お仕事の毎日です。 1
ここまで書いてきて、ようやく派遣先での仕事内容の描写になります。
今までは、お金にならない描写。
今回からは、お金になる描写ですね(ああ、書いてる自分が切ない……でも、社会人だったら金稼いでなんぼのもん、ですので)
お金が一番じゃなくても、人生でベスト3に入ってくる常連が「お金」です!(きっぱり)
さて、今日はクライアントの現場打ち合わせと現場回り。
脳の未開発領域が10%切るくらいしかない俺にとり、脳領域の全開時ならトラブル解決は朝飯前なんであるが、それには「とんでもない量の糖分(つまりは脳に働くエネルギー)」が必要。
ざっと計算すると、ショートケーキ50人前になるだろう。
まあ、点滴でブドウ糖でも注入すれば、もっと少量で済むのだろうが……
要は、それほどトラブルや事故が多い現場である。
地球上なら(まあ、火星でもなんとか)そのくらいの糖分は入手可能だろうが、ここ木星圏じゃ、そうは行かない。
必要物資は充分あるが糖分なんてのは「贅沢品」扱いになり、地球からの持ち込みや輸入が後回しになるのが日常の光景。
ちなみに昨日、事務所付属の食堂で夕食を食べたが、塩味や出汁は効いていたが甘みは、ほとんど感じられなかった(予想通り)
これで俺の脳細胞フル回転が不可能となり現在の省エネ活動を持続させるしか無い状況となった(緊急事態となれば、そうも言ってられないので重役さん連中の専用食堂から糖分を失敬するしかないだろうが)
閑話休題。
現場事務所へ案内してもらい、現場の監督や労働者達と意見を交わしながらトラブルや事故の詳細について聞いていく。
書類からは分からない現場からの生の意見は貴重。
これが聞けるか聞けないか、それがトラブルや事故原因の解決に直結する事も多い。
現に火星でのトラブル解決には現場の生の意見が非常に重要だった。
書類に起こすと上長判断で消されるような現場の感想が解決のヒントになったからだ。
今回も現場の意見や感想を制限を設けずに聞いていく。
ちょっと気になる一言があった。
「イオの低重力下(衛星だから、小さな重力しか無い)での作業が、ときたまだけど瞬間的に微小重力になるような感じを受ける時がある」
というのだ。
確かに木星の衛星開発や植民などで重力変動があったら厄介なことになる。
俺は、その感想を言い出した作業員に、いつ、どれだけの重力変動を感じたのか、そして、それが何秒間続いたのかを後で書類として思い出せるだけでいいから書いておいてくれと頼み込み、現場の見回りへと向かう。
監督や現場主任に案内されながら頭上に「ばかでかい木星」を見つつ、開拓現場・植民施設設営現場を見て回る。
数百年前の技術とは全く違う、プレハブ工法だが建つ施設は「前世紀の国家の会議場」みたいなもの、という方が表現しやすいか?
まあ、次々と馬鹿でかい建物や道路(金属製の長〜い板。こいつに磁力を与えると、そこを走る金属体を吸着しようとして少重力を補う働きをするわけ)などが次々と設置されていく。
見る限りトラブルや事故などは起こりようがないくらいにシステム化されて順調に工事は進んでいる。
しかし、微細とは言え重力変動は厄介だ……
こいつがトラブルや事故の主たる原因かも。
とりあえず今の省エネモードで推理できるところまでの判断は、それだけだった。