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ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く  作者: 稲葉小僧
銀河団を超えるトラブルバスター
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銀河団を渡る旅 その10 文明程度を変える話 ワガママ時代の終わり

おわらねー!

次回は、何としてでも終わらせるぞ!


災害鎮圧、人命救助専門会社なんて、どうして今まで無かったのか、ようやく理解した。


初出動から、もう3ヶ月……

もう、目の廻る忙しさなのだ!


国内だけなら何とかなるが、主力部隊と主装備を完全に揃えたのは、僕らの国の、僕らの会社だけ。

国外の支社や支店、営業所(規模が小さいから営業所扱いだが、その実、実働部隊ばかりで営業など皆無というのが、うちの会社)まで、世界各国に足場はあるが、人員も機材も揃ってないので、救助や災害対策依頼があった時の本当の意味での足場扱い。


今も、本社の訓練場では、実地訓練組と、室内での教育機械を使用する座学(?)組に分かれて、ただいま訓練中。


この教育訓練で面白いことが判明した。

実際に消防局や災害現場でレスキューやってた人間と、全く何も経験してない人間とじゃ、パワードスーツを使った時に違いが出る。

面白いことに、救助に慣れた人ほど、パワードスーツに慣れにくいようで、その道のプロほど苦労してる。


パワードスーツの可動限界が、通常の人間の感覚で設定されているのが原因のようで、特別に設定をカスタム化した個人専用パワードスーツを作ろうかという話も出ているくらい。

設定を個人に微調整するのに時間がかかるため、未だに練習機や汎用機をそのまま使っているが、そのうちカスタム機も出てきそうだ。


あ、そうそう。

某国の大規模山火事鎮火作業が、あまりに手早く、あまりに高効率であったがために、国連内でも専用の災害対応部隊が造れないか、我社に打診があったとのこと。


その時の回答が、


「災害対応部隊を作るのは簡単ですが、その部隊には、一切の軍事色を排除してくださいというのが第一。そして、一国だけじゃなくて多数の国家と人種が混在する混成部隊とするのが2つ目の条件。もちろん、指揮と命令系統は、国連ではなく、我社に任せていただきますよ。大国の思惑通りに動く災害救助隊など、絶対に作らせませんからね!」


という、トンデモ宣言。

世界平和のためなら、武力以外は何でも使う気だね、我社の偉いさんたちは……


今日も今日とて、僕達は出勤日じゃ無いけど、担当してる対応部隊が災害救助依頼で飛び立っていく。

あちこちで起きる、火山噴火や地震、大規模な火災や、果ては異常気象による極寒・酷暑の対応までやってるそうな。

もう、各国からの救助要請を待ってたら、被害が増えるばかりじゃないのかな?

とも思う、今日このごろである。


それから半年後……

ようやく、国連が重い腰を上げた。


我社に、国連外部機関として所属してくれるよう、正式に依頼が来た。

所属するのは、国連所属の災害対応・人命救助専門の機関ということで、軍は一切関係していない新部門。

指揮系統・命令系統は、例え国連事務総長であろうとも、こちらに一切の命令できない完全な独立部門として、馬鹿な大国や自尊心の塊のような一部国家とは縁が切れた。


これの利点としては、災害対応の依頼が支店や営業所に来たら、その時点で飛び立てるようになったこと。

その国の思惑に縛られること無く、災害対応と被災者救出に、即、飛べるわけだ。

まあ、組織の一員となったからには、監査も受けなきゃいけないが、不正なんかしてるわけじゃないから、堂々と監査してもらえばいい。


これでいっそう、やりがいと、成果が上がることとなった。


我社の評価と功績が上がるに連れ、世界各国が、何とかして我社の技術を、ほんの少しでも得ようと躍起になってきた。

国連や、本社、支社、営業所などを通じて技術移転の話をしてくる、なんてのは可愛い方で、エグいのは色仕掛け・資金面の締め付け・国家訴訟で災害での死者が多いのは出動が遅かったからだと言いがかりをつける、なんてのも通常手段。

社員募集に軍人上がりのスパイを紛れ込ませたり、果ては、災害対応・救助現場で資材を壊してジャンクからでも情報を得られないかと涙ぐましい努力。

まあ、その一切が無駄でしたが……


とある某国のベテランスパイ氏など、面接試験だと聞いて、場所を探したら、なんと警察署だったというオチまである。

普通に入社試験やってるんですけどね、普通の方達は。


手を尽くすだけ尽くして、どうにもならんということをしみじみと思い知らされた各国は、ついに、我社に対して免罪符を発行することにする。


「以後、世界救助部隊は、その判断のみで、いつ、いかなる場合も、どこの国へ出動しても良い。許可を取る必要も無し」


これが書かれたプレート(世界各国の言葉で書かれているので、デカイ!)を出動機体に積んでおけば何の揉め事も無し!

部隊員は、社員証(熱にも化学物質にも変形すらしない特殊合金製)が、そのプレートの代わりとなる。


今日も今日とて、災害出動班は、各国へ飛んでいく……


あ、機材も増えて、本社だけで回すことは少なくなった。

今じゃ、大規模な部隊は世界に10箇所ほど、小規模なのは各国に1つ。

2つ以上の国にまたがるほどの大規模災害だとか、原発や古くなった核ミサイルの廃棄などは、さすがに本社対応となる。


核燃料の無害化は秘密にしていたが、他に可能な技術を持っていそうな国も企業もないということで、消去法で、あの、我が国の地震・津波の核施設被害の無害化が知れ渡ったらしい……

これ、最初は僕達も知らなかった。

初めて聞いた時には、いくら何でも嘘だろ?

そう思った。

そんなテクノロジー、未来でもムリでしょ?


でも、事実だった。

ただし、さすがに誰でも扱えるテクノロジーではないそうで(当たり前だけど)

特殊作業部が編成されて、核物質を扱う専用部門が誕生した。


それから数年で、原発事故や、旧型核ミサイルの暴発事故などは、急激に件数を減らしていき、放射線事故も急激に減っていった。


「我が主、もう少しですね」


「まあしかし、武力革命じゃない世界統一って、難関中の難問だな。ここまでやっても、まだ隣の国とドンパチやりたいのか」


「しかし、その場合には、武力じゃありませんが……」


「ん?そうか、中型搭載艇は一隻持ってきてるし、ガルガンチュアも整備終了するだろうし……物量作戦で外圧、やってみるかね」


と言うと、ちょいと変わったトランシーバを取り出す。


「あ、フロンティア?もう、ガルガンチュアの整備は終わったか?え?もう少しで終了?そうか。じゃあ、搭載艇は大丈夫だな?うん、ちょいと、この星の人間たちに外圧かけようと思ってね……」


さて、無事に多国星から統一国家になり、宇宙文明への階段を上れるのだろうか?


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