え?魔法のある星 2
だんだんと、この星に馴染んできました主人公たち。
今回は、街の様子を書いてみたいと思います。
次回への引きは、定番ということで^^;
今日は拠点にて様々なものづくり。
それが終わると作ったものを商店や商会へ納品。
昼過ぎには予定が終了したので皆と落ちあい、ちょっと遅いが昼飯とする。
「むぐむぐ、新鮮な材料使ってるので美味しいですね、これ」
エッタは新作料理のレシピに興味があるようで今週のお勧めは頼まない。
ライムは逆に定番ものばかり頼んでいる。
「ひょいぱく、ひょいぱく。うん!定番料理の定番の味、信頼の味。これぞお店の経過年齢の味!これは歴史の味です」
ふーん、そんなものかね。
プロフェッサーは一応、アンドロイドの機能として通常食料をエネルギー化する事も可能なんだそうで。味というか、様々な料理の調理過程を類推しながらでも食べてるんだろうなぁ、あれは。
俺はというと、軽い料理ばかり数を揃えて食べている。
めったに食べられない異星の土着料理だ、こんなもの一点でも多く食べずにいられるか!
ということで俺達のテーブル席だけ無言か、つぶやきの小声が聞こえるような静かな席になっている。
あ、料理屋の女将さんとご主人!
料理が不味いわけじゃなくて、美味いから沈黙して集中してるだけなんです!
そんな不安な顔しなくていいですよ。
食事が終わって支払い時に、大変に美味かったので沈黙してましたと伝えると、やっと明るい顔になりましたとさ。
お釣りはいりません、そのぶん、また美味いもの食わせてください、と言って、この頃は常連になってきた店を出る。
食事後は、ものづくりのヒントにでもなればと、皆で町をぶらつく。
いわゆる、ウィンドウショッピングというやつ。
「ヘー、武器屋や防具屋、アイテムショップの多いこと。いわゆるマジックアイテムってやつも売ってますよ、キャプテン」
ライム、えらく食いつくな。
まあ、ファンタジーの世界ではスライムは雑魚キャラになるか、はたまた完全生物として世界に君臨するか、どちらかの扱いしか無いんだけど。
もしもライムが武器や防具、マジックアイテムを身につけたら、ファンタジーのお約束を完全破壊したバグキャラになりそうな気がする……
「銀食器や銀のナイフやフォークとか、この世界って銀製の物が多いんですね〜。綺麗ですけど、日常の管理と磨きが大変そうです」
エッタ、それはね……毒入りのワインや食べ物で暗殺される危険性が高いって事なんだよ。
まあ、このあたりの歴史的常識は後で教えてやろうか。
「我が主、生産職だけではなく冒険者と呼ばれる人種も多いですな、このあたり。兵士よりも稼げるからでしょうか?」
「あ、それもあるがな、プロフェッサー。兵士になるのは農民が多いんだ、国家で訓練してくれるので戦争以外には魔物が増えすぎたための討伐任務と都市内警備くらいのもので楽な仕事だからな……給料は低いけど」
「ということは……」
「つまり、金を稼ぎたいやつ、腕に憶えのあるやつ、貧しいので兵士の給料じゃ家族を養えないって奴らが冒険者になる。まあ、一部には戦いが生きがいって者もいるけど。だから冒険者の仕事は危険と隣り合わせだが、美味しい仕事が多いって事にもなるな」
「そういう理由でしたか。では我々は、あえて冒険者にならずとも良いということなのですね、我が主」
「そういうこと。魔物とは言え、あまり生命体を殺すような仕事には就きたくないってのも本音としてあるけど」
「そーそー、キャプテンは強いけど優しいから、冒険者にはならなくても良いんです」
っと。ライムの余計な一言が耳に入ってしまった冒険者の一団が、俺達に近寄ってきた。
やだなー、俺は暴力沙汰が嫌いなんだよ。
「おーおー、優しいから冒険者にならないんだって?その口ぶりからすると、いつでも冒険者風情には勝てるって言いたいみたいだけど?」
あー、やっぱり因縁つけてきたよ、この筋肉ダルマの脳筋冒険者さん達。
ライムも、余計な一言を放つ場所を考えてほしい。
まあ、本当なんだけどね、冒険者風情に負けないよってのは。
「ああ、気に触ったらすまないね。俺達は……」
「知ってるよ、このところ売り出し中の錬金術士の一家でしょ?品質も一流なら、その奇抜さも一流って折り紙つきのアイテムや発明を次々と発表してるらしいじゃないの」
おや、俺達の事、ずいぶんと噂になってるようだね。
ただし、この方達は生産職に良い印象を持ってないようだけど……
「えーと、その口ぶりからすろと、生産職がお嫌いのようですけど……」
俺が答えると、
「そうね。生産職の8割方が詐欺師ですもの。武器やら防具やらアイテムやら、信用して高い金出して買ったら、すぐに壊れてしまうのよねー。あなた達の作り出す物がそうだとは言ってないわよ。品質や耐久性も悪い評判聞かないから。でもねー、あなた達の工房の商品、高すぎるのよ」
「おやおや、それはご愁傷さまとしか言えませんね。高くとも、うちの工房の製品は折り紙つきですよ。安かろう悪かろうの極悪製品じゃないから、一度は使ってみてくださいな」
そうかー、騙されてたのねー、色々な生産職の方々に。
だけど、あなた達冒険者も扱いが雑すぎるしなー、ご同様な気がするけど。
「っということでな、俺達の恨みのはけ口になって欲しいんだよ、あんたたちには、ね!」
うわっと!いきなり殴り掛かってくるんじゃないよ、この筋肉ダルマ!
はぁー、一戦交えるしかないのかね、こいつらと。
「ねぇ、やめません?お互い直接の恨みも何も無いんだし……」
と、提案するんだが……
「いーや、今のを避けるとは、お前、やるじゃないか。これは、どうあっても戦ってもらうぜ!面白い戦いになりそうなんでなぁ!」
あっちゃー!やっちまったか……