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ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く  作者: 稲葉小僧
銀河団を超えるトラブルバスター
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悪魔大戦 その11

ガルガンチュア(フロンティア部)の主砲発射!

ただし、エネルギーは最小で……


中間支部を、これで10ほど落とした。

今さっき陥落させた支部は、ようやくというか何と言うか、上に繋がる支部だったようで。


エッタが、


「ついに本部に繋がる糸が辿れます!」


と喜んでいる。

各星系における末端支部のほうも、エスパー隊の設立と強化により何とか対抗できるまでになっている(一部では末端支部を壊滅させるくらいの強いエスパーやサイキッカーも出てきている)

俺達のやることは一刻も早く本部へのルートを掴み、無の断崖を根こそぎ壊滅させることだ。


ということで俺達は今、中間支部より上の組織、中間支部へ指令を下している支部(ああ、ややこしい)へ、まっしぐらに跳んでいる。

無の断崖も考えているようで、その上位支部は何の変哲もない恒星と代わり映えしない惑星による、誠に平均的で、すぐに忘れさられそうな恒星系の巨大惑星(つまりは太陽系で言う木星のようなガス惑星ってこと)のメタンの海の中にあった。

こんなところにあるとは普通なら考えられないと思うが、そこはそれ、相手も高い知能と豊富な経験を持っているということだ。


しかし、ここまで来ても理解不能。

奴ら、無の断崖ってのは、どういう意図の下に銀河の生命体を滅ぼして星すら無に帰すなどという極端な終末思想に走ったのか?


これが銀河の覇権を争うとか宇宙を征服するなどという欲望まみれのものなら、呆れはするが納得できる。

しかし、そうじゃなくて宇宙を無の空間にするのが理想などという狂った執念に近いようなものは……


この上位支部に狂った思想の原因でも見つかれば、それからトラブルの原因を見つけて解決するんだけどな。

今のところ中間支部までの構成員で、無の断崖の思想が、どこから来ているのかという根本的なものを知っている奴はいなかった。


「マスター!サイキック攻撃です。まだまだ弱いのでバリアで防げますが、近づくに連れて、うっとおしいものになりそうですよ」


フロンティアが言ってくる。

俺も、いい加減、この偏執狂みたいな組織にはうんざりしてたところだ。

いっちょう、やったろうかい!


「フロンティア、主砲を撃てるか?」


「え?マスター、あの惑星の中にある基地を狙うんですか?主砲ですと、間違いなく惑星ごと基地を消し去ることになりますが」


「いや、そこまでの威力で撃てと言うんじゃない。パワーを絞ってだな、あの基地含めて惑星だけを時空凍結させられないか?」


「はい、やれと言われれば可能ですが……マスター、何を考えてます?」


「奴らも組織の一員だろ?組織どころか、この宇宙の繋がりからも切り離された絶対的孤独ってのを味あわせてやろうと思ってな。つまりは、奴らの理想郷を現実にしてやるのさ」


「それは面白いな、主。宇宙に自分たちしか存在しないという孤独が、どんなに酷いものか思い知らせてやるか」


「では、ガルガンチュア、フロンティア部主砲、発射準備開始!30秒後に発射体制が整いますので、そこからのトリガーはマスターにお渡しします」


エネルギー値が、通常の主砲発射時の1%も無いとのこと。

まあ全力発射で中型ブラックホールなら吹き飛ばせると豪語するくらいだからな。


「フロンティア主砲、発射準備完了!マスター、トリガーをお渡しします。ご自由に撃って下さい」


ご自由にとは言うものの、こんなの物騒で通常なら撃てませんがな、フロンティアさん。

しかし今の俺は通常時と違う。

かなり、むかっ腹を立てていた。

つまりは、かなり怒っていたということ。

死の星を大量生産し、あまつさえ宇宙の星すら無に帰すという過激集団に、おしおきのキツーイやつを食らわしてやらなければ気がすまない。


「フロンティア主砲、時空間凍結砲、発射用意よし。主砲、発射!」


巨大なるガルガンチュアの片側、フロンティアの主砲部分が輝き、エネルギーの塊というには真っ黒に近い物が、巨大ガス惑星へ迫っていく。

相手の基地もシールドやバリアを張っているようだが、そんなものは主砲の前には紙のようなもの。


着弾すると惑星の周りに透明なシールドのようなものが形成される。

半径10万kmの球体のような物の中に、惑星がすっぽりと入っているようなものだ。


「フロンティア、あの中は、どうなっているのか説明してくれ」


人間で理解できそうなものなんだろうか?


