進路を決める。 まずは、ここから
ついに太陽系を抜けた主人公たち。
進路を決める話になりますが……
やっぱ、あそこから始めなきゃ。
太陽系に、さよなら。
こんにちは、大宇宙!
ってなわけで、俺は総司令として船の進路を決める立場なんだが……
どこにしよう?
「マスター、このまま漂っていても仕方がありません。早く進路を決めて下さい」
「我が主、何か迷っているのですか?」
はいはい、2体で迫ってくるんじゃないの。
プロフェッサーも、フロンティアも気が短いな。
特にフロンティア、お前、ケイ素生命体に造られた宇宙船だろう。
そんなに気が短くてどうする?
「まあ焦るな。とりあえず、生命体はいないんだが最初に向かいたい星は決めている。アルファ・ケンタウリだ」
「おや?すぐ近くの恒星じゃないですか。確か、プロキシマ・ケンタウリ、アルファ・ケンタウリ、ベータ・ケンタウリの3連星系でしたよね。惑星はありますが……とても生命が発生する環境ではないと推測されますが」
「正解だ、プロフェッサー。それでも行ってみたいんだよ。昔のビブリオファイルでは稚拙ながら異星の風景を描く作品もあってな、そんな風に太陽系の隣にある星系ってことで憧れの星だったんだ。俺も行けるなら行ってみたい星の一つだった」
「了解しました、マスター。銀河も軽く踏破できる船で3光年余りを飛ぶのも良い肩慣らしになるかと思います」
おっ、フロンティア、地球語の発音と単語が上手くなってきたじゃないか。
プロフェッサーのデータベースが役に立ったようだな。
「それじゃ決定だ。まずは遥か昔の人間たちが憧れたアルファ・ケンタウリとプロキシマ・ケンタウリ、ベータ・ケンタウリの3連星を見に行こう!」
ともあれ、これが俺が人類初の太陽系外へ出る事となった記念の星となる事は間違いない。
船のエンジン音が……
轟かないね。
フロンティアの方へ目をやると、
「何を考えているか当ててみましょうか?恒星間駆動のエンジンが主機だと思ってたんでしょ?マスター、私は主目的が銀河団宇宙空間の探査です。恒星間駆動などサブのサブエンジンですよ。本気になって駆動はしません」
あ、そうでしたね。
期待してた俺がバカみたい。
でも、あっという間に3光年余りを踏破。
凄いな、やっぱ超科学の結晶だわ、フロンティア君。
で、どう見ても太陽が2つしか見えなかったりする。
そこはすかさず、プロフェッサーが、
「わが主。もうひとつ、プロキシマ・ケンタウリは連星とは言っても0.2光年も離れていますから、見えるもんじゃありませんよ。通常の連星という意味では、アルファとベータでしょうね」
あ、そうでした。
文章だけだとスケールがいまいち把握しにくいな。
でも、アルファ・ケンタウリには来たわけだ。
うん、過去の人類の到達目標だった星系に来ているというのも感慨深い……
「フロンティア、何してるんだ?」
何かフロンティアが作業艇出して、ごそごそやっている。
「あ、マスター。これはですね、これからの星間駆動や銀河内駆動、銀河間駆動、そして主機の銀河団駆動の準備で。星系内のダストや岩屑集めて補給物資にしているとこです」
「ほうほう、んでもって、あの作業艇の数か」
「最初に集められるだけ集めておかないと、トラブルが起きた時に不安ですからね」
ん、納得。
そのまま作業は続行させる。
「フロンティア、次の進路設定なんだが」
「はい、今すぐに出発しますか?それとも、物資集積作業が終了してからですか?」
「作業終了してからでいいよ、時間はあるんだから。次の設定は、どこでもいいが生命と文明のある星系がいいな。他の星の生命体や文明を見たい」
「分かりました。作業終了まで数時間程度かかりますので、それが終了しましたら、目標星系のリストを作りまして……」
「あ、そこまでしなくていい。そうだな……自分と違う生命体、機械生命体の星系でお勧めのものがあれば、それでいいぞ」
「でしたら作業終了後にコントロールルームへ行きますので、それまでマスターは休息してて下さい」
「頼んだよ」
んー、会話が軽いけど、これが宇宙文明ってやつの日常か……




