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銀河のプロムナード その2 百年経っておりましたとさ。

主人公の浦島太郎ぶりをお読みくださいませ。


今の太陽系、地球の経済事情はどうなっているのか?

貨幣や紙幣は無くなっているようだ。


ちなみに、俺が太陽系を離れた時点から数えてみても、もう100年ばかし過ぎているらしい……

フロンティアで、後先考えずに人助けばっかりしてたら、もう1世紀すぎたか。


その割に、俺やエッタ、ライムが老けたとかいう兆候すら無いのは、フロンティアの食事や船内空気に、細胞のテロメア不活性化物質が含まれているせいだ。

フロンティアは、遺伝子レベルで長寿命になったとか言ってたが、そういうDNAの瑕疵を修正したのだろうか?


あいつなら、あり得るな。

マスターが老衰で亡くなるなど、私の船では、あり得ませんよ。

とか、にこやかな表情で物騒なこと抜かすやつだからな。


まあ、俺自身のことはいい。

今は地球事情だ。


カードが一枚、上着のポケットに入っていた。

どうも、これで全ての経済活動に参加できるらしい(つまりは、物が買える、ホテルにも泊まれるという事)


銀河団の管理人さんも、粋なことやるじゃないか。


試しに、昔の会社があった場所に行ってみることにした。

転送ボックスにカードを差し込み、行きたい場所を指定してやると、次の瞬間、そこにいた。

フロンティア、違った、ガルガンチュアにも、このシステムが欲しい!

俺は痛切に思ったね。


まあ、このシステムだけじゃなくて、様々なインフラあってこその転送ネットワークなんだろうが。


そこんとこは後で考えるとして、だ。

俺は、辺りを見回す。


あれ?あのブラック派遣会社が入ってたビルがない。

それどころか、高層ビル街だったのに、低層ビルばかりで圧迫感が皆無だ。

精神的には良いことなんだろうが、古い感覚してるエンジニアの俺からすると、あのビルに入って集団の一員になったような感覚は独特のものだったよなー……なんて感慨に……


そこらへん歩いてる人に、古いビル街はどうなったの?

と聞いてみると、


「あんた、よほどの田舎星系から来たみたいだね。今から70年位前に来た異星人集団の地球訪問事件から、数年後には高層ビルなんてものは無くなっちまったよ。工業系コロニーや農業系コロニー、太陽系の開拓が今までの10倍できかない速さで進んだこともあって、いつのまにか地球は休暇を楽しむリゾート星のような位置になっちまった。今現在、地球上で仕事してるのは、異星人の観光客相手のガイドか、今でもどんどん増えてる異星や異銀河からの訪問者対応の人たちだよ」


ありがとう、と礼を言い、その場を去ったが、その時に相手が変な表情をしていた。


(ちなみに、本人は聞いていないし、その場を見ていないのだが、相手の呟きを文章にしてみよう)

(「あれ?今の男の人、どこかで見た憶えがあるぞ?うーん……どこだったけ?有名人?とは言え、インフォメーションやスクリーンに出てくる俳優や声優じゃないだろうし……うーん、歴史に名を残した人だっけ?でも武将じゃない…あ!思い出した!人類初のファーストコンタクトした人、今でも古代の巨大宇宙船で銀河系どころか、その果てで活躍してる伝説の日本人!でもなー、似てるけど、あの3Dホロの映像と、そっくりだったぞ?百年前の人間だぞ?いくら何でも、不老はあり得ないだろう」)


ちなみに、この人物、ギャラクシーネットにて(インターネットの氾銀河版。今ではアンドロメダも一部、サービスの恩恵を受けている)この疑問を発したところ、


・(笑)笑笑。本当に不老だったら、どっかでバンパイヤ種族と交わった?(笑)


・それ、あり得るぞ。伝説の男だったら、どんな種族とも出会ってるはずだからな!


・それはないと思われ。いくら超高性能の宇宙船とは言え、今の銀河系に来たら、どんなステルス施してても見つけられる。それがないというのは、身一つで来たってか?


・いくら、今までに出現したことのないエスパーだった人物だとは言え、銀河系や星雲を、どれだけ通過してると思ってるんだ?今、アンドロメダの周辺銀河からも地球へ訪問者が来てるんだぞ。当然、宇宙船は、その先へ行ってるんじゃんか


・そこまで行くと、もう小説すら飛び越して、コミックの世界になるよね。どんだけのエネルギーが必要になると思ってるんだ?もう、恒星1個の出力すら超えたテレポートになる。事実なら、人間の姿をした宇宙怪物だよ


えらい言われようである。

書いた当人も、ネタにされた当人も。



地球で、俺がもう一つだけ行きたい場所があった。

地球で、俺が暮らしていたアパートである。

高層ビルの件があったので、そんなに期待はしていなかったが……


驚いた。俺が住んでいた頃でもオンボロアパートだったが、一応は、建て替えたようで。

管理人も代替わりしていた。


俺は、ずいぶん昔に、ここが建て替えられる前に住んでいた者で、懐かしさのあまり見に来てしまったと伝える。


「まあまあ、ここの昔を知ってる人は、もう何人もいなくなったんですよ。それにしても、あんたさん、お若く見えるねー。もしかして、最後のコールドスリープ船の乗員だったのかい?あの船に乗ると、往復で最長10年ほどは年をとらないそうだから」


「いえ、コールドスリープは体験しましたが、俺の船は超光速船ですよ。実は、遠いところから、一時帰国で帰ってきてまして。また、しばらくしたら遠いところへ出かけないといけない身なんです」


間違ったことと嘘はいってないよな、うん。


「まあまあ、それじゃあ、アンドロメダ銀河とやらとの直通航路を作ってるお方ですかね!もう、最新で最先端の技術者なんて、引く手あまたでしょうに!亭主元気で留守がいい、この標語通りの人だわ!家にも娘がいるんですが、どうですか?!」


うわ、押しが強いな、このオバサン。悪気はないんだろうが……


俺は、新しい建物を見させてもらって、昔の管理人さんの位牌に手を合わせる。


「まあ、今の若い子たちは、先祖に手を合わせることもしないってのに。お兄さん、若いのに、古い風習を知ってるねー」


「まあ、ね。親が古い人間で、小さい頃に躾けられましたから」


オバサンの親(前の管理人さんの子)が、俺が仏壇に手を合せていると、感心したように言ってくる。

俺もね、実は貴方より古い人間なんです、と言えればね……


さて、これにて地球に知り合いはいない(もう、同級生も、仕事の同期も、全てが墓のなかだ)


火星や木星も行ってみたいが、まずは地球観光かな?

様々なところへ行ってみようか。


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