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ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く  作者: 稲葉小僧
銀河団を超えるトラブルバスター
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悪魔大戦 その10

中間支部への攻撃です。

ここは、樹海の惑星。

動物は樹林のフェロモン成分によりコントロールされ、樹海を発達させることだけを目的に働く、樹海の従属物となっている。


ここは、無の断崖末端星系支部を数十も束ねる中間支部。

そこでは、今までの作戦が次々と崩壊して末端支部が壊滅したという報告が、いくつもいくつも上がってきていた。


今も、通信報告でまた1つ、いままさに末端支部が潰されて支部の建物自体が崩壊し、通信機器も壊れてしまったという赤ランプが点灯したところ。

中間支部の支部長であるドクター・リストと呼ばれる人物は、頭を抱えていた。


「ああ、ほんの数年前までは、無の断崖の作戦に逆らえるような生命体や星系はいなかったのになぁ……これでは、どうあっても本部からの叱責は免れ得ないだろう。能なしの部下たちを持つと、ここまで有能な私にも責任という形での叱責が来るのだろうなぁ……」


どこまでも尊大で、どこまでも他人を見下す人物だ。

だからこそ宇宙を無と化すような目的の組織に所属して、かなりの上の地位に就くこともできた。


彼の戦略は明快だ。

たとえ同族であろうと、生命体は滅せられるべきもの。

無の断崖は、目的が達せられたその時に自分たちも死すべきものと命じられる。


宇宙は、無なるがゆえに清浄。

無なるがゆえに全てを生み出す素となりうる。

宇宙の再生を促すため、無の断崖は存在する。


恨みは全て、生きとし生ける物へ。

憎むは生命、滅ぶべきは星。

ああ、我が望むは清浄なる無の宇宙なり。


無の断崖の信条を朗読し、揺らぎかけた自分の動揺を鎮める。

本部からの叱責も、これで平静になって受けることができる。


叱責内容は酷いものだった。

これ以上、愚かな抵抗が続くようなら、ついに、この自分が投入されるとのお達しもあった。

まあ、たまの実戦も良いか……


支部の建物に激震が走る!


何だ?

どうした?

この大支部に限って、こんなことは起きるはずがない。

と思っていたら、支部員が走ってくる。


「支部長!この支部に対し、攻撃が加えられています!」


「何だと?!交戦相手の詳細を述べよ!すぐに対処せにゃならん」


支部員の回答は、驚くべきものだった。


「そ、それが……攻撃してくるのは、この星の樹海そのものです!通常は動くはずのない蔓や枝が、我々めがけて攻撃してくるのです!」


ば、馬鹿な……

植物が攻撃してくるだと?

確かに、この星の樹海は一種の知能を備えているような動きをするが、それとて長い時間をかけてのもの。

絶対に、この動きはおかしい。


《植物が知恵や知能を持たないと、誰が言った?ここまで大きな植物群体だと、ネットワークで高い知能を持つ群体生命となっても不思議じゃない。その植物に、お前たちは滅ぼすべき敵だと判定された。諦めろ、抵抗は無駄だよ》


強力なテレパシーが、星系外から来る。

我が組織、無の断崖でも、ここまで強力なテレパシーの持ち主は稀だ。


しかし、なぜ?

なぜ、この支部の存在と場所が判明したのだ?

こういう奇襲を警戒して連絡は直接にせず、各末端支部を経由していたはずなのに……


《はっはっは!なぜ分かったか、答えをあげよう。各支部の通信記録を解析し、それを丹念にたどった、それだけだ。無限回数じゃないから、案外と簡単にたどり着いたぞ。さて、もうすぐ建物は植物たちの攻撃によって破壊される……そうすりゃ、逃げ場も無くなる。ついでに言うと、逃走用の宇宙船は全てエンジン部を破壊しておいたので、そのつもりで。植物群に対抗して力尽きた頃にでも、お邪魔するとしようかね》


謎の声の予告の通り、建物は破壊され、厳重な防護壁に囲まれていたはずの宇宙船はエンジン部が破壊されて修理不能状態。

サイキックバリアやブラスターなどで対抗するも、この星を覆い尽くすほどの樹海に対しては、焼け石に水。

数日もすると、銃のエネルギーは尽き、サイキッカーも力を使い果たして気を失う奴が続出。


ついには樹海に対する防衛・攻撃手段が無くなる。

宇宙船が使えれば、宇宙からの攻撃が可能となったのだが、今更の話だ。


疲れ果てた我々が空を仰ぐと、直径500mにもなろうかという巨大な球形宇宙船が降りてくるところ。

ああ、あのテレパスがやってきたのか……


《植物の皆、ありがとう。君たちの力がなかったら無の断崖は未だにこの星からの指令を止めることがなかっただろう。心より感謝する》


無言だが、圧倒的な賛辞と感謝の念が送られてくる。


「キャプテン、よく分からないのですが、植物に知性があるんですか?」


「ああ、あるよ、ライム。単体だと知性と感じないが、惑星を覆うほどになれば群体として知性を獲得する場合がある。この星は、典型的な群体知性体だろうね。宇宙に出ることは不可能だろうが、この星自体で巨大な知性体となることは確実。他の星系との交流で知性体としてのレベルを上げることも可能となるだろう」


また、心強い味方が出来たのは嬉しい。


無の断崖の構成員は、どうなったかって?

無力化した上で搭載艇に載せ、後はエッタに任せてます。

餅は餅屋、深層心理探査は、それが得意な人に任せようっ、てね。


結果、様々な情報が分かりましたとさ。

本部までは辿りつけなかったが、ここより上位の支部の位置も、いくつか判明。

さて、と。

こちらもそろそろ、本気出すとしますかね。


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