聖地へ来た! M87星雲 その二
しばらくぶりです。
ようやく執筆するだけのネタとプロットが貯まりましたので、執筆再開します。
ここはM87銀河の縁部にある小さな星系の中にある、普通にハビタブルゾーンに入ってる小さな星。
住民は酸素呼吸をしてる。
星の空気解析も通常に入る状況で文明も星系内でのロケット段階の往来が少し。
いわゆる、地球で言うところの「20世紀から21世紀」の宇宙へ飛び出したところの文明程度。
住民の宇宙に対する興味は……
「いつか宇宙へ行けたら良いよねー」
程度。
その惑星上に、まだしがみついてる段階の文明の星に様々な地域文明がある。
まだまだ地域や大河、海や山脈などが地域文明を国家を隔てる障害と成り得る段階なので、地域により文明程度に差があるのは当然。
そんな文明の恩恵に背を向けて広大なる砂漠を学術調査のために歩きまわってる男がいた。
色々な調査器具を、でかいパネルトラックに積み込んで、ただ今、砂漠のど真ん中を地図に示されたオアシスに向かって驀進中。
「あっついなー。いくら砂漠とは言え今の季節に、これは無いんじゃないか?雨季と聞いたが、この半月ばかし、ぽつりとも雨が来ないぞ」
1時間ほど走るがオアシスの蜃気楼すら見えてこない。
「ん?地図を読み間違えたか?えーと……磁北は……うわ!コンパスがぐるぐる回ってる!役に立たないじゃないか、このバカコンパス!」
コンパスも地図も役に立たないと理解した男。
とりあえずトラックを停止させる。
このトラックの唯一の利点は燃料が不要なこと。
膨大なる太陽の熱と光のエネルギーを受け、蓄積し、走るため、燃料は不要。
しかし、それだけでは人間は生きていけない。
男は水筒から水を呑み、パサパサだが栄養豊富な軍用レーションを齧る。
まだまだ水もレーションも積んであるが、このままではジリ貧だ……そう考えた男は救助用にと積んである無線機に灯を入れる。
しばらく救助を呼ぶために送信し、受信し、を繰り返すが、太陽雑音がザーザーと響くばかり。
「本格的に遭難したかな、こりゃあ」
そう呟いた男は今度は本気になって救助を呼ぶ。
「こちら%%の砂漠地帯にて遭難。誰か、救助を願う!至急、至急、至急!」
送信して、しばらくすると待望の返信がある!
「こちら%%砂漠にいる。しばらく送信しててくれれば、こちらで、そっちの位置を把握する」
溺れるものは藁にもすがる。
男は必死になって送信と受信を繰り返す。
そのうち相手より返信がある。
「そっちの位置は把握した。無人飛行艇を飛ばすから荷物や車は置いて、その飛行艇に乗ってくれ。自動で、こちらへ帰還するようになっている」
その返信が終わるかどうかというタイミングで小型の飛行艇が飛んでくるのが見える。
人員が乗っているのかと見れば誰もいない。
今の世界、どこの国でも実現してない完全なオートパイロットである。
男は疑いを抱きつつも、それでも搭乗する。
命には代えられないからだ。
男を乗せると、飛行艇はフワリと飛び立ち、凄い速度で一定方向へと飛んでいく。
この未来技術を駆使する人物は一体どのような人物だろうか?
この自動制御技術1つとっても今の技術を遥かに凌駕するもの。
それを普段から使いこなしているように飛行艇すら簡単に飛ばしてくる。
考えていると、いつの間にか飛行艇は着陸し、扉が開いている。
バ、バカな!いくらなんでも着陸の衝撃すら感じないなどという飛行艇は聞いたことがない!
「心配せずとも私は君の心配しているような人物やバケモノじゃない。安心して降りてきたまえ」
飛行艇の無線装置から相手の声が聞こえる。
えーい!ここは度胸1発!男は覚悟を決めて飛行艇を降りる。
タラップを降りきり、顔を上げた瞬間、男の表情も身体も固まった。
驚きに、である。
男の目の前に見えるのは砂漠とは思えぬ巨大なるビル。
おそらく高さは300m以上あるだろう。
しかし、どうやって建てた?ここは砂漠。とても高層建築物を建てられるような場所ではない。
飛行艇の着陸のスムーズさにも気が付き、建物と反対側を見る。
そこには砂漠とは思えぬ広大なる飛行場があった。砂の侵入も何かの技術的装置で食い止めているようで、滑走路には砂が見当たらない……
男は自分がファンタジーの世界へ迷いこんだような気になった。
頬をつねる。痛い。
これは……目の前にある、この光景は現実だ。
男は、しばらく、その場から動こうとしなかった……




