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機械生命体との遭遇その4 長い、長い歴史でした。

ドンパチを期待してる読者様の一部には大変に申し訳なく思います。

この作品には、これから一部には書くかも知れませんが原則として血なまぐさい戦闘場面は登場しません。

少なくとも恒星間にわたって文明を築くような生命体が戦いに明け暮れるような野蛮な文明とは作者は考えないからです。

ただし、自分たちの親切心や恩を返そうという心が行き過ぎて、今回のような事態になってしまうことはあり得ると考えます。

これからの話で、全てを無に帰すような存在や、虐殺のみに明け暮れるような存在も書くことにはなるでしょうが、全てに理由があると考えますので、そのようにお読み下さい。

ゲーム理論でも、最終的に信用されるのは攻撃的なプレーヤーではないということは証明されてるはずですよね。

将来の星系首都の中枢部にて俺は管理職に付いていると思われる機械生命体と話し合っているところ。

さすがに「機械生命体」だけあって記憶も記録も、まだ機械生命体としての意識がない頃から先史文明(いわゆる「ご主人達」)のデータまで鮮明に揃っているのには驚いたが、その記録が一億年どころじゃない膨大な年月に渡って完璧に保存されていることにも驚く。


フロンティアが以前に来た時には、もう機械生命文明は成熟していた。

という事は……

ちょっと待て。

今、膨大な記録を提示され、聞かされたが、そういう事だと機械生命達の文明が発生する前の、ご主人達の文明って一億年どころじゃない過去に、その星系を捨てて移住の旅に出たことになる。

壮大というか何と言うか……

もう、タンパク質生命体の文明としての先駆者に近いんじゃないか?

あと、地球人の知らない科学的定数があることも知った。


「時間定数」だとさ。これで過去へのタイムトラベルは不可能と定義づけられるらしい。

ただし、この定数により未来へのタイムトラベルは可能となる、とのこと。


フロンティアに確認してもらったら、

確かにその通り!

と返事が来た。

ただし、人間を1人未来へ送るのにも膨大なるエネルギーが必要となるからして、とても現実的じゃありませんと回答が来たが……


《指導機械生命体の方に良い知らせと悪い知らせがあります。どちらを先に聞きたいですか?》


「どちらでも良いが、今までの話で、ご主人達がどうなったか仮説が証明されたのでしょうか?」


《はい。推測ですが、これで間違ってはいないでしょうと確信します》


「では、まずは悪い知らせから聞かせていただきましょう」


《はい、分かりました。悪い知らせとは……もう、あなた達の元へご主人の種族が帰ってくることは無いと断言できます》


「そうですか……では、良い知らせとは?」


《あなた達が追い出した、この星の先住民たち。彼らは、ご主人達の子孫、あるいはご主人達が造り出した補助種族の子孫だと確定されます。詳しくはDNAを詳しく調査しなければなりませんが、あまりに年月が経ちすぎて元の種族としての特徴、つまりテレパシー能力を失ってしまったと考えます。あなたたち機械生命と違ってタンパク質生命は進化や退化、大幅な体型や能力の変化に必要な時間が極端に短い種族ですからね》


「という事は、この星や建物は先住民のために使うほうがよろしいと?」


《そういう事です。恐らくは、ご主人達の種族は今ほどの恒星間文明がある時代には生きていなかったと思われますので、今よりも希望が持てる「未来」へ向けて移民団を送り出したのではないでしょうか?》


「時間定数からしても、それは不可能ではありませんが……どうやって?」


《お忘れですか?ここから、すぐ……ではありませんが近くに銀河中心部の超巨大ブラックホールがあることを。ご主人達の文明は、そこからエネルギーを取り出す方法を見つけたのでしょう。そして住めなくなった星の代わりに未来でも居住可能な星系と惑星を選び出し、移民団を様々な未来へ送り出したのですよ》


