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クリスマス特別編 まさかのお話 そのに

短い話にするつもりが……何で終わらないんだぁ?!

まさかの、その2


いやー、それからの、奴ら「異星人」の打つ手が速かったこと!

俺が、例のキューブを無力化してから一ヶ月も経たないうちに、大軍団で辺鄙な太陽系なんかに押し寄せてきたもんだ。


あっという間に、カイパーベルトの向こうにある太陽系最遠惑星が占領され(この時まで、太陽系の科学者たちは、この惑星の存在を疑っていたんだが、占領されて初めて、太陽系惑星だと認定した……遅すぎたがね)冥王星、海王星、天王星、土星まで、それこそ抵抗すら感じずに、ずんずんと外惑星系を占領してきた。

抵抗らしい抵抗が始まったのは、やはり木星から。


ここには、10万を超える人員と、それに加えて強力な惑星開拓用重機(初期の知能付与済)が、ごまんとあったので、立て篭もり戦術ではあったが、なんとか火星への進出は食い止められる。

とはいうものの、最前線が崩壊するのは明らかで、保たせられるのは数日から10日前後位だろう。


面白いことに、機械類や武器の抵抗防御よりも、彼ら異星人には「テレパシー」での呼びかけと停戦勧告が効いているようだ。

彼らの軍団も一枚岩とは行かないようで、テレパシーコンタクトに応じようとする勢力もあって、内部紛争を起こしているようだ。


ちなみに、俺はどうなったかって?

木星開拓団の総意により、避難民と一緒に地球へ送り返されてる途中です。


俺も、木星開拓団と共に戦うつもりだったんだよ。

でもさ、


「楠見くん、君が人類史上でも最高クラスの超常能力の持ち主だということは良くわかっている。だからこそ、君は最終防衛に参加するべきだ!ここで、緒戦で死ぬような人物ではない、人類のために、太陽系の明日のために、今は辛抱してくれ!」


と、団長自ら説得、否を言うべき場面じゃないよね。

俺は、宇宙ヨット(様々な改造済なので、これは手放せない)と小さい手荷物一つで大型貨客船に乗る。


ここでも、団長のはからいで、俺は特別待遇にされた。

通常はバカ高い手荷物料となる宇宙ヨットも無料で積み込んでくれたし、部屋も、小さいながらも個室。


普通は、こういうのはVIP待遇なんだがな。

非常時だからこそ可能なことかも知れないね。


ただし、俺の情報は、太陽系情報省防衛局へ直行とあいなった(こりゃ、地球へ到着してからが恐ろしいぞ……特に長官は、俺の秘匿身分での上司だしな)

とりあえず、俺はコールドスリープには入らず、船長と相談の上で、戦術アドバイザーなる臨時職に就く事になる(異星人対策だとさ。異星人のことを、この船の中で一番わかっているのは俺だからね)


木星開拓団が、悲壮な決意で時間稼ぎしてくれているため、それを利用して、大型貨客船は距離を稼いでいく。


船長の、


「圧縮空間ゲートは、どうする?機構を破壊して、少しでも足止めするか?」


との相談には、


「止めておいたほうがいいでしょう。ゲート機構を初めから造り直すとなると、とんでもない時間と費用がかかります。異星人が勝つか、太陽系人類が勝つか、どちらにせよ、絶対、将来に必要になる機構ですから」


そう、あのナチス・ドイツのたった1つの社会的利益とは高速道路アウトバーンだったという言葉もあるくらいだからね。

戦争後のインフラは、少しでも残せるようなら残したい。


できるなら最新の木星状況を知りたいのだが、メディアの関係者も全て、この帰還用貨客船につめ込まれているため、残念ながら戦闘状況は知ることが出来ない。

そんなこんな、やきもきしながらも、大型貨客船は地球へ向けて最大速度で飛んでいるところだ。


ゲートも抜けて、火星もパス。

ちなみに、俺達が知る最新状況は通信で火星にも地球にも、既に送信済みである。


ゲート管理官(ロボットではない人間の管理官)には、できるなら逃げろよと言ってある。

責任感の強い管理官らしいので、逃げるかどうかは分からんが……

ゲートの防衛機構って対宇宙海賊くらいしか想定してないんで、異星人相手に戦闘となったら一瞬でお陀仏だ……


通常、エネルギー節約のために一月半以上掛けて木星ー地球の距離を飛ぶ宇宙船だが、今回は非常時のため、半月足らずという驚異的な日数で地球圏ステ―ションへ到着する。

ステーションへ到着しても、ゆっくりなんかしてられない。


避難民は勿論、俺も大至急、太陽系情報省防衛局へ出頭せよと命令を受けている。

現在の時点で全く正体も何も分からないという異星人の情報を、直接報告せよとの長官のお達しだ。


命令書を見せて、悪いが俺だけ特別扱い。入国ゲートもパス、ロボタクシーも緊急時なので無料。

最短距離を使い、警察権力まで総動員して、俺一人を警護・案内するために通常交通の大渋滞を引き起こす(数分間だけど)

そうまでして、緊急でやってきた防衛局の建物。


俺は、覚悟をして、その大扉をくぐる。

最上階(長官室)へ直通エレベータで向かうと、そこに俺の本当の上司、太陽系情報局長官が待っていた。


「お帰り、楠見くすみ ただす君。いや、情報員ナンバー7と呼ぼうか?」


久しぶりだな、ナンバー名で呼ばれるのも。

まさかの、その3へ続く


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