「マスター、現在、あの基地の周りの時空間は、この宇宙とは切り離されています」


「何だって?じゃあ、こちらから干渉も出来ないってことか?」


「はい、その通り。しかし、中にいる連中は、それどころじゃないはず。なにしろ時の経過も検知できません。通信波も、光すら中へ入れず、あの中から外へは出られません」


ということは……


「絶対的な孤独状態ということか、文字通りの」


「はい、マスター。これが我が主砲、時空間凍結砲です。相手の生命は奪いませんが、文字通り、孤独の時間をたっぷりと味わうことになります。ちなみに最低出力のため、有効時間は30分あまり……しかし、基地内部での時間経過は……このエネルギー値の差ですと約1万倍になるかと」


30分が30万分、つまり5000時間、地球時に換算して、約208日以上。

7ヶ月弱というところか。

全くの外界接触なしで7ヶ月過ごすのは、普通の者なら気が狂う一歩手前だろうな。

おまけに、外界を観測しようとしても、向こうから見えるのは絶対的な暗黒(宇宙ってのは意外に光があるものだ。それも無い、言ってみれば無の断崖の理想郷とも言える絶対暗黒)


主砲の影響が無くなり、球体シールドが解除された時、超小型搭載艇を数隻、探査に入れたが、そこで見た光景は……

構成員がヨダレを垂れ流して歩きまわっているか、それとも胎児のように丸まって部屋の隅にうずくまっているか……


中型搭載艇内に収容後の情報収集は楽だった。

精神崩壊一歩手前か、崩壊してる奴が多かったためだ。


基地の司令も、胎児に戻った口で、ようやく元の宇宙に戻ったと聞かされると、涙を流して喜んでいた。

ともかく、自分達以外に、宇宙に何もないという状態が7ヶ月も続くと、もう何もする気が起きなくなったとのこと。

あるものは狂気に囚われ、あるものは引きこもって胎児のごとくになり、基地の中に正常な精神状態のものはいなくなった。

5000時間後、通常宇宙に復帰したとわかった時には無の断崖という組織の目的そのものに疑念を抱いたという。


「私が経験した絶対的孤独。あんなものを理想郷だなどと、とても思えません!私は無の断崖を拒否します!」


まあ、正直な感想なんだろうが、もっと早く目覚めて欲しかったね。

しかし、今回ばかりはガルガンチュアの底知れぬ力に、俺自身ですら恐れを抱いた。


あれで1%以下の出力だって?!

全力の主砲発射時には、どんなことが起きるのやら……

聞いてみたい気がしたが、フロンティアやガレリアが、ウキウキ気分で話すだろうという事が予想されたため、やめておいた。


その質問じゃなくて、別の気になることを聞いてみた。


「フロンティア、主砲の全力発射で中型ブラックホールすら吹き飛ばせるって言ってたよな。この主砲の原理というか効果で、そんなことできるのか?」


「はい、マスター。ブラックホールというのは、エネルギーや質量を取り入れつづけなければ自分の穴を保持できません。そこへ、この時空間凍結砲を当てると……つまりは、大食いのブラックホールへの食料供給が止まるわけですね。数カ月と経たないうちにブラックホールの自壊が始まり、凍結が解除されるころにはブラックホールは自滅しているわけです。更に言いますと、中型が限界というのは、主砲の射程と口径によるもの。ですから、銀河中心部の超大型ブラックホールなどは射程に入りませんのでアウトと言うことですね」


さらっと言われたが、つまりは俺が許可したら、際限なくガルガンチュアが大きくなって、宇宙の穴を全て潰せるくらいになるってことかい!


書き直しです。

主砲の威力を再計算してみたら、とてもじゃないが前の規格じゃ全力発射で中型ブラックホールは吹き飛ばせないことが発覚(笑)

あと、精神って意外にタフだとのご意見を取り入れて、書き直しました。


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