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星間航行は非日常。 住環境の差について。

今回で、とりあえず太陽系とは、おさらばです。

まあ、宇宙ヨットと比べるほうが間違ってる環境ではありますが……


俺は今、あっけにとられている。

今までは、様々なデータの閲覧や俺自身へのデータコピーなどをコントロールルームで全て行っていたため、確認しようが無かったといえばそれまでだ。

しかし、これは無いよな。

今までの宇宙ヨットの生活環境って何だったの?

の世界。

これ、ある意味、太陽系一周旅行に使用される超大型客船よりも贅沢なんじゃないか?

俺の目の前には、とても宇宙船とは思えない豪華な地球ホテルの一室のようなプライベートルームがあった……


「一つ聞きたいんだが、フロンティア」


「はい?何でしょうか、マスター」


「これ立体映像じゃないよな?現実の宇宙船の一室だよな?」


「はい、マスターの見たまま。これでは装備が貧弱でしたか?やはりバスルームは立体映像を存分に駆使した宇宙温泉の雰囲気にすべきだったでしょうか」


「いや、あのな。そう云う意味じゃなくてな。あまりに豪華な一室だと言いたかったんだよ。どうみても宇宙船から想像される部屋じゃないだろ、これ」


「いえいえ、マスター。私の主目的をお忘れか?銀河団空間の調査ですよ。あまりに何もない宇宙空間が連続して続く旅路には、このくらいの遊びがないと体調や精神的におかしくなる場合が多いと私のデータにはありますので、初めて作りました提督室には、こういったものを装備させていただきました」


「おや?俺が提督?マスターってことは船長、あるいは艦長と呼ばれるべきだと思うんだが」


「はい、これも考慮の上です。マスターには今後の進路を初め、我々では判断できない事態に陥った時に即決の判断を下していただきたく。そこで船の航路設定や操縦、交戦等の実務からは離れたものとさせていただきました」


「まあ、俺がやろうとしたってロボット船が自発的にやる航路設定や操縦は俺にできるものじゃないから。よし了解。ただし俺が自発的に口を出すこともある。象徴とか、お飾りは趣味じゃない」


「はい、分かっております。その生体としての判断が我々には難しいので、そこを補っていただけるなら幸いです」


「よし、これで、とりあえず俺の地位も決まったと。じゃ、過剰装飾は取っ払ってくれないか、フロンティア」


「えーっ?余剰の未稼働ボディを総出で作業しましたのに……」


「俺は大金持ちでもなきゃ貴族階級でもない。普通の一般市民なんだから、こんな部屋じゃ逆に肩が凝るんだよ。今までに放送波で学んだ一般市民の部屋に酷似させてくれ。それだけでいい」


「わかりました、マスター。では、即時、行います」


「頼んだよ」


ラ○ホ○ルか、あるいは5つ星ホテルの最上級スイートか、と思われるような部屋は、あっという間に普通の部屋になった。

広さは段違いだが、それは昨日まで俺が住んでいた地球のアパートの一室に酷似していた。

いいんじゃないか、これ。

俺は地球から持ってきた記憶チップを備えつけられた収納箱に入れるとベッドに横たわった。

これから、とんでもない体験が次から次へと……

ワクワクだぜ。


想像しているうちに眠ってしまったようだ。

爽快な眠りは久しぶりだ。

起き抜けも体調がいい。

さっそくコントロールルームへ行く。


「おはようさん、フロンティア。異常はない、みたいだな」


「はい、マスター。しかし、今の挨拶は宇宙空間では如何なものかと思われます」


「朝も昼も無くて、夜ばっかりだからな、宇宙ってのは。まあ惑星出身者だから、こんなもんだと思ってくれ。どうせ地球の24時間サイクルには戻れないんだし、寝るときは「おやすみ」起きたら「おはよう」にしよう」


「まあ、こちらはそれで構いませんが。あ、そう言えばマスターの宇宙ヨット制御用の人工頭脳ですが、もう移設は完了しました。マスターの起動を待つばかりです」


「お、プロフェッサーが自立できるわけだな。さっそく行ってみるか」


工房のような一室へ向かうと人間大のボディに組み込まれたプロフェッサーが金属台の上に乗っていた。

俺は、おもむろに宣言する。


「起動せよ、人工頭脳。ほら起きろプロフェッサー!」


「今までの船体とは微妙に反応速度が違いますね。こちらのボディのほうが命令に速く反応できるようです。わがあるじ、私は宇宙ヨットでは無くなりましたが、あなたの近くにいることが出来て喜ばしいです」


「プロフェッサー、俺もだ。さっそくだが、この船、フロンティアとネットワーク接続して互いにデータ交換してくれ。今の状況を知るのは、それが一番手っ取り早いだろう」


「はい、理解しました。では、相互接続開始」


「マスター、今からは結構な時間、1時間ほどかかるかと思われます。食事を摂取して来られては如何でしょうか?」


「お前の言語、間違ってはいないが、まだ単語の選択が変だぞ。まあ、プロフェッサーとデータ交換すれば、そのへんも落ち着くだろうけど。じゃあ、朝飯に行ってくる」


朝食を済ませて余った時間でコントロールルームへ。

もうすぐ海王星軌道を抜けるところだった。

後は惑星連合に入れてもらえなくなった冥王星とオールト雲の彗星生誕地帯を抜けるだけだ。

さて、ついに太陽系を抜ける時が来たぞ!


数時間後、俺達は本当に太陽系の外れに来ていた。

半光年くらいの距離か……

太陽系に属すると思われる微惑星(冥王星クラスのもの)が俺達の数万キロ先にある。

さすがに人類の科学も、この微惑星には伸びていない。

この星に人類が立つのは、いつになるだろう……

俺は、そんなことを思いながら微惑星が眼下を過ぎていくのを眺めていた。

さて、これからの進路を決めないと。


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居るよね、料理の味が気に食わないから作り直せとか言うやつ
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