「未来へ行ってしまったご主人達が帰ってこない理由は?」


《それも簡単。未来への一方的なタイムトラベル移民です。時間定数でも、あまり一度に多くの貨物は送れなかったようで、ほとんど着の身着のまま。荷物も手荷物少しくらいで送り出されたのではないでしょうか。まあ、ほとんどが100年持たずに文明を維持できないほどに退化してしまうか、それとも現地の先住民と混血してしまうか、で。偉大なる先史文明は維持できなかったと思われますね》


「そうですか。では我々は、これから何を希望として文明を維持・発展させていけば良いのでしょうか?」


《それは。私が、これだという事は言えませんが、ただひとつ。あなた達は。もうご主人達に従属しなくて良い段階に来たのでは?あなた達が、ご主人達に代わって生まれたばかりの生命や文明を守り導く……そんな事をする段階に来たのだと思いませんか?》


「あ……我々は今までご主人達の影を追っていたような気がします。ご主人たちへの恩返しは新しい文明や生命を高みへと導いていくことで成し遂げられるのかも知れませんね」


指導機械生命体は本星へと緊急連絡便を飛ばした。

その荷物は今先ほどの俺と指導機械生命体との会談を丸ごと収めたデータチップだ。


こいつが先住民と機械生命体、引いては機械生命体文明の他星への侵略行為(と見られるもの)の停止行動につながればいいなと俺は思った。

さて、兵士君を、ここへ連れてこなくては。

これからは先輩の機械生命体達に様々な事を学ばなくてはいけないよ。


全てが解決して数週間が過ぎた。

機械生命体の本星に到着した緊急連絡便の衝撃は凄かったようで、ハイ、これで終了とフロンティアに帰ることも出来なくなった俺は兵士君とは別の部屋へ案内された。


兵士君はどうなったか?

あれから徹底的に体中を検査されたらしい。

もちろん、DNAやRNAなども。

その結果、俺の推定は見事にビンゴ!

機械生命体のご主人の遺伝子が変質した痕跡が発見されたとのこと。

これで堂々と星の居住権も建物の使用権も行使できるな。

で、別の部屋に通された俺であるが、まず指導機械から打診されたのは、


「我々の行動が確実に変化するまで仮で良いから指導者になってくれないか?」


というもの。

もちろん断った。


変にOKしたら俺のクローンが大量作成されてしまいそうなほど彼らにはテレパシーが使える俺が貴重で大事らしい。

俺が声で呼びかけると、がっかりした態度をとるし(機械です)テレパシーで呼びかけると、それこそご主人大好きワンちゃんのようになる(だから、機械です)

このまま長居してしまうと機械生命体種族の皇帝として君臨してくれないかと懇願されそうで怖かった。


本星から代表の機械生命体が来て最終会談になった時には、正直、ホッとした。

トラブルを解消してくれた礼だと機械生命体文明が知る限りの星区や星図を収めたスターロードマップを進呈された。

終身名誉首脳機械生命体という言葉が刻まれたバッジのようなものを贈られたが、これは機械生命体文明が管理している場所なら、どこでもフリーパスになる証明書らしい。


ありがたく貰っておくことにする。

名残惜しそうな機械生命体と先住者達に見送られて俺はフロンティアへ戻った。

フロンティアが一言、


「マスター、この証明バッジですがフリーパス権限どころじゃないですよ」


「あ?どこでもフリーパスです、とだけしか聞いてないが……」


「終身名誉首脳と付いてます。つまり、マスターが必要だと思えば、いつでも機械生命体文明の軍備は自由に行使できます、って権限が付随してます。裏の細かい掘り込みに記述されていました」


うわ!

なんとアブナイものを寄越すんだ、あいつらは!


俺は宇宙空間に向けて叫んだが、後の祭り……


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― 新着の感想 ―
[良い点] 『機械生命体文明の軍備は自由に行使できます』 死を知らない無敵艦隊ですか! 出番がない方がいいのに、いつかスカッとするタイミングで登場することを望んでしまいます…… それにしても一億年…
[一言] フロンティアは何故先史文明が1億年前に惑星を脱出した理由を知ってるのだろう?以前来た時に機械文明から聞いてたのか?
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