クリスマス特別編 まさかのお話 そのさん その後も少し
終わったぁ!
クリスマスで書き終えたぞ〜!
どうなるかと思いましたよ、2話めで終わらなかった時には^^;
まさかの、その3
「長官、普通に名前で読んでください。番号呼びは好まないので」
俺の意見に、長官は、
「よかろう、楠見くん。ところで、この度の異星人侵略艦隊のことなんだがね」
さっそく最新情報を手に入れてたな。
さすがに太陽系情報局だ、やることが早い。
どこぞの政府系事務局や**課などとは基本が違うね。
「最新情報は、私の方こそ知りたいですね。木星を逃げ出してから半月、何の情報もなくて焦ってますよ、正直」
俺は本音を言う。勇気ある木星開拓団の人たちを犬死にさせて無きゃ良いんだがな。
「いや、それなんだがね。君の心配した事態にはなってないんだよ、楠見くん」
はい?
「えーっと……話が見えないのですが、長官。全滅は回避されたということですか?」
ところが長官、首を横に振る……どういうことだ?
「結論を先に言うとだね、木星開拓団も外惑星探索のメンバーも死んでないよ。全員が異星人に保護されている状況だ」
はぁっ?完全な侵略艦隊だと思ったら、まるっきり違ってたという事?
「ど、どう言うことですか?長官!異星人とのコミュニケーションが早々に実現したってことですか?」
長官、複雑な笑顔を作って俺に話してくれるには……
ここで、かいつまんだ、その時の会話を再現しよう。
「地球人類にとって非常に明るい、希望の持てる展開になったという事態が1つ。そして特定の人物には非常にツライであろう未来が確定しそうな事態が1つある」
イヤーな予感が、ひしひしと押し寄せる。
異星人にとって、ある意味、非常に興味を抱かせる行動を取った人物というのであれば俺の他にいない……
「長官?一つだけ質問がありますが、よろしいですか?」
「いいよ、人類の救世主となるかも知れない男の質問なら、いくらでも答えよう」
「それを聞いて半分は確信しました。非常にツライ未来が待つ特定の人物って私のことですよね?」
「残念ながら大正解だ……異星人たちは君のテレパシー能力とサイコキネシス能力に多大なる関心を持ったそうで、君に関心を持った種族が大挙して太陽系へ来たらしい。あ、君が無力化したキューブだがね、確かに異星人の策略の道具だったそうだ。ただし、トラップとかではなく文明の進化度とESP能力を持ちえているかどうかの測定器も兼ねていたらしい。技術的な無力化や破壊を行えば、注意すべき文明ではあるが、それまで。もしもESPを使って無力化したなら彼らの言う「ご先祖」の能力を見事に開花させた文明ということで彼らの関心と興味を最大限にひいてしまうことになるのだそうだ」
「ということは……俺は個人には最悪の結果、人類にとっては最大効果的な結果をもたらすことになったということですか……」
「楠見くん、全人類は君に対して最大限の感謝を贈る。しかし、君自身は太陽系にとどまる事は出来ないだろうな、この状況では」
「異星人の研究用モルモットの可能性が高いってことですか?」
「いや、彼らの興奮度合いから考えると、そんな待遇じゃすまないだろうね」
「は?異星人達が俺のことで興奮?研究材料が見つかって喜ぶならともかく……何だろう?」
俺の疑問は早々に解決される。
侵略者だと思っていた異星人たちは、かなり友好的であり、異星人達の科学力・技術力を太陽系にも教育・指導してくれるとのこと。
その代わりと言っては何だが俺は異星人の宇宙船の中でも最大の、直径が1kmを超える母船に迎え入れられ、徹底的な検査を受けることになった。
その過程で教育機械なるものを見せられて、俺もその機械に接続されて数時間のラーニングを受けることとなる。
驚いた!今まで異星人達の話す言語が全くの未知の言語だったにも関わらず、今では地球標準語や日本語と同じように考えたり話すこともできるのだ。
彼らの使用している超科学の原理や技術的なもののベースまで、一目見ただけで理解できるようになってしまうのは、もう驚きを通り越して……絶句である。
俺、トラブルシューターとしては最善の結果となったとは言え、もう少し異星人を信用しても良いのじゃないか?
