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ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く  作者: 稲葉小僧
銀河団を超えるトラブルバスター
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追われる超能力者 9

バトルシーンですね。


皮膚硬化の為の僅かな時間が終わると、そこには赤銅色の異形が立っていた。

それは、例えて言うなら、とある国の車用車輪のメーカーキャラクターのような、それとも、とある特殊撮影ドラマの将来変身とやらをする前段階の姿のような……

そんな、人にあらずして人と言えるような、おかしな姿の存在が立っていた。


と、その姿が一瞬にして消え去る。

違う、消えたのではない、あまりに速い動きで走りだしたために、視覚認識が追いつかないのだ。


その赤銅色の異形は、数分後に約10km弱のビル崩壊現場に立っていた。

顔の皮膚すら硬化したため、もはや口も動かず、喋る言葉はない。


〈「組織」のエスパー兵士よ!私が来たからには、もはや「組織」の野望など露と消える。覚悟しろ!〉


テレパシーの雄叫びが、辺りにいる者達に響き渡る。

すぐに異分子の登場に気付いたのは、そこで生中継を行っていたメディアクルーたち。


「なんということでしょうか、私の頭の中に、声が響き渡りました。しかし、カメラに音声は記録されておりません。これは、恐らくテレパシーでしょう。私はエスパーではありませんので、このテレパシーを出した者、あるいは、そういう強力なテレパシーを持った存在がいるという事です。あそこでビルを破壊している者でないのは確実ですね。あそこの高台でビルを破壊している人物からは、今までこんなテレパシーは発信されておりませんので」


破壊サイキッカーも、このテレパシーには驚いたようで、


「む?誰だ?!こんな強力なテレパシーを扱えるエスパー兵士は今までいると聞かされていないぞ……いや、開発段階での唯一の成功者、「組織」を抜けだした裏切り者の話があったな……お前が、その脱走者か?!」


破壊サイキッカーは、振り向きざまに強力な破壊用サイコキネシスを発して、そのテレパシーの発信源と思われる地点に爆発とも思える土煙を上げる。


〈はっはっは、遅い遅い。お前の破壊用サイコキネシスなど、余裕で躱せる。破壊力だけあっても、のろますぎて相手にならん!〉


「何だと?!うぬ、動きが速すぎて捉えられん。下級兵士共!ヤツを捕らえろ、いや、数秒だけ動きを止めろ!俺の目に捉える事ができれば、バラバラにしてくれるからな」


バラバラと、そこかしこに隠れていたのだろう雑魚、いや、下級兵士が団体で現れる。

赤銅色の異形の存在と化した郷は、わざと動きを遅くし、下級兵士とのバトルに移行する。


「キィッ!」「キィ!」「キキッ!」


などと、言葉の語彙すら制限されている下級兵士たちは、それでも通常人の数倍の体力と速度で郷に襲いかかる!

しかし、体力も運動神経・反射神経すら超絶的レベルになった郷の敵には、なり得ない。


一体あたり数秒の秒殺で、30名ほどもいた「組織」の下級兵士たちは全て無力化されてしまう。


〈さて、次はお前だ、破壊サイキッカー!〉


「裏切り者の失敗作が!しかし、止まったのが失敗だ。喰らえ!」


目に見えぬ超絶的な破壊力を持つサイコキネシスが、郷に襲いかかる!

しかし……


「な、なぜお前は消し飛ばない?もうすでに10回は辺りが消し飛ぶだけの破壊サイコキネシスエネルギーを使っているんだぞ。どうしてお前は、貴様は無事なのだ?!」


〈ふっふっふ……どうして私が無事かと問うか。貴様が全エネルギーをぶつけているのは感覚で分かるぞ。しかしな、私が同量で位相を逆にしたサイキックエネルギーをぶつけているから、相殺しているのだ。つまりは、無効化しているという事だ〉


「な、何だと?!相殺しているなら、もっとサイキックエネルギーを強くしてやる……どうだ!これが俺の最高限度のサイコキネシスだ!1つの町くらい軽く塵と化す……何だとぉ?!」


空気すら沸騰しそうなくらいにエネルギー密度が高いその場に、郷は平気な顔(顔色も分からないが)をして立っている。

表情も読めないが、その顔には笑いが浮かんでいた。


〈実用になったとはいっても、しょせん「組織」の成果など、こんなものか。これでは俺の敵にもならない。殺しはしないが、お前は二度と破壊的サイコキネシスが使えないようになるだろう……サイキックエネルギー反転!吸収モード!」


「うっ?!何の小細工だ?こんなことをやろうとも、俺のサイキックエネルギーは無限……う、うわぁぁあぁぁ……」


〈瞬間的にお前の全てのサイキックエネルギーを吸い取らせてもらった。数週間ほどは体を動かすのもツライだろうが、それが消えれば普通の生活はおくれるようになる。二度とサイコキネシスは使えないがな〉


一気に老けこんだように見えるエスパー兵士を横目で見ながら、郷はゆっくりと、その場を離れていく。

逃した者がいないかどうか、そして、この戦いを観察している者に見せつけるように……


「マスター、郷さん初戦は余裕でしたね」


「そうだな。このまま郷君には幹部が出るまで戦ってもらおう。俺達が出るのは、最高幹部と、その上にいる闇のボスの登場時だ。この物件、トラブルが深刻だなぁ……」


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