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銀河のプロムナード そのころの銀河系ひとコマ その2の下

閑話、そのころの銀河系ひとコマ 2話め終了です。

もう少し続けようかな?


【映像化企画 第十段 クロス計画 銀河系と周辺銀河への道】


「はい、今夜のX計画は銀河系でも、あのフロンティア・ショックに次ぐインパクトを与えたと言われる「ジャンプサークルの異次元空間化」プロジェクトについてのお話です。お客様として今回は何と!あの計画の理論面をフルサポートされたプロフェッサー・ミナミこと南教授をお迎えしました」


「南です、どうぞよろしく」


「南教授は、あの巨大プロジェクトの最初期からのメンバーですよね。最初から、あんな巨大なプロジェクトになると分かっていて参加されたのですか?」


「いいえ、最初、私に声がかかった時には銀河系中央技術試験所という、とてつもない超巨大企業からの話?ということで半分、嘘だと思ってたんですよ。私は本来、数学者であって理論武装のみで現実に技術的なところは何も分からなかったんですから」


「そうでしたか!ところで、あの巨大プロジェクトのキッカケは教授の書かれた論文にあるとお聞きしました。それについて、お伺いしてもよろしいですか?」


「はい、では……もともと、あの論文、というかレポートは私の個人的な数学的考察をまとめただけのものでして、私自身は、あれが現実になるとは思っていなかったんです。このレポートの件で銀河系の中枢部にある銀河系中央試験所、略して銀中験と言いますが、そこへ呼ばれた時には、もうレポートを提出して十年以上も経過していたため何の件で呼ばれたかも把握してなかったんですから」


「え?ご自身でも呼ばれた理由が分からなかったんですか?」


「はい、その通り。三十分ばかり相手の方、今の銀中験の副所長ですが双方ともに話が噛み合わずに両名とも「変だな?」と思いながらも話し合ってたということなんです」


「それは初めてお聞きしますね。お互いの現実と理想が、あまりに食い違っていたための笑い話となりますが、それが、あんな巨大プロジェクトになるとは予想されました?」


「いいえ、最初にお話した通り、あのレポートは数学的な可能性を論じただけで現実化しようとする人がいるなんて思いませんでしたから」


「そうですか……いつも夢を語るのは理論家だと言われますが、今回のプロジェクトに関してだけは開発者と技術者が理論よりも先に夢を見たということになりますね……では計画の推移をドラマ化した映像で、この巨大プロジェクトの現実化と、計画につきものの困難と解決を、ご覧頂きたいと思います……」




「はぁ……この番組のおかげで今更ながらとメディア各社の取材攻勢が激しいよ。なんとかならんもんかね?」


「無理だと思いますよ教授。実際に今の銀河系内と、将来には大小マゼラン雲、アンドロメダ銀河にも、あのジャンプサークルの改良版が設置されることは決定済みじゃないですか。まさに宇宙の交通網システムをひっくり返した有名人ですからね」


「私はね、有名になりたくないんだよ、これ以上。数年前に統一銀河理論物理分野最高栄誉賞、などという勲章までもらうことになりノミの心臓が破裂するかと思ったんだから。もう嫌、引退して数学理論だけに引きこもりたい……」


「教授、そんなことができると思ってるんですか?あなたの頭脳は、もうあなた一人の物じゃなくなってるんですよ。まあ、どうしても、というのなら、たった1つ手段がないこともありませんけど」


「何?あるのか?!どんな手段だ?」


「あなた以上の英雄、有名人に相談することです。宇宙船フロンティアの船長ですよ」


「そういう事か。希望を持たせないでくれ、フロンティアは半分、伝説化した超高性能宇宙船だぞ。今頃、何処にいるのか……この銀河団すら飛び出してるかも知れない」


「そういう事です。かの地球人、もはや彼も伝説半分ですが……彼に匹敵する仕事をなした教授ですからね。逃げられませんよ」


「よしてくれ、あのフロンティアに敵う功績なんて誰も成し得ないさ。私の科学的功績なんて微々たるものだよ」


「嘘ですよ、それ。ジャンプサークルに次元位相をずらす装置をつけるなんて誰も考えつかなかったんですから」


「しかし誰かが、いつかは考えつく事だよ。思いがけずに私がいち早く理論的に可能だと思いついたまでだ」


「でも、それで跳躍航法の更なる高速化と高効率化、さらに安全性が理論的には100%に近くなったんですから」


「ああ、今までのジャンプサークルは跳躍航法のサポートツールでしか無かった。私の改良は、それに微小だが次元位相をずらすという装置をつけたことだ」


「それにより跳躍航法の終了ポイントに、もし思いも掛けない確率で隕石やデブリが侵入してきたとしても、位相をずらした宇宙船とでは重層事故が起きない事が重要ですよね。これにより、それまで事故の確率が0にどうしてもならなかった宇宙船の跳躍航行も付属装置設置後のジャンプサークルを使う限りは事故確率は理論上、0!凄いことですよ」


「まあね、同時間、同位相で同一空間に2つの物体は存在し得ないという理論物理学の基礎。これがあるからこそ跳躍航法の終了ポイントには何もない事が重要だったんだが、宇宙の自然は確率的にありえないことでも可能にするからな。重層事故は悲惨だ、重層した箇所が全てエネルギーに変わるわけだから……それこそ爆破して後に残るは残骸ばかり……それが回避されるのは良かったんだが……しかしなぁ、こんなことくらい、フロンティアの彼がいたら、とっくに思いついていたんじゃないか?」


「しかし、現実的に今の銀河系にフロンティアは存在しません。次善策として歴史は教授を選んだのでは?」


「やめてくれ!神の意志とか世界の意思なんてのは、まっぴらだ」


彼らの愚痴と反論は、いつまでも続く……

これが宇宙が平和であるという証拠のように、いつまでも……


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