と、そう思えてきた……あの一言を聞くまでは。
今、現在の状況。人類は恒星間航行も会得し、また圧縮空間ゲートの原理を応用して、銀河に超空間ゲートをいくつも設置して、それまでは、てんでバラバラの超空間跳躍航行を、安全に整理されたものにした。
俺?俺の立場は微妙だね。いや、悪い立場じゃないんだよ、悪くはない。
太陽系に大挙して押し寄せてきた異星人達のグループには、それぞれに様々な事情があり、これが何と俺一人で解決できる状況だったのがマズかった!
球状生命体の食料摂取問題は俺の血液サンプルを分析したら、見事にビンゴ!
俺の血液をクローニングしてしまえば解決ってところに落ち着いた。
機械生命体の、はるか昔に彼らの元を去ったご主人様達の種族(どうやら、俺と同じようなタンパク質生命体だったらしい)の問題に関しては、驚愕の解決法となった……
それが今現在、俺を悩ませる問題だ。
何と、その、遥か過去に、どこかへ行っちゃって帰ってこないご主人様と、俺の持つテレパシーやサイコキネシスの強さが、ほぼ同じくらいらしい。
俺が機械生命体にテレパシーで声がけすると、彼らは嬉しさで有頂天になる。
ちょうど猫にマタタビ与えるようなものなんだが、あれは一種の猫用麻薬。
こっちは長い間、使い道がなかったテレパシー受信回路に電流が流れるという電子的な快楽を引き起こすらしい。
で、最終的に、どうなったか?俺は、機械生命体の皇帝に祭り上げられてしまった。
待遇は良いんだ、待遇は。
衣食住は完全に保証され、俺が皇帝の座に少しでも長くいられるように健康にも気遣ってくれている(というか、最新のテクノロジーまで使って不老化されちまったよ。1万年くらいは見た目変わらずに生きられるってさ)
ただね……自由が無い、自由が。
しかし、俺の主張や意見は鶴の一声のように、またたく間に機械生命体により実現される。
太陽系への異星人殺到事件から数100年……銀河は、とことん平和・安全になった。
今、何か宇宙空間で事故が起きて宇宙船から生身で放り出された人間がいるとしよう。
昔なら数秒で死んでしまい、その死体は宇宙空間を漂い続けることになる……これが当たり前だった。
今は銀河系内限定ではあるが、宇宙空間で事故が起きると1秒も経たないうちに事故ポイントが特定され、生命体が事故ポイントにいた場合、問答無用で近くの恒星系にある転送ポイントへ転移させられる。
爆発事故で即死でない限り95%以上の確率で助かるという、惑星上の交通事故死者のほうが死亡率高いんじゃないか?
という、冗談のごとき生還確率。
これを実現したのは俺の超天才能力を発揮した救助網の銀河版である、転送ネットワークを最大限に利用した銀河間相互救助法の設定である。
これに反対した生命体は0で、銀河評議会は全員一致でこの法律の可決を急いだ。
今じゃ、死にたかったら惑星に降りろというジョークまで流行る始末で。
俺は、いつになったら機械生命体の皇帝を引退できるんだろうか?
今じゃ、冗談だろうけど「銀河統一帝国皇帝」などと言われたりもする……
誰かぁ!俺を、ここから連れだしてくれーっ!
でも、俺の心の叫びを受け止めてくれる存在は、どこにもいない……
この状況が解消されたのは、それから千年後。
銀河系とアンドロメダ大星雲との銀河間空間にて巨大な無人宇宙船が発見され、それが銀河帝国永久皇帝ことカイゼル・クスミの目に止まって、その強大なるテレパシーにより目覚めた謎の巨大宇宙船が、クスミ自身で「フロンティア」と名付けられ、そのマスターとして登録されてしまったがために、クスミは、これ幸いと銀河皇帝としての身分と権力を、あっさりと捨てて深遠なる銀河団空間へ逃げたのであった…お供になったのはクスミの玩具と思われていた宇宙ヨットだったそうな……
END
では、年末年始は、第二部の構想とプロット練りながら休みます。
メリークリスマス!
&
年末年始、皆様の健康と心の安寧を念じながら……




