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さんかく座銀河の一角で その一

星雲(銀河)一周レースネタをやってみたいと思い、書き始めました。

ちなみに、この話のベースになるのは、タツノコプロのアニメ「マッハGO!GO!GO!」

懐かしいアニメの雰囲気は残しつつ、大幅にベースを崩してあるので、それと言われないと気づかないかも(笑)


「マスター。久々ですね、我々が主役での話って」


んー?

何のことだかなー?

知らんぷり。

お約束の漫才モドキをやってると、アナウンスが響き渡る。


「満員札止めのお客様方、よくぞ、この銀河一周レースに参加、あるいは勝ち札投票への参加、ありがとうございます!さて、これから、銀河一周レースのコース説明と、ルール説明を行います……」


ここは、さんかく座星雲の小銀河。

Mナンバー、あるんかい?

と思われそうな小さな銀河であるが、まあ、その辺は地球人と地元人では感覚が違うだろうね。


銀河一周レース?

フロンティアが本気でレースに参加したら今の状態だとぶっち切りの優勝と違うのかい?

と思われる方が多いのでしょうが、あいにく、このレースは宇宙船の大きさに規定がある。


あまりに大きすぎる(小惑星サイズを大幅に超えた今のフロンティアは、もう少しで衛星だ(今でも小さめの衛星と言える))宇宙船は参加不可。

よって今の俺達は中型搭載艇を出力アップチューニングして参加している。


プロフェッサーとフロンティアが本気になって改造した結果、元の搭載艇デザインは何処行った?

状態になっているが、まさに「レース用宇宙船」という雰囲気だ。


ん?

なんで、トラブル解決専門宇宙船クルーが、こんな大規模な賭けレース参加してるんだ?

って……

それがねー、語るも涙、聞くも涙の物語!

んじゃ、そのキッカケとなった出会いを回想してみようかね。



「おじちゃん、マッチ、マッチを買ってくれませんか?小銭で結構です。マッチを買って下さいな」


この銀河、この星系に例によって例のごとく潜入して小金持ちの発明家という立場を得ること数カ月。

毎日毎日、発明のヒントを探すという名目で町を歩いていると、お約束のごとくスラムというか貧民街というか、そんなふうな場所、酒場の前で、いたいけな少女がマッチを売っていた。


こういう光景、胸に響いて思わず俺は少女に駆け寄る。


「もういい、俺が全部買ってやるよ。今日は家に帰って、あったかい物でも食べて早く寝なよ」


カゴの中にある出来の悪いマッチを全て買い取り、其の価値の数100倍の紙幣を一枚渡す。


「おじちゃん、本当にありがとうございます。でも、もらいすぎです。お釣りがないの……」


「いいから、いいから。お釣りは、お駄賃だ。早く帰りな」


「おじちゃん、ありがとう……でもね、このお金、私のお金じゃないんだ……」


ん?

どういうことだ?

と、考える間もなく。


「おっ?!今日は、いいカモ見つけたじゃねーか!さあ、其のカゴ、よこしな!全部売ったんだろ!上納金だよ、昨日までと今日の分も入れて、この金額でチャラにしてやる!明日も稼げよ!」


せっかく未成年労働を防いだと思ったら、これか……

チンピラが少女から全てを掠めとっていった。


「おじちゃん、ごめんなさい。でも私、少ないお駄賃でも良いから働かないと教会のお母さんに迷惑かかるから……」


ピン!

ときた。

こういう場合、現場では解決しない。

上層部から手を回す必要があるな。


「いいよ、いいさ。じゃあ教会の、お母さんのところに連れていってもらえるかな?俺なら色々な問題を解決してやれるかも知れないからね」


「うん。おじちゃん優しそうだから、お母さんに会わせても大丈夫だと思う」


俺は少女と手をつないで教会を訪ねることにした。

しばらく歩くと少女が教会と呼んだ場所が見えてきた。


スラムの外れ、市街地の端っこ。

いつも、こんな距離を、この少女は歩いて物売りをしているのか……


教会と名はつくが、いわゆる「バラック」

そこいらへんのガラクタや廃材を組み合わせて、家らしき格好にした物だ。

ちょいと地震があれば中にいる人たちごと、あっという間にペシャンコ。


政治が悪いというか何と言うか……

まあ中央星系は暮らしもモラルも良くて、こういう孤児や貧民はいないようだが、あいにくと、ここは、この銀河のリム

開拓に沸く星系といえば聞こえはいいが、要は山師や半端者、乱暴者やお尋ね者達が集まる部分。


一山当てられる人間はいいが、そうじゃなければ運にも仕事にも見放され落ちるところまで落ちるのが、こういう世界の掟。

マッチ売りの少女のような境遇の子供たちを引き取って宗教施設として育てているのが「お母さん」ことシスター。

元々は、この星系へ中央星系の教会本部より派遣されてきたが、本来シスターが就任するはずの教会支部は腹黒い闇の暴力組織に乗っ取られて今はケバケバしい色事ビルへと、その姿を変えていた。


シスターは、この惨状を見て、あまりの事に義憤を抱いたらしい。

教会本部が現場の実体を知ってシスターを呼び戻そうとした時には、教会が持っていた倉庫にするはずの小さな土地に形だけでも建物を立て、教会と孤児院を兼ねた施設にしたようだ。

再三の帰還要請にも耳を貸さず、孤児たちと救いのない状況での戦いを続けているのが現在のシスターと子供たち……


俺は心の中で泣いたね。

あまりといえば、あまりの境遇。


俺が働いていた太陽系のブラック会社でも、ここまで酷くない。

銀河(星雲)で統一政府というのは確かに効率的かも知れないが見落としがあると、ここまで糞虫共がはびこるか。

全ての人民を救わねば、それは何もしないことと同じ。


政府の出張所も、ちょいと金積んで中を見させて貰ったが、裏の組織と結託してやがる奴の多いこと多いこと。

これじゃ何か犯罪が起きても上の組織に報告は行かない。


永遠に中央星系では「異常なし」状態が続くわけだ。

俺は、お母さんことシスターと本音で話し合うことにした。


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― 新着の感想 ―
[一言] マッハGoGoGo子供のころはまってました。 なんと、三船剛のヘルメット持ってました。
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