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惑星間航行の日常 木星圏へ

お待たせしました。クーラーが嫌いなので、この暑さでへばってしまい、続きを書く気力が湧くまで何もできませんでした。

圧縮空間ゲートを抜けてひと悶着終えて後、ようやくというか何と言おうか目標の木星圏へ到達。

公的通信で予め知らせてあったためか、ストッピングパワー用のレーザーが、こちらの機体へ向けて照射されて来た。

今のところ順調に速度は下がっている。

もう少し下がったら、ブレーキ機構も兼ねた帆は畳む予定。


到着前に予想していた通り、向こうはエネルギーだけは腐るほどあるようだ。

ただし宇宙ヨットの保管場所についての交渉は、ちょいと難航してしまい(事前に申請してあれば何の問題もなかったのだが今回は俺が貨客船で身一つで来るとばかり考えていたのが、予定が狂って宇宙ヨットなどという趣味感満載の機体で来たもので)まあ最後には、ばかでかい手荷物で来たということにしてもらい、ヨットは木星の管理局預りにしてもらうことで落ち着いた。


こういう開拓星や開拓団は個人のスペースを制限することが多いため(個人用スペースを広く取るよりも、その分を資材や公的物資の保管場所に当てたい、ってところだよな)えてして、こういったトラブルが起きやすい。

ちなみに、以前に行ってた火星の開拓団では、もう主星の火星はテラフォーミング済みのため、こういったトラブルは無く、けっこう広い居住スペースの割り当てを貰って働いていた。

俺自身、火星への移住を結構、真剣に考えていた(地球の不動産価格と比べて三分の1以下なんだぜ、なんつっても!俺の少ない預金でも充分に豪邸が建てられる。それに何と言っても重力が地球の40%!俺が老化して体力低下したら真っ先に移住先に入れたい星だね)


ま、それはともかく……

現在では、宇宙ヨットと木星管理局とは明瞭なデータ交信と音声通信が可能な距離にまで近づいていた。

とはいえ、まだ数10万キロはあるんだが……

この機会を利用して俺は派遣先の木星開拓団についての情報を得ることにした。

様々なデータやニュース映像を送ってもらい仕事の事前準備にとりかかる。


ふむふむ……

メインの派遣先、衛星イオやカリストなどは大したトラブルは起きていないようだが(細々したものは、いつもなんだそう。こりゃ結構しんどいかも知れない)大問題なのは主星たる木星の調査団。

もうトラブルの連続で調査してるのかトラブル対応してるのか分からない状況らしい。

木星ローカルニュースの映像でもMCが苦笑しながら今週の木星調査団コーナーを担当していた。

あちらが壊れ、こちらの部品が無くなり、部門の責任者が休暇や入院している時に限って、その部門にトラブルが集中する、ということらしい。


これを見て俺の判断は、こいつら全員バカじゃないか?!

だった。

どこをどう見たって、これはトラブルに見せかけた破壊行為だ。

何も先入観のない俺の目で見ると、このトラブルの頻出はサボタージュなどという甘いものじゃなく、完全にスパイ行為の発展形、破壊工作の類。

派遣先で戦闘行為に巻き込まれるのは本意じゃないので、俺は木星調査団へ公式通信を要請して更に完全な秘匿通信とする事を了承してもらう。

ここまで準備して、ようやく俺と木星調査団の団長との通信での会見が実現。


「君が数カ月後に派遣されてくる予定の地球人トラブルバスターかね。仕事はまだまだ先なのに、何の秘匿通信だ?」


まあね、まだ働く前からトラブルバスターの仕事をしても仕方がない。

だけど戦争だけは回避しなきゃ。


「あ、はい。地球から来ました派遣社員です。1つだけ事前にお知らせしなきゃいけない急用がありますので、それだけ連絡したくて、この通信会談を設けていただきました」


「急用?こちらも急用が一杯なんだよ。あちらもこちらも急用のトラブルばかり!」


「それなんですけどね、団長。そのトラブルの根本原因、分かりました」


「何っ!?頻繁に起きるトラブルに根本的な原因があるだと?!」


「はい。それを解決しない限り、トラブルは増えこそすれ減るなんてことは考えられないかと」


「頼む!教えてくれ!根本的にトラブルが解決するなら金額なんて問題じゃない!」


「あ、まだ働いていませんので報酬は働いてからですね。それよりも……これ、団長さんに、ちょっと辛い話になるかも」


俺はトラブルの根本原因が、サボタージュやスパイ行為が発展した破壊工作であることを団長に通告。

団長は仲間を疑わねばならないことに悩んでいたようだが最終的には木星調査という目的を完遂するなら避けては通れない道だと納得したようだ。

俺はトラブルが起こった時の人員リストと状況、そして、これから敵対組織のとるであろう予定行動を推理して団長に話す。

団長には、これらの予定される敵対行動について、ちょっとした心理的な罠を仕掛けるようにアドバイスもする。


俺は、くれぐれも相手を刺激しないように、破壊工作とサボタージュだけ潰せば後は様子見に徹しろとアドバイス。

なにしろ木星開拓団に軍は駐留してない。

正体のわからない敵と交戦状態になれば木星開拓団など兵士の武力に対抗できるはずもない。

最悪、火星に駐留している宇宙軍に救助・応援を頼むことはできるが、そんな大々的に軍の艦船を動かしたら、えらいことになる。

俺は、なるべく目立たないようにやってくれと団長に言うと通信会談を終了させるのだった(ちなみに、この公式通信の費用は全て木星開拓団持ち。俺に払える金額じゃない)


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