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惑星間航行の日常 再度、冷凍睡眠(コールドスリープ)中。しかし……

今回も視点がコロコロ変わりますので、ご注意下さい。


ん?

私は異常を示すアラートに気づく。

それは、今の時点で解除されるはずのない冷凍睡眠コールドスリープカプセルの、タイマー以外に解除命令が発生したことによるアラートである。

シュウシュウ言う音を立てながら、わがあるじ冷凍睡眠コールドスリープカプセルの蓋が開いていく。

私は(こう言えるものなら)唖然としていた……

わが主は開口一番、こう言った。


「おい、プロフェッサー。やりすぎだよ」



俺は途中から目が醒めていた……

というかプロフェッサーが何をやっているのか冷凍睡眠コールドスリープ中にも関わらず全ての手順が見えていた。

普通は会話しかプロフェッサーの意思を確認することは不可能なはずなのだが俺には確かにプロフェッサーが睡眠教育そのものをパワーアップさせ更に独自のエスパー養成教育のようなプログラムまで組んだことも認識していた。

一応、俺自身に危害を加えるような物ではなかったが、それらを全て吸収して脳解放が一段と進んだ時、俺には、この宇宙ヨット全ての事が理解できてしまった。


そしてプロフェッサーも俺自身の事も全て理解できてしまった。もう俺には冷凍睡眠コールドスリープも睡眠教育も不必要。


「プロフェッサー、睡眠教育プログラムと冷凍睡眠コールドスリープシステムの停止処置を行え。もう不要だ」


「はい、了承しました、わが主。ただし、理由を聞かせていただけますか?」


「もう不要だと言ったろ?俺はもう自分の身体の全ての機能を自由自在に扱える。だから今の状態から冷凍睡眠コールドスリープ状態に瞬時に入れるし、身体を冷やす必要もない。おまけに、これ以上の脳開放のために睡眠教育を受ける必要もない。プロフェッサーの用意してくれたデータも教育課程も全て終了。ついでに、お前が未来に用意するであろうプログラムまで作って終了させた」


「……確認しました、わが主。全てのデータと教育課程、そして、貴方の言った通りの未知のプログラムまで終了させてます。お聞きします、なぜ貴方は、こんな、私のような機械知性から見ても異常と思えるような学習速度で脳解放が進んだのですか?この事態は私にも予想外で異常事態とみなします」


「んー、それはね。プロフェッサーが仮説として考えた通りのことが起こったと言うこと」


「はい?わが主。それは、もしかして、エスパーと超天才が同じ種類の人間だと言う仮説ですか?」


「当たり。俺の脳解放が進んでエスパーとしての能力まで解放してしまったらしい。それと超天才の2つが合体して脳解放が一気に進み、俺の現在の脳開放状況は90%以上だ。俺自身が望めば、これ以上の脳領域を解放する事もできるが俺の中の何かが、これ以上はやるなと大声で警告している。だから、これ以上は不要だ」


「了解しました。冷凍睡眠装置も睡眠教育プログラムも停止します。ところで好奇心から聞きたいのですが、わが主はESPやサイコキネシス能力が無かった筈ですよね。今はエスパー並に使えますか?」


「ああ、今はまだテレパシーくらいだけど。どうも、こいつは使用しながら慣れていくというか発達するような能力らしい。人間の筋肉のようなものかな、例えると」


「素晴らしい!これで人類は神に近づける種族だと判明しました。これは素晴らしい業績ですよ。もう社会の底辺でトラブルシューターやってる場合じゃありませんよ、わが主」


「悪かったな、社会の底辺でトラブルシューターやってる情けない人類の希望で。でもな、これ、ちょいとツライぞ」


「何ですか?神に近づいても何か欠点がありましたか?」


「ああ、最大の欠点というか弱点だな。脳解放が進みすぎて脳の通常消費エネルギーが尋常じゃない。糖分が莫大な量と速度で消費されるのが弱点だな。スーパーマンも食うものがなきゃ空も飛べないってわけだ。これ……ちょっと計算してみたが今の宇宙ヨットにある食料じゃ脳を全解放すると24時間保たないことが判明した。よって今から脳解放を抑制するアイテムを装着する」


俺は、いつも持ち歩いているメガネを装着する。


「こいつは何の変哲もないメガネだ。しかし自己催眠により、これをかけている間は俺の脳解放は最小限になる。まあ、普通の人間の2倍ちょいが良いところかな」


俺はプロフェッサーに今から深層睡眠に入るから、と言いおいて、カプセルにも入らずに冷凍睡眠コールドスリープ状態になる。

これの利点は、すぐに目覚められる点だ。



わが主には驚かされる。

カプセルの横で本当に意志の力だけで冷凍睡眠コールドスリープ状態に入ってしまった。

テレパシーも使えると言っていたし、あの仮説は事実だったか。


しかし、一つ疑問がある。

わが主は、あえて脳解放度を100%にしないと言っていた。

自分の中の何かが、それを止めると。

脳の未解放領域、約10%。

そこに何が隠されているのだろうか……

機械知性としては興味はある。

だが、わが主の言葉と火星の人工頭脳の言葉がリフレインする。


「これが怪物を生み出す原因にならないことを祈っている」


これは何を暗示しているのだろうか?

機械知性の私には予測することしか出来ない……

理解不能だ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 『俺の中の何かが、これ以上はやるなと大声で警告している』 ぬおー! これは気になりますね! 神か悪魔か怪物か! ドキドキですね! それにしても一気に超人になっちゃいましたね! これはすご…
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