お仕事の毎日です。 5
今回から、木星での仕事です(こちらは早めに終わらせる予定)
宇宙旅行の場面を書きたくなってきたせいもあり、木星での仕事が終わったら、どうしようか考え中……
(最初のプロットじゃ、地球へ戻る形になる予定だったんですが、そうなると、あまりに時間がかかりすぎて……太陽風に逆らって航行するのは大変なんですよ)
さて、一番の厄介事が残る木星での派遣作業……
下手すると敵とのガチバトルに……
は、決してならないけど(そこまで命かけるほど、お手当ては貰っておりませぬ。こちとら地球政府派遣ではあるが影の仕事なんだから給与も安いんだって!)
木星開発本社での就任挨拶と、あいも変わらぬ現場担当交えたブレーンストーミング。
ただ、こちらはサボタージュ事件のため、現場担当が全て信用できる人間だけじゃないのが厄介なところ。
会議は2時間ほどに及んだが、やはりサボタージュや備品・機材の盗難と紛失、現場人員の行動把握が100%できていない点と、後は「開発というよりも秘境探検に近い状況」になる木星探査の進行状況が問題だと感じる。
現場とは一線を画す、本社の開発部長と探査課長とも、現状の把握と対策のために相談を装い、秘密に会議してみたが、どちらも予定通りに進んでない工程表とのズレを気にしているようだ。
現在の時点でサボタージュに積極的に関わっている人物の特定と、その行動把握に、ようやく目処が立ったところなので何とも言いがたいが、それまでの状況から少しは改善されたようで。
一応、管理職以上の信用できる方々には、
「サボタージュのリーダーが判明しても拘束や行動制限などしないように、泳がせなさい。こういう異星の開拓地で人間同士が争っても状況は悪くなるばかりだから」
と、何度も念を押していたから、力での対立構造には発展していないのが救いである。
今回ばかりは俺自身が現場へ出るということが困難なため(木星は巨大なガス惑星で、その重力と熱量は、とても気軽に外出できる環境ではない。探査も開発実験も、すべて遠隔操作の木星環境に適した特製ロボットが行っている。オペレーターはメインコントローラーと思考制御によりロボットを操っている)もっぱら書類の精査だ。
ただし木星は巨大なエネルギータンクのようなもののため、それまでのイオ・カリストとは異なり、かなり食と住環境は良い(ここを快適にするために地球や火星から、どんどん資材と食料が送り込まれてくる。木星からは水素運搬船が、ひっきりなしに火星や地球へ向けて出発している)
なんせ、ここの水素が無くなったら地球も火星もエネルギー的に干上がるからね……
おかげで、かなりの量の糖分も補給できる事が分かり、久々に脳領域を省エネモードから解放して通常モードへ。
ESP訓練も自重しない……
というのは実は木星に長年勤務しているとESP能力が発現しやすくなると言われるが、その言葉が真実であると分かったから。
初期のESPやサイコキネシス能力が発現している人たちの、なんと多いこと!
ステーションですら1%以上、木星の現場担当に至っては10%近い人間に発現が認められるとのこと。
こりゃ何か原因がありそうだなと思いながらも現場の視察に出られない一種のもどかしさすら感じつつ、俺は脳領域の久々の解放とテレパシーの強化訓練に日々を費やす(それに伴い角砂糖と砂糖菓子の消費量が増えていったのはご愛嬌。まあ、エネルギーは脳で消費され尽くすから、太ることはない)