もうひとつのフロンティア その4
今回は、宇宙船ガレリアの内部説明です。
設計コンセプトがちがうと、こうも変わるという見本ですね。
俺達は、今、宇宙船ガレリアに来ている。
あ、俺達とは、ガレリアとフロンティアの頭脳体、プロフェッサー、俺の4名である。
え?
あとの2名は?
エッタとライムについては、例によって俺の所持するビブリオデータで遊んでる。
今は様々な宇宙アニメや、宇宙もの特撮に夢中になってるようだ。
まあ、面白いとは思うが、女の子が、
「レー○ーブ○ー○!」
なんて必殺技を使う宇宙刑事に夢中になるのは何か違うような気が……
まあいい。
ガレリアの内部は、やはりフロンティアとは大違いだった。
資源探査任務が主というだけあって、フロンティアとは違う意味での、興味深い機器が揃っているのだ。
試掘作業用のデカくて長いドリルも、男のロマンをかきたてる。
やはり、男はドリルだぜ……
変な感慨に浸る俺であった。
まあ、これでマスターを移るなんてことは、考えもしないがね。
おい、そこのフロンティア頭脳体!
恨めしそうな視線を送るんじゃないよ!
心配しなくても、お前のほうが居心地がいいんだから、移る気はないって!
巨大な掘削機器や試掘作業設備、フロンティアとは全くコンセプトの違う、ガレリアならではの搭載艇も見てみるが、興味深い。
フロンティアと違って、見るからに頑丈でタフな印象を受ける機器や搭載艇群である。
「ふーむ……こうやって見比べると、同属船とは言うものの、フロンティアとガレリアは、そもそもの設計コンセプトからして違うようだな」
偽らざる感想だ。
「そうですね。艤装前のガレリアしか、私の記憶にはないので、こうやって艤装後の、ちゃんとした船倉や全体像を見たのも、今回が初めてです」
フロンティア、それは仕方がないだろうに。
送り込まれた銀河団そのものが違っているなら、ここで会えること自体が奇跡のようなものだ。
「面白いですねぇ。言うなれば、フロンティアは優雅な中にも強力なエンジンを秘めたスポーツカーのようなものがコンセプトになり、逆に無骨だけど力強い重機コンセプトなのがガレリアですか」
おっ?今のコメント、的確じゃないか、プロフェッサー。
俺も、同じ感想を持ったよ。
「で、ガレリア。今の君は、これらの設備や搭載艇のうち、ほんの一部しか動かせないわけだね」
フロンティアが確認のために聞く。
ガレリアは、ちょっと悔しそうに、
「そうだ。私は資源探査が主たる任務、その任務が果たせずにいるのは、心苦しい。だからこそ、主が欲しいのだ」
正直なところだろうな。
これほどの設備や搭載艇があるなら、1星系の資源探査など、ちょちょいで済むだろう。
それが、手足を縛られているようなものだからな。
面白いものがあった、フロンティアでは、見かけないものだ。
「ガレリア、この小型ロボット集団は?」
「ああ、こいつらは、様々な星へ送り込むための調査用ドロイド集団だ。資源が見つかっても、それが地形や地層の関係で、あまりに掘り出すのが難しい場合には別の方法を考えねばならないからな」
俺の質問に手際良く答えるガレリア。
ほー、見つけたら、それで終わりじゃ無いのか。
一応、採掘して主たちに送り届ける準備までやれるんだな、こいつは。
フロンティアの同族船だけのことはある。
やっぱり普通の宇宙船じゃない。
無愛想なガレリアが、俺には好もしく思えてきた。




