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聖地へ来た! M87星雲 その三

まだまだ、不思議は続きます。

当分、フロンティアは登場しませんので、ご承知おきください。


しばらく立ち止まって辺りを眺めていると、不意に視界を遮るものがある。

ロボットだ。それも人間型。表情すらも笑顔を浮かべて人間そっくり。

その足運びが、あまりに人間離れしていて足音すら聞こえなかったのでロボットだと気づいたのだが、それがなければ普通にメイドだと思っただろう。


「お客様、こちらです。ご案内するように言いつかりましたので、参上いたしました」


少し古い言葉遣いではあるが本当に人間そっくりだ。

ここの主人のテクノロジーは現代よりどこまで進んでいるのやら……

逆に興味が湧いてきた。


うむ、と、メイドに頷いてビルの中に案内してもらう。

殺風景かと思ったら異星の異界風景を描いた絵画や、どう見ればよいのか見る角度が変わる度に印象が変わる彫刻など様々な芸術品も置かれている。

ここの主人、案外と個性的な趣味があるのかも知れない。


一直線に主人の部屋へ案内されるかと思ったが、そうではないようで。

エレベータ(上昇も下降も慣性を感じなかった。どういうテクノロジーなのだろうか?)を降りると、そこには広い一室が有り、その部屋に案内される。


「ここで、しばらくお待ちくださいませ。ご主人が、少ししたら、こちらへ参りますので」


と言ってメイドロボット(人間と変わらん印象。これ1つだけでも世間に出たら衝撃を起こす代物だ)がドリンクサーバやフーズサーバなどの機器の使い方を説明してくれる。

ここの主人が水も食料も置いて身一つで来いというだけのことはある。

このドリンクサーバとフーズサーバでは個人の好みに合わせて様々な料理や飲み物が出てくるようなっている。


味も超高級料理店クラス。

まかり間違っても、もう味気ない軍用糧食バーには戻れんな、こんなもの食べたら。

飲料も甘露というか何と言うか……

アルコール類がないのが不満だが(エールすら無いのだ、ドリンクメニューに)贅沢を言える身分でもない。


しばらくぶりに天上の味と飲み心地を味わっていると、ドアチャイムが鳴った。

ようやく、ここの主人のご登場か。

私は飲食する手を止め、


「どうぞ、お入り下さい」


と、返事を返す。

ドアを開けて入ってきたのは思いもしなかった長身の男。

2m近くあるんじゃないか、この男。

しかし暴力的な感じは一切受けない。

目には深い知性の光が輝き、その表情には微笑が浮かぶ。


「君が遭難救助の信号を出していた本人か。ちょうど通信系統のチェックをしていた時だったから聞き逃さなくて良かったよ」


長身の男が、すまなそうに言う。助けてもらったのは、こちらのほうなので、


「何を言われますか。助けていただいたのは、こちらの方です。あの救助通信が届かなければ、どのみち砂漠で迷子と化すだけで、そのうち食料と水が尽き……思い出すと恐怖ですね。救助いただき感謝いたします」


と返す。


「まあ、君は運が良かった。この辺りは砂嵐がひどくてね。砂嵐が吹き荒れると通信も途絶するから救助艇も飛ばせなくなるところだった」


そう、この辺りは砂嵐が頻繁に発生する地域なのだ。

だからこそ奇怪で不思議な事がある。思い切って主人に聞いてみる。


「ここ、もしかして砂嵐地帯の中心部じゃありませんか?こんな場所に、だだっ広い滑走路や巨大なビルが建設されているなんて今も昔も聞いたことがないのですが?」


主人は答えを拒否するかと思った。しかし主人は私の疑問に、こともなげに回答する。


「ああ、それなら簡単。昨年なんだよ、ここを建て替えたのは」


「はい?今、なんと言われました?」


「昨年なんだ。ここ周辺の土地を買ってボロボロになってた遺跡を修復し、それを囲むように巨大ビルを建てたのは」


無茶苦茶なテクノロジーと財力だ、この目の前の男が持つもの。

私の目の前に立つ人間が、その瞬間から私には別の存在に見えてきた。


未来から来たとでも言うのだろうか、この男。

さらっと言った一言が、いかに現代にマッチしてないかいという事すら理解してない様子だが。


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