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精神生命体からの贈り物その2 ついに神の使徒の歴史が明かされます。

一応、ここで昔話は終了するんですが……やっぱ、こうなるよね。

はあー。

次の話までにメイド娘の名称を決めておかなくちゃ……


「ありがとう。これで精神生命体を創造した文明の歴史は、ほぼ分かったと思う。次は精神生命体「神の使徒」の歴史だな。さぞかし壮大で豪華な歴史になりそうだ」


俺が促すとメイド娘は少し哀しい表情で、


「そんなに楽しい生き方でもありませんでしたよ。特に自分が徹底的に孤独な存在であることは理解してましたけれど、それでもビッグバン直後から宇宙が晴れるまでの生命体の種類と、宇宙が晴れ渡った時点からの生命体の種類が全く違うものになったのは少しツライものがありましたね」


なんだと?!

生命体ってのはビッグバン直後から発生してたのかよ!


この情報にはプロフェッサーも、さすがのフロンティアも興味津々で一言も聞き漏らさぬように真剣な表情になっている。


「ものすごい膨大な熱エネルギーの魔女鍋状態の宇宙から今の虚無空間が多い比較的冷たい宇宙への転換期ってのは、さすがに見ものだったんじゃないのか?」


と聞いてみると、


「目の前の空間が曲がり・撚れ縮れながらも急速に空間が広がっていく時期と空間が安定して広がる速度は比較的落ちて宇宙が安定してきた時期の生命体変遷は凄かったですね。まず、プラズマ生命体がほとんどを占めていた最初期宇宙から、高エネルギー状態であれば生存できる生命体に主体が代わっていき、冷えてきた宇宙には高エネルギー生命体は存在できないので次々と死に絶えていき、逆に初期の巨大恒星が出来上がるに連れて恒星の中や表面に住む形の生命体が生まれて増えていきました」


恒星でも初期だから、とてつもない巨大なものが多かった時期だな。

その中や表面に住む生命体か、とんでもないな。


「その後、巨大恒星系は次々と圧壊するか爆発するか。その後、またしばらくして、まだ大きいですが昔の頃より小さな恒星系が生まれ始めました。この頃も、まだ巨大だった恒星の中に、より小さなエネルギー状態でも生存できるように進化した生命体が住んでいました。でも、それも時間の問題でした。また、その巨大な恒星は圧壊するか爆発して、より小さな恒星の元が造られるようになり、その後、やはり、より時間をかけて小さな恒星と、その恒星を基準とした恒星系の誕生となりました。この頃には恒星の中や表面に住む生命体は昔の偉大な生命体ではなく、文明を作ることもない、ただの生命体となるまでに退化していきました」


お?

今、聞き捨てならない言葉が。

もしや太陽の中や表面にも、そのエネルギー生物が今でも住んでいるのか?!


「もう、この頃になると宇宙空間を漂って生きる力をもつような生命体は私一人となっていました。空間そのものが冷えてエネルギーを失ってしまい、精神体でもなければ代謝にエネルギーを使うため短時間くらいは生存できるケイ素生命体くらいしか宇宙空間に出ようなどと思うような生命体は長らく出てきませんでした」


うん、そうだろうな。

ここから地球人も知ってる宇宙になるわけだ。


「私は、そんな退屈な宇宙になった時期に、きままにあっちこっちと様々な星系を覗き込み、生命体の発生を観測したり絶滅しそうな環境にあれば一時的に保護したりして暮らしていました。超高重力の惑星に発生した生命体など、あの環境で、よくも文明を発展させたものだと感心しましたね」


あ、俺、知ってるぞ、メ○ク○ンだろ、それ。


「その頃くらいでしたかね。一隻の恒星間駆動を可能とした宇宙船の事故と思しき機体が私の近傍へ流されてきたのは。そこには不定形の身体をした軟体生物が一体だけ生き残っておりました。私は生まれて2度めに自分が関わる生命体に興味を持ち、その生命体の怪我を治してあげると、その生命体とコミュニケーションを持ちました」


