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ようこそ大宇宙へ! 超古代の巨大宇宙船で宇宙を征く  作者: 稲葉小僧
銀河団を超えるトラブルバスター
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銀河団を渡る旅 その5 ふしぎな会社 

だんだんと、この星の社会が見えてきます。

そして、特殊な企業の事も。


不思議な一家と出会った後、数週間後には、僕は転職していた。

どこへ転職したかって?

言わずもがな、あの一家の経営してる発明研究所さ。


転職してから、もう2ヶ月目になるけれど、毎日が驚きの連続だ。

まず、入社後に行われた新入社員研修とやらで、僕達10名の新入社員は、不思議な装置にかかることになる。


その前に行われた会社の事業説明会では、理解不能な単語ばかりで、?ばかりが続出していた新入りは、この装置にかかった後、不思議な変化をする。

今まで聞いても読んでも説明されても、謎ばかりだった会社の事業内容が、すんなりと耳に入ってくる。


僕は、自慢じゃないが、そんなレベルの高い大学など出ていない(本当に自慢できることじゃないが)

そんな僕さえも、この技術資料一枚見ただけで、何が書いてあるのか理解できるようになっていた……

この、不思議な装置にかかった日数は、一律、3日間!

普通、3日間で詰め込み教育やっても、ほとんど身につかないのは、僕自身が経験済みだ。


何なんだろう?

この、頭の中がスッキリと整理されたような、言い換えると、今までの自分の思考が、どれだけ無理と無駄と無茶をやってたかということなんだが……


社長(つまりは、あの不思議な一家の父親だね)が説明してくれるには、


「あれは最新式の教育理論の実証機だ。そのものズバリ「教育機械」と言う。あれを使えば、例えば小学生に大学院の医学部で行われている授業と実習すらも仮想体験させることができるよ。ちなみに、記憶の整理も最適化するから、憶えたことを忘れにくくもなってる」


そんな、正式発表したら世界がひっくり返るような実験機や実証機、研究段階ではあるがモデルは造られているものとか、世界から切り離された未来技術の展示会みたいな会社だということが理解できるにつれ、この会社の目指すところが逆に見えなくなっていく……


「社長、一度お聞きしたいと思ってたんですが。この会社の理念と、目指すところは?利益追求だけなら、今でも研究成果を発表するだけで巨大な資本が集まりますよね。つまりは、巨大企業になるのが分かってる会社じゃないですか。それを、どうしてこんな中小企業で止めちゃうんですか?」


と、仕事ではない、家に居るときに本音を聞いてみた。

そしたら、


「ああ、巨大なコングロマリットにするのが、必ずしも企業にとって良いことじゃないよ。あまりに巨大なる企業は、国家や世界から目をつけられる。そういう、首輪を付けられるのは好まないんだよ、私は」


ああ、この人は全て分かってるんだなと理解した。

ちなみに、この会社、自社製品という形での発売は一切、してない。

全てが、パテント非公開という形で、共同出資の工場を造り、他企業からの資金を使って製品を世の中に送り出しているとのこと。


普通、出資比率というものがあり、向こうからの100%近い出資ならパテント情報や研究成果を公開しろと言ってくるものなんだが、そういったものは一切なしでの企業形態にしてる。

最初の提携先に、そういう事を言われたのだが、少し開発資料を相手の開発部に見せた段階で、


「我々には、この研究資料を貰っても理解すら不可能です」


と音を上げてしまったそうで。

それから、設備を構築して大量生産できると確実になった製品だけを、この会社のパートナーの製品として発売してるとのこと。


まあ、納得できるようなできないような、そんなこんなを抱えながら、僕は新しい会社でやる気を出して働いていた。


ちなみに、この会社、週休3日で残業無し。

これは社員共通で、例え部長や専務であろうとも、定時になったら仕事切り上げて帰宅せよと厳命されている。

これで高給なんだから、就職希望者はとんでもない倍率じゃないかと思いきや……


就職しようと履歴書を提出してきた人間は、全て雇っているそうなんだが、その数が、あまりに少ない。

なんだろうか?

この会社が、ここにあるということが、ごくごく一部の人間にしか知られていないような、そんな気がする。


同僚に、そんな話をすると、


「そうそう、俺もそう思った。俺が就職面接に来た時に、近くを歩いてる人にビルや企業名を聞いたんだが、そんな会社知りませんと異口同音に言われたからな」


「そうなのよ、私も同じ。ここ、何かの結界か何かが張られていて、それで普通の人間は会社やビルに気が付かないんじゃないの?」


と、そんな感想。

その時には、僕も不思議に思ったが、仕事が面白くなるにつれ、そんなことは忘れていった……


あいも変わらず日常は、この未来を実現している会社を無視するように、世の中を動かしている。

そして、独身寮から引っ越して、近所のマンションで暮らしている僕は、毎日のように目にする、空中にとどまり続ける、異星人の巨大宇宙船が見えるのだった……


そして、あの歴史に残るだろうと言われる大災害が起きる……

数カ月後に。


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