に知られてしまったら、この都市に存在するあらゆるものを手に入れようとして、国家や秘密組織が動き出すのは目に見えてますわよ」
うわぁ……聞きたくなかった裏の世界と闇の事情。
でも、そりゃそうか。
この地下都市は、遥か未来とも言うべき超科学のテクノロジーで造られたもの。
あの学習装置で教えられた知識によると……
遥か数万年前、この銀河の中央部付近にある星間連盟から派遣された探査船が、この宙域の付近にて故障し、この星に不時着を余儀なくされた。
探査船のパイロットは、銀河中央部の最先端科学のテクノロジーで造られており、修理するにも部品すら作ることが出来ない古代の現生人類では再び星の世界に戻ることは不可能と判断したそうで。
数百年の間、古代人に神として君臨した異星のパイロットは、それから長い眠りについたのだそうだ。
「数万年後に、先祖返りに近い形で潜在的に強力なESPを持つ僕が選ばれたってことか……ここへ来るのも運命だったのかもね」
僕の呟きに、ミネルバは、
「ええ、そうです。シュン様の潜在能力の高さは、通常人類のレベルとは段違いでしたからね。すこーしですが、こちらから干渉させていただき、この地へ来るように誘導させていただきました」
うわ!衝撃の事実。
やけに運が良いとは思ってたけど、そうか、少しづつESP能力も発達させられてたわけなんだ。
「ところでミネルバ。現在、僕のESPは、どこまで到達してる?」
これは聞いておかないと。
「それでしたら、シュン様のESPレベルは相当に上がってますわ。テレパシーは、集中すれば、この星に反対側に住む、たった一人の意識を読めるくらい。通常ですと10名ほどの表層意識なら普通に読めるかと。サイコキネシスですと、そうですね、今の体力と同等、500kgほどの重量なら持ち上げることも可能です。後は……必要時に必要な力が出せるように、多重思考の恩恵も受けられるようになってますから」
お、おう。
ほとんど人間やめてるな、僕。
他人から自分の力が異常なほどだと告げられるのは、いささかツライものがあるけど。
「そこまでの力を持ってても危険なのかな?過剰な気もするんだけど」
「いえいえ、まだ足りません!ESPは使ってこそ成長しますし、肉体の方も同様です。まだまだ鍛えないと、まだまだ」
はぁ……一個人が国家を脅せるくらいになるのも問題じゃないのかなぁ……
僕は、鍛えまくった末にライバルも敵もいないという場面を想像し、溜息をつくのだった……はぁ。