「あ、それだな。俺との会話の中で久々に強いテレパシーを使う生命体種族に会った、と言った種族ってのは。ふーん……不定形の身体をもつ軟体種族か」


「そうですね。ご主人様の使うテレパシーは音声コミュニケーションを得意とする生命体種族の使うレベルのものじゃありません。日常的にテレパシーを主たるコミュニケーション手段としている種族でも一部が届くくらいの強度と収束力です。ご主人が現在、音声を使って話している事自体が信じられないです」


「まあ、俺の力は一種、人工的に開発されたものだからな。先祖返りとも言うが……」


「マスター、やっぱりですか」


「わが主。それは、やはり先史文明人の血が地球人にも……」


「おっと2人共、これオフレコな。機械生命体文明の奴らに知られたら今度こそ無理矢理にでも皇帝の位に座らされそうだから」


「こほん。続き、よろしいでしょうか?それでは。私が命を救った不定形生命体は強力なテレパシーを使いました。ですから私とはすぐにコミュニケーションが可能となりました。彼は私に自分の故郷の星に連れて帰ってほしいと懇願し、私はそれを了承しました」


「異種生命体同士の出会いにはテレパシーを使えという不文律は、そこから来たのかも知れないな、その話聞くと」


「そうかも知れません。あいにく宇宙船は原始的であり、我々が出会ったポイントは彼にとっては未知の宙域であり、その頃の宇宙は、たった一つの惑星を探し出すには充分に広すぎたのです。幸いなことに彼の寿命は数千年単位であったため、私と共に故郷惑星を探す旅に出るのに躊躇はありませんでした」


「その旅って、宇宙船を修理したのか?」


「いいえ、とても修理できるようなものではなく、修理する材料も工具も機器も無かったので、私の力で彼の周りに一種の空間を創り、そこに彼が吸収できるエネルギーを形にしたものを配置するような物を創り、一緒に星から星へと旅をしました」


「それ、あてのない旅だよな。よく故郷の星が見つかったもんだ」


「運良く彼が漂流していたのは銀河間空間ではないポイントで故郷星系からは離れていましたが星区そのものは違っていませんでしたからね。数百年ほどの期間で運良く故郷の星系を探し当て、彼は仲間たちの元へ帰って行きました。後から知った情報ですが彼は私との旅を物語データにして宇宙には優しい神がいるという伝説が広まったそうです。それからではないですかね?自分たちと全く違った存在や生命体と最初にコミュニケーションをとるならテレパシーが一番だという事になったのは」


ほおー、そんな事件からかい、テレパシーが重要視されることになった原因は。


「で、救われた彼から何か感謝の形は貰ったのかい?」


「いいえ。私は精神生命体ですからね。何を貰っても物質では意味がありません。お礼は必要ないよと伝えると、それではこちらも恩が返せない。では、この存在を未来永劫、我々が死に絶えるまで宇宙に語り継いでいく。と言われましたが」


あ、それだ!

テレパシーが重要視された主たる原因。

それと、宇宙は生命のゆりかごって言葉があるが、この伝説が変化したものか?


「それからは、さしたる変化も無かったため私は、あのポイントで眠りにつきました。うとうとしてたところで、ご主人様の強力なテレパシーで起こされたわけですね」


ふえー、長かったな。

しかし、生命体の定義って何?


ものすごい情報が詰まってたぞ、今の話。

星の旅を一度中断して、この知識を検証してみるのも面白いんじゃないか?


まあしかし、今は宇宙の旅が主目的だ。

宇宙船もいるし、超過去から来た全能に近いパイロットも確保した。


さて、どこを目指そうか?


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― 新着の感想 ―
[良い点] 『こほん。続き、よろしいでしょうか?』 人間くささがたまりませんよ!
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