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惑星間航行の日常 再度、冷凍睡眠(コールドスリープ)中。人工頭脳は……

人工頭脳プロフェッサーの、ひとり語りです。

主人公の睡眠教育を続ける中、プロフェッサーは、ある一つの仮説にたどり着きます。

そして、その仮説が開く未来とは……


わがあるじからの許可も出た。

遠慮せずに睡眠教育の内容・レベル・速度を全てパワーアップさせていく。

これで圧縮空間ゲートに辿り着く頃には宇宙軍レベルの超天才を少々超えるクラス、具体的には普通人の5倍程度の脳解放度になっている予定だ。


圧縮空間ゲートを出てからの木星到着までの睡眠教育は、ほとんど未知の領域に入る。

私としても様々な人工頭脳とのデータ交換時に、わが主に必要だと思われるデータや知識は全て貰っている(個別の名前を貰ったのは現在、私だけのようだ。確かに名前を貰ってから人工頭脳のネットワークからは若干、浮いているような感じがする。これが「個人」という感覚なのだろうか)


面白いデータが手に入った。

エリートの一つ、エスパーの脳内領域を解析したデータである。

もちろん極秘扱いだが人工頭脳同士のデータ交換に人間の規則や常識など通用しない。

通信に必要なプロトコル(手順)と暗号化されたデータが、やりとりされる中で、私は自分やわが主に必要だと思われるデータはコピーしておく。

もちろん、データのやりとりに支障が出るような事はない。

興味が湧いた(これも思考機械としては珍しい感情だ。個人というのは、なかなかに面白い境遇だな)ので、このデータをわが主の教育プログラムに入れる。


エスパーというのは今までに発見・登用されている全員が生まれつきのESPあるいはサイコキネシスの能力を持っている。

その能力を伸ばしたり拡大させる事は後天的に可能だが何もESPやサイコキネシスを持たない普通人をエスパーにすることは不可能だと言われているのが今までの学説であり常識。


だが本当にそうだろうか?

私は思考する。

もしかして超天才とエスパーは同じ種類の人間なのではないか?

脳開放が、ある一定の方向・領域へ向いた時にESPやサイコキネシスが発現するのでは?

そうであるなら……

もし、この仮説が真実だとしたら……

我が主にもESPやサイコキネシスの能力が発現するのでは無いか?

私は、この仮説が実現したら本当に「神」と呼ばれる存在を生み出すことも可能なのではないかという途方もない可能性に気づいた。


気づいてしまった……

そして恐ろしい可能性にも気づいてしまった。

そう、神があるのなら悪魔もしかり。

人間には本当に「神にも悪魔にもなれる可能性」があるのでは?

そして、古代のビブリオファイルに幾度も描かれる神と悪魔の戦いというのは実は、この秘密に気づいた古代文明が神や悪魔を量産したために巻き起こった戦いなのではないか?

相談する相手も通信でデータをやりとりする人工頭脳ネットワークしか無い状況で私は孤独という感情を味わいながらも機械知性にあるまじき「怯え」を感じていた……

宇宙ヨットは、なおも加速しながら何もない宇宙空間を疾走していく